もう20年近く前のこと。
実家の父が、当時のご近所さんからお願いごとをされた。
そのお願いというのが、「不動産会社に電話をかけてほしい」というものだった。
ご近所さんは、諸事情で遠い他県へ引っ越すことになっていた。
しかもそこで中古物件を買う予定だったのだが、耳が悪くスムーズな電話が難しかったらしい。
業者から郵送された資料が手元にあるにはあるけれど、確認したいことがあり、自分の代わりに電話をかけてくれないか、と父は頼まれたのだ。
で、うちの父が電話した。
関西弁じゃない地域の不動産業者へ、こっちはバリバリの関西弁で。
インターネットはまだまだ高額な時代だった。
ご近所さん宅にはきっとFAXくらいはあったと思うが、文字じゃ伝わらないいろんなニュアンスというものがあったのかもしれない。
それで私の父が、何回かに分けて、不動産業者と電話でやり取りした。
「この物件の近くに歯医者ありますか?」から始まり、「もう少しお値段下がりませんか?」に至るまで。
そしたらその不動産会社の担当者は、父の小慣れた話っぷりを聞いてこう思ったんだと。
「うちの土地が関西の土地転がしに狙われてる!」
それで、父から電話があるたびにビクビクしていたそうだ。
なんで相手様の気持ちをこちらが知ってるかというと、父は結局、電話だけじゃなくて現地の案内にも付き添ったからだ。
業者さんは、「そっちの筋の人」がやって来ると思っていたらしい。
そこへ普通の陽気なおじさん(うちの父)が来たから、担当者の方も気が緩んだみたいで口に出ちゃったのだ。
「こんなところに関西弁で電話が来ることなんて無いので、ヤクザの方が土地転がしに来るんだと思って昨夜はもうドキドキしてました!」って。
正直すぎるやろ。
笑ったわ。
ご近所さんと正直不動産との契約はうまくまとまり、めでたしめでたしだったというのが20年前の話。
当時50代だった父ももう70代になった。
昔も今も彼はずっと陽気なまんま。
6月生まれのお父さん、
誕生日おめでとう!
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