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阼夏、自宅の庭で、カマキリの卵が孵化した。
おかげで一時期、毎日のようにカマキリの赤ちゃんと遭遇していた。
庭だけではなく、リビングでも遭遇するのだ。
白い壁の表面に、重力を完全に無視した体勢でくっついている。
壁をはっているだけなら害はないし、小さな虫を食べてくれるのでむしろありがたいのだが、一つ問題なのが所かまわずフンをすることだ。
白い壁に、一ミリにも満たないフンが、黒い点状に残る。
ちょっと厄介なので、赤ちゃんカマキリは見つけ次第、外へ逃がしていた。
我が家の庭には食虫植物もある。
ハエトリソウなんかにカマキリがかかれば、これまた死んでしまうだろう。
小学生の息子は、我が家の食虫植物・ハエトリソウについて、これを「飼っている」と言う。
「育てている」のではなく、「飼っている」のだ。
ハエトリソウがパクッと虫を捕食する、あの感じが生き物っぽいからだろう。
対して、同じ食虫植物でもウツボカズラについては、息子も、飼うとは言わない。育てると言う。
こっちはパクッとしないからだろう。ツボの中に虫が落ちるのを、待っているだけのウツボカズラ。
こんな感じでうちの庭にはいろんな生き物がいるのだが、冬の間はどの動植物も、ジッと息を潜めていた。
それが最近はすっかり暑くなって、もう動き回っている。
驚いたのは、うちで「飼っている」ハエトリソウが、ハエじゃなくて小さなゴキブリを捕食していたことだ。
葉を閉じ切れなかったようで、隙間からゴキブリの姿が見えたので間違いない。
玄関前でゴキブリを捕らえてくれるなんて、植物なのにまるで番犬のようだ。
でも、ハエトリソウにゴキブリはちょっと大きすぎたらしく、消化し切れずにその葉だけ茶色くなって、最後には朽ちてしまった。
そして根本から、また別の、小さなハエトリソウが顔を出していた。
その変化を私は毎日眺めていたのだが、息子が「飼う」と言うのも納得の「生き物感」だった。
夫が園芸を始めてから、私も植物に命を感じるようになった。
専業主婦として家で一人過ごす私だが、全く寂しくないし、誰かに会いたい!なんてことも特に思わないのは、家でたくさんの植物と共に生きているからかもしれない。
至る所で、不思議な気配を感じる家だ。
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