私は主人と結婚するとき、彼が定職についていさえすれば良いと思っていたので、その稼ぎがいくらかということを気にしたことがありませんでした。
 
結婚前に「これを確認しておけ」と、主人の通帳残高や年収などは本人によってつまびらかにされましたが、私は私で一人小金を貯めこんでおり、その貯金額は主人のそれより遙かに多く、しかし女が一人で溜め込んでいる姿を明かすのは少々恥ずかしくもありました。
私は自分がとんでもないケチだということを、日常そんなに見せていなかったからです。
 
ドン引きされる気がして私は自分の貯金額ズバリを口に出せず、「ペイオフにひっかかる程度の…」という説明の仕方をし、主人も察したようでした。
 
 
私は主人にケチっぷりを晒してはいませんでしたが、家事能力、とくに料理の腕が無いことはことあるごとにアピールしていました。料理が下手な妻を喜んで迎える男などおらず、そこを明かさずに結婚してはお互い不幸になると思ったからです。
 
しかし結婚後に分かったことですが、主人がパートナーに求めるものは「家事力」ではありませんでした。
主人が妻に求めるものはあえて言うなら「明るさ」と「穏やかさ」であったようで、何をされても腹を立てない私の「気の長さ」の方が、料理の腕よりも主人には遥かに重要事であるようでした。主人は一通りの家事ができ、料理もうまく、パートナーにわざわざそれを強く求める必要性が無かったようです。
 
 
 
 
対して私も冒頭に書いた通り、夫に稼ぎを求める気持ちはありませんでした。私は働くことが好きなので、いざとなれば自分が大黒柱になれば良いと思っていたからです。
そんなことよりも、私は夫となる人に求める条件として、もっと遥かに大事なことがありました。
 
お金よりも大切なこと、それは「高身長」です。
 
 
高収入、高身長、高学歴、この「3高」が平成バブルのはじける頃までは重視されていたでしょうか。私の世代ではもうそんな価値観は無く、人としての相性を大切にしていました。
 
私も主人と結婚したのは価値観の一致、特に「生活する上での嫌なことが一致している」というのが結婚の決め手としては一番大きかったのですが、それ以前の、そもそもの大前提として私には、「高身長の男性相手でないと恋に落ちない」という特性がありました。
 
 
私の身長は153㎝ですが、やせ型で、なで肩で、頭も小さく、全体的にコンパクトである為140㎝台に見られることもあります。
 
そんな私は、自分がチビであるくせに、男性には徹底的に「背の高さ」を求めました。主人を含め私が好きになる人は皆180㎝オーバーで、「なぜゆきんこの周りにばかり背の高い男がいるんだ」と友人から睨まれたこともあります。
 
それは私の周りに背の高い男性が寄ってきていたわけではなく、私が背の高い男性を目ざとく見つけ、獲物を逃すまいと鷹のように鋭い爪で狩っていただけのことです。
背が低いとまでは言わずとも、「背が高いという印象の無い男性」はその時点で恋愛の対象になりませんでした。あちらからすれば、お前なんか願い下げだと言う話ではありましょうが。
 
 
思えば中学生の頃からこの調子で、私はどうしてこうも極端に、背の高い人ばかり好むのだろうかと自分でも疑問に思う程でしたが、大学で受けた生物学の講義でその謎についての答えの一端が見つかりました。概要としてはこうです。
 
~生物はすべて子孫繁栄を目的として生きている。個の繁栄よりも種全体の繁栄が重要だということを本能的に分かっている。
種の繁栄の為には常に変化していく環境への適応が求められ、その中では極端な特徴を持つ個体、たとえば極端に大きいとか極端に小さいとかいう個体は環境適応能力に乏しいと考えられる。
そのために極端な個体は、その「極端さ」を排除しようとする本能が働く…~
 
この話の具体例として挙げられたのが「身長」でした。
 
背が高すぎる個体も、背の低すぎる個体も、生存能力が低まる可能性がある。
それを解消しようとする本能が働き、男女に関わらず背の高い人は低い人を、低い人は高い人をそれぞれお互い求めあい、「平均的な身長を持つ個体」を新たに残そうとする、ということです。
 
 
これを聞いて私は、なるほど私が背の高い男性を好むのは、このような「生物としての本能」によるものであったかと非常に納得する面がありました。
瘦せ型のチビと言う極端な個体である私が、平均より身長の高い個体を求めるのは生物学的に当然であると、そのような説を唱える研究者によって自分の男性への指向が裏打ちされたような気分でした。
 
性格よりもまずは身長を求める自分は、「見た目にばかりこだわる軽薄な女」ではない、全ては種の保存の為に本能がそうさせている、とこれで堂々と言うことができます。
 
そして私は思いました。つまり背の高い男もまた本能的に、私のようなチビを求めているかもしれない。これは、イケる気がする。
そうして自分の小ささを生かして貪欲に、背の高い男性だけを狙いにいきました。
 
結果、気の毒なことにまんまと狩られてしまったのが今の主人です。
 
冒頭で、主人は妻に家事能力を求めないと書きました。あえて言うなら明るさと穏やかさ。
お気付きでしょうか、「あえて言うなら」という前置きがあることに。
 
あえて言うなら求めるが、声高に叫ぶほどでも無い。そのように、女性に対するストライクゾーンが非常に広いのがうちの主人です。
 
優秀な遺伝子を持つ人間と言うのは、私のように相手に事細かい条件をつけなくとも種の繁栄を充分に見込めるのでしょう。ストライクゾーンは広く、そこに誰が入ろうとも子孫に外れが産まれないことを本能的に知っています。
 
顔が!お金が!身長が!結婚相手に対してそのように何かと条件をつける私のような人間はつまり、自分自身が「その程度」だということなのかもしれません。
 
 
 
 
 

 

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