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これまでの人生で、歩道に張り付いた壱万円札を拾ったことが二度あった。
壱万円札を落としたのも二度あって、人生差し引き零だと思うけど。
だからなのか、歩くとつい視線が地面に向いてしまう。
坂本九のあの名曲に逆らい、嬉しい時も悲しい時も下を向いて歩くわたし。泣きながら歩く夜は、にじんだ星をかぞえるのではなく、にじんだ足元のタイルをかぞえつつ。
そんなわたしが気になるのは、新宿西口の、小さなタイルが同心円状に張り付けられた白い床面。いつ終わるとも知れぬ再開発工事のなか、いよいよ姿を消しつつある。
世界一多い乗降客が往来する、新宿西口地下広場が完成したのは1966年。同心円のタイルは、1969年夏に途絶えたフォークゲリラの喧騒を知っている。
そして、ユッコこと岡田有希子さんが特別列車の待つホームへ大勢のファンと歩いた、1984年夏の一日も。
記憶に残らなくても写真に残っている、人びとの足元にはいつも白い同心円があった。
当時のタイルは切り刻まれつつなお残り、往時を伝えている。でもいずれは、すっかり消え去ってしまうだろう。
ユッコさんがいた時代の痕跡がまた消えて、昭和は遠くなっていく。
前だけを見て生きるあなた、時には下を向いて歩いてはいかが?
もしかしたら、大切な何かが張り付いているかもしれない。
photo by yukikostarlight
「上を向いて歩こう」を唄った坂本九さんは、最新シングル「懐しきlove-song」をリリースした1985年5月22日の夜、生放送のNHKラジオ「はつらつスタジオ505」で岡田有希子さんと共演しました。
それから3カ月後の8月12日、坂本さんがNHK505スタジオでラジオ番組収録後、夕方に搭乗した飛行機は大阪へ向かったはずなのに…。
520人もの尊い命が失われた日航機墜落事故から、40年が経ちました。