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俳優・富田靖子さんのデビュー作、映画「アイコ十六歳」。

公開時に同時上映されたメイキングフィルム「グッドバイ夏のうさぎ」は、出演者を選抜するオーディションの描写から始まる。

 

12万7000人もの応募者のひとりに、名古屋市立向陽高校の一年生だった佐藤佳代さんがいた。岡田有希子という芸名が決まる、少し前の話だ。

 

いまから42年前、彼女は5月12日の1次審査から7月3日の最終5次審査まで、「アイコ十六歳」のオーディションに挑んだ。それは彼女が後に〝ホントの意味の学校生活〟だったと振り返る、高校一年の一学期とほぼ重なる。

 

名古屋市内の公立高校に通う一年生の女子生徒という、自分そのままな設定のヒロイン役。きっと、なんとしても射止めたかったろう。

最終審査はしかし、残念な結果に終わった。彼女の日記に残る、乱れた筆跡が痛々しい。

 

7/11

やっぱアイコはおちちゃった

う〜ん残念!

でも仕方ないナ

東京と名古屋は話し方が違うのかナ

それとも私がおかしいのかナ

何となくのんびりした話し方みたい

 

この落選が契機だろうか。母の手記によればその後、彼女は朗読のテープを買い、話し方について熱心に研究していたという。

その努力は、歌手デビューに先駆けて手がけることになったラジオの仕事で、はやくも実を結んでいた。

 

 

 

まだ佐藤佳代だったユッコさんが、もし「アイコ十六歳」のヒロインに選ばれていたら…どんな三田アイコを演じたのだろう。「グッドバイ夏のうさぎ」に残されたオーディション風景は、人生で最も希望に満ち溢れていた頃の彼女を想わせてくれました。

photo by yukikostarlight