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ユッコこと岡田有希子(本名・佐藤佳代)さんの母・孝子さんの手記には、幼かった娘のこんなエピソードが綴られていました。
二歳何カ月ごろのことです。主人が日曜日にどこかへ連れて行ってやろうと約束をしていて(中略)急に取り止めにしたことがありました。さぁ、そうなると佳代はもう、ものすごくやんちゃを言う。
「約束したんだから連れてって」
と言って、絶対に譲りません。主人も閉口しまして、じゃ、うなぎか何か食べに行こうということになった。そうすると、佳代はもう怒って、自分は行かないと言うんです。
これにはさすがに主人も腹を立てまして、佳代だけポイと置いて三人で食事に行ってしまいました。そういうときでも、佳代は絶対に泣かない子でした。
3歳にも満たないのに、泣かずに意地を張り通す…泣き虫なわたしとは大違いの、頑固な「泣かない子」。
そんなユッコさんは気が強くて負けず嫌いな一方、傷つきやすく繊細な少女だったといいます。親の反対を押し切って芸能界に入ったあと、彼女は自分の性格をこう語っていました。
ソーウツ症というのか、
自分でも機嫌いい日とサイテイの日がバラバラでやんなっちゃう。
調子が悪いとやたら泣くし、情緒不安定な人です
深刻ぶらずに吐露した言葉。それは過酷な日々に疲れたユッコさんからの、精一杯のSOSだったのでしょうか。
「泣かない子」だった彼女は人生さいごの日、ずっと泣いていたのだそうです。まるでちいさな子供のように。
photo by yukikostarlight