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ある女子校に、書道を担当する女性教師が二人いた。
ひとりは昭和の頃から先生で、その学校で誰より長く過ごしていた。妖怪と称される風貌、そして授業がすごく厳しいことで有名だった。私語など言語道断、教室から即つまみ出される。
昭和の妖怪に辟易した生徒たちは、もうひとりの先生に期待していた。
自分たちとさほど歳の変わらない、笑顔が可愛い令和の新任教師。
カケダシ先生ならきっと、ヨウカイ先生と違ってやさしく教えてくれる。
だけど一年経った頃、教師たちへの見方は一変した。
カケダシ先生、どうも授業がオザナリなんだよねー。評価もなんかテキトーな感じだし。
ヨウカイ先生は厳しかったけど全員のことをちゃんと見てた、上手く書けたら褒めてくれたし。
生徒のひとりは、そんなふうに言う。
わたしは思った。カケダシ先生はもしかして、いっぱいいっぱいだったんじゃないか。
新任教師といえばたぶん、部活の顧問だとか面倒な仕事を押し付けられる立場だろう。
もしかしたら。多忙のあまり授業の準備が思うようにできず、ひとり厳しい現実に苦しんでいたかもしれない。
二年目のカケダシ先生。彼女はまだ、生徒たちに笑顔を見せてくれるだろうか。
ユッコこと岡田有希子さんのことをずっと考えていたからか、こんな穿った発想をしてしまいました。
駆け出し教師について、わたしの見当違いなことを願うのみです…。
photo by yukikostarlight