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それはユッコこと岡田有希子さんが、空の下からいなくなって10年ほど経った頃。
貧困を極めた学生時代を終え、社会人としての暮らしにもすっかり慣れた20代前半のわたし。
あの頃はなぜか、根拠のない自信というか、いわゆる全能感に満ちていたように思う。
いま考えれば、彼女いない歴=年齢という現実に目を背けていただけなんだけど。
ようやく秋の気配がしてきたある日の午後、新宿東口交差点。
所在無げに信号を待っていたわたしに、声を掛けてきたひとがいた。
30代半ばくらいの、整った顔立ちの女性だった。
〝約束してた相手に振られた、奢るから一緒に飲まない?〟
路上で彼女はわたしにそう言った。
これってひょっとしてもしかして、選ばれし男が享受するという噂の〝逆ナン〟というやつなんだろうか。
実はそのとき、わたしも約束していた相手に振られてしまい、途方に暮れていたのだった。
目の前に現れたこの女性は、貴重な休みが残念な休みになりつつある自分に、救いの手を差し伸べてくれようとしているのか。
キレイなお姉さん、そして只酒。…極めて魅力的なオファーではないか!
喜んでご一緒します。
そう口にしようとした刹那、なぜか脳裏によぎったのだ。
数時間後、ボコボコにされ身ぐるみ剥がされる自分の姿が。
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あれが〝虫の知らせ〟というものだったんだろうか。
あのままあのお姉さんについていったら、それこそ虫の息になっていたかもしれない。
そんなことを、久しぶりに思い出した。
美人局、つつもたせ。
あの頃わたしは、その言葉さえ知らなかったんだ。
photo by yukikostarlight