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わたしはこれまでの人生のなかで、歩道に張り付いた壱万円札を拾ったことが二度あります。
(そしてこれまでの人生のなかで、壱万円札を落としたことも二度あります。人生そんなもんですネ)
だからというわけでもないんですが、歩くとつい視線が地面に向いてしまうんですよね。
永六輔さん作詞のあの名曲に逆らい、嬉しい時も悲しい時も下を向いて歩くわたし。
泣きながら歩く夜はにじんだ星をかぞえるのではなく、にじんだ地面のタイルをかぞえるのです。
ひたむきに、下向きに。
そんなわたしがいま気になっているのは、かつて新宿西口地下広場の一帯にあった、小さなタイルが同心円状に張り付けられた白い床面。
近年、ごく普通のものに貼り替えが進みました。
世界一多いといわれる乗降客が往来する、新宿西口地下広場が完成したのは1966年。
当時からある同心円状のタイル床は、1969年夏のフォークゲリラの喧騒を知っています。
記憶には残らないけど、写真を見れば人々の足もとには、あの同心円がありました。
いまなお当時のタイルが西口改札寄りの一部にかろうじて残り、往時の姿を伝えてくれています。
でも数年かけて行われている新宿の大規模再開発が進めば、おそらく消え去ってしまうのでしょう。
ユッコさんがいた時代の痕跡がまたひとつ消えて、そしてどんどん遠くなっていく昭和。
前だけを見つめて生きるあなたも、いちど下を向いて歩いてみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、たいせつな何かが張り付いているかもしれません。
photo by yukikostarlight