ナチュラリスティックガーデンの早春。


八ヶ岳では3月に入ると、まだ凍っている土の中からでも目覚めて花を咲かせる植物達がいます。


スプリング カットバックを済ませたばかりの庭は運動場みたいに広々と平らで、何か咲いてないか芽吹いてないかと宝探しみたいに地面を見ながら歩くのが日課です。



【ヘレボルス オリエンタリス ハイブリッド】



うちの庭で真っ先に目覚めて可愛い花を咲かせてくれるのが、このヘレボルス オリエンタリスです。

暖地では冬場に葉切りが必要なんですが、八ヶ岳では寒さで前年の葉は自然に枯れてチリチリになるので、春を待って花が上がってきた頃に古葉を取り除きます。

古葉はマルチの代わりに寒さから根や芽を守ってくれるかなって期待するのもあって。


ヘレボルスにはいろんな品種がありますが、植えてみて結局一番丈夫でよく咲くのはこのオリエンタリスでした。

小苗を植えてそのまま数年放置しても生き残り、気が付くとそこそこの株に育って花を咲かせてくれるんですよね。

ヘレボルス オリエンタリス ハイブリッドは、株分けやこぼれ種で出た苗から容易に増やすこともできます。

あのトリカブトが属するキンポウゲ科に属するので、鹿に齧られる心配もありません。

少なくともうちの庭では…ですけどね。

もし齧られたなら、齧った鹿の方が心配になってしまうかもしれません。


交配が進んで、今やびっくりする程華やかな花が出回るようになったヘレボルス オリエンタリス ハイブリッドですが、庭で使うならシンプルなシングル咲きかセミダブルがいいかなと思ってます。

ダブルを選ぶとしてもスッキリとした花型のものの方が、ナチュラルガーデンには似合うかなぁ。

花が咲き始めた頃に毎年牛ふんをひと握り株元に撒いてるんですが、それだけのお世話で年々株が立派になります。

肥沃な土壌を好むので、バラとの相性も抜群なんですよね。

元来シェードガーデン向きの植物なので、暖地だと落葉樹の下に植えるのがお約束ですが、高冷地では年中日がよく当たる場所に植えたとしても全く問題ありません。

もちろん夏頃から他の植物の影になるような場所でもしぶとく育ってくれます。

花後も青々とした葉が繁るヘレボルスは、シーズン通して優秀なグランドカバーですよね。

私がガーデニングを始めた頃はまだ珍しい素材だったのに、今はポピュラーなガーデン植物となったヘレボルス。

暖地の庭でも八ヶ岳でも長年使ってみて、こんな頼りになるものは、なかなか無いと思ってます。



【プリムラ ブルガリス】


プリムラの中でも春一番に咲き始めるのが、このブルガリスです。


春は最も鹿の食害に遭いやすい季節なんですが、プリムラが属するサクラソウ科のものは比較的無事なんですよね。

あくまでもうちの庭でのこれまでの実績ですけど…。


プリムラ ブルガリスは、ヨーロッパに自生する原種のサクラソウで、"プリムローズ"とも呼ばれています。

ハーブとして花や若葉をティーやサラダに利用することもできるそう。

気温が上がるに連れてこんもりドームにどんどん花が咲いてきます。

株分けも簡単で、何より可憐なので毎年どんどん増やしたくなってしまいます。

夏になるといつの間にか地上部が消えていますが、晩秋になると可愛いロゼットの葉が元気に出てきて安心させます。

愛らしいのに生命力があって、ナチュラルガーデンにはぴったりですよね。


【水仙 テータテート】

ほとんどの宿根草はまだ芽吹いたばかりの早春の庭で、頼りになるのは球根花。


うちにある水仙の中で最も早咲きの品種がこのテータテートです。

花も葉も小さくて、背丈は20cm程度。

それでも、まだほとんど何もない早春の庭で、この黄色の塊はよく目立ちます。

水仙をバラの株元に植えるとコガネムシの害を防ぐと言うので、背の低いこのテータテートなら邪魔にはならないから庭中のバラの側に2球位ずつ植えたのがいつの間にかよく増えて。

肝心のバラは寒さでダメになったものもあり、今やテータテートのみが咲くっていう場所もあります。

球根を植えるのは秋ですが、冬に土が凍る八ヶ岳では10月頃までに深めに植えるようにしています。

水仙は深植えにすると分球した球根が自然に上に広がって、何年も植えっぱなしで花数が増えていく感じがします。


花壇の縁取りにも植えてるんですが、この花の列が繋がると春が来たなー!って実感します。


春一番に咲いたテータテートに、早速ハナアブがやって来ました😊


まだ寒さが残る早春に咲く花は人の目を楽しませるだけでなく、生き物たちにとってもすごく貴重なんですよね。


余談ですが…この時期に自生のタンポポもいち早く咲き始め、目覚めたばかりの昆虫達の大事な蜜源になっています。


ですから、うちの庭では花壇以外の場所に生えてきたタンポポはそのまま取らずに残すようにしています。


その黄色が、テータテートの黄色と混じって、"赤毛のアン"の世界みたいな可愛い景色になって。


"オールシーズン美しい庭"は、生き物たちの楽園でもあるんです。












八ヶ岳南麓庭暮らし 連載三部作


庭造りの方法

ノンディグ(不耕起)&オーガニックな栽培法の提案です。気候変動を抑制する今話題のカーボン・ファーミングに通じる庭造りの方法。


庭造りの変遷 



八ヶ岳の庭仕事12ヵ月





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