去る7月26日、「第11回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。
ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。
2017年第3回目の講師を務められたのは、
『ラヴニュー』の平井茂雄シェフと
『コンパルティール ヴァロール』の大西達也シェフ。
今後ORIGINE KOBEにおける大西シェフの店名は、
『MOTOMACHI CAKE kobe1946』から
『コンパルティール ヴァロール』に変更になります。
今後は新店もどうそよろしくお願いいたします。
http://ameblo.jp/yukijenne/entry-12288817927.html
今回は一般向けの講習会ということでしたが、
講師は世界大会でチャンピオンに輝いたことのあるお二人。
ご家庭でも作れるようにと丁寧な説明のなかにも、
プロの技があちらこちらに散りばめられていました。
各シェフ2品ずつ合計4品ご紹介させていただきました。
『ラヴニュー』 平井茂雄シェフ
*ムフタール
*イエナ
『コンパルティール ヴァロール』 大西達也シェフ
*チーズプリン
*フルータス・トロピカル
平井シェフの1品目は「ムフタール」。
ラヴニューさんでも販売されている人気商品、
いわゆるチョコレートのロールケーキです。
生地は別立てのビスキュイ。
毎回講師のシェフが口を揃えておっしゃることですが、ポイントは温度。
全ての工程において、最適な温度で作業することが必要となってきます。
メレンゲは、やややわらかめに。
砂糖はゆっくりと入れ、高速にすることなくたてていきます。
このメレンゲをチョコレートの生地と丁寧にやさしく合わせて。
焼き落ちしやすい生地なので、天板にのすときは中央が低くならないようにし、
1~2回空気を抜いてから二枚天板で焼成します。
お店はコンべクションオーブンですが、今回は平釜なので
生地のあがり方が
だいぶ異なり、やさしくあがっていく感じだったそう。
ロールの生地はあまり高温にせず、ゆっくりと火を入れるのが均一に焼き上げるポイントとのこと。
焼きあがったら、高く浮かせる感じで何度も天板をたたいて空気を抜いていきます。
お店より、生地がだいぶ高くあがっていたようでした。
巻きこむクリームは、ガナッシュモンテ。
お店でも色々なお菓子に使われています。
ミルクチョコレート(カカオ分38%)とダークチョコレート(カカオ分64%)を使用。
ダークチョコレートはもちろん平井シェフオリジナルのOR NOIR(cacao barry)。
乳化させたチョコレートを44℃に落として、冷たい生クリームを注ぎ、ブレンダーで整えます。
これを冷蔵庫で1日、最低でも8時間寝かせて。
生クリームが劣化しない数日は日持ちするとのこと。
生地の中に巻くクリームは9分立て、デコレーションのクリームは8分立てが目安。
この微妙なテクスチャーの違いで、食べ手は違和感なく全層を一緒に味わうことができるのでしょうね。
最後にデコールをしている平井シェフの口から思わぬ秘話が!
飾りのチョコレートのプレートに割れているものがあって、
急遽2パターンのデコレーションになったんですが。。。
ロールケーキに沿って縦ロング1枚のチョコプレートのデコールは、
福知山の水野直己シェフの発案なんだそう。
オープン日にお手伝いに来てくれていた水野シェフがこのように飾っているのを見て、
それ、nice!と採用になったのだとか。
思わぬところにお二人の友情秘話が隠れていたわけですね♡
いわゆるチョコロールとはいえ、そこはやはり平井シェフ。
ふんわり生地と、口溶けなめらかな濃厚なクリーム。
どちらのパーツからも、チョコレートの香味をしっかりと感じることができます。
大西シェフの1品目は「チーズプリン」。
クリームチーズがたっぷりと入ったプリンです。
プリン生地は順に混ぜていくシンプルなものですが、焼き方に様々な工夫をされていました。
生地の表面に皮が張るのを防ぐためにザラ紙を被せ、
ザラ紙が飛ばないように、端を水分で密着させます。
湯煎焼をするので、お湯を天板満タンまで張って。
生地温度は60℃、湯煎のお湯は沸騰した熱いものを。
この生地の温度と湯煎の量がポイントとのこと。
焼けたかどうかを確認する際にあまり何度も揺らすと、
せっかく固まりかけているものを壊してしまうので最小限にとどめて。
実はこのプリンは以前は元町ケーキさんで販売されていたのですが、今は休止中とのこと。
林シェフも絶賛のチーズプリン、再販の日が待たれますね!
今回はクレームシャンティとクランブルをトッピングしてグラスデザートに。
チーズプリン生地が濃厚で、全層一緒に食べるとまさにチーズケーキのようでした。
ホワイトチョコレートとトロピカルフルーツのヴェリーヌで、構成は下から・・・
・オレンジのクレームブリュレ
・オレンジのコンポートとパイナップルのコンポート
・ホワイトチョコのエキゾチッククリーム
・クランブル/クレームシャンティイ/オレンジのゼスト/コアントローのジュレ
オレンジのクレームブリュレは湯煎焼きに。
大西シェフのチーズプリン同様、火が入ったかどうかの目安について質問が飛びましたが、
平井シェフの目安は、中心部を振るとブルンブルンしていたらOKとのこと。
ぷるん♪ではなくブルン♪経験値がものをいう見極めポイントですね。
ホワイトチョコのエキゾチッククリームは、ホワイトチョコレート(ブランサタン)と
パッション、マンゴーピューレを合わせて。
コアントローと生クリームを加え、ハンドブレンダーを使いしっかりと合わせます。
オレンジのコンポートは、実を3等分にカットした フレッシュのオレンジに
60℃まで冷ましたシロップを注ぎ入れ、密着ラップをして冷蔵庫で3時間。
パイナップルのコンポートも同じ手法かと思いきや・・・そこは平井シェフ!
材料も多く、想像以上に手間がかかっていました。
ココナッツ、マンゴー、ライムと3種のピューレとオレンジの皮、
パイナップルの角切りを火にかけ、グラニュー糖とペクチンを加えて煮詰め、
炊きあがる直前に角切りのマンゴーも加え冷まします。
冷めたら、リキュールとオレンジのコンポートを加えて。
パイナップルのみでなく、数種のトロピカルフルーツの甘みと香りが爽やかなマリアージュ♡
パイナップルのコンポートのとろみは、ペクチン(再加熱可能なLM325)。
ホワイトチョコのクリームはゼラチンで固めて。
先日オリジンメンバーで、新田ゼラチンさんにお勉強に伺わせていただいたので
詳しくゼラチンの話を始めると白熱してしまう傾向に(笑)
使用しているゼラチンの強度、牛由来か豚由来化などによってかなり変わってきます。
トロピカルフルーツの甘みにオレンジのフレッシュな酸味、
ライムやパッションのシャープな酸味がからまりあい、
ホワイトチョコレートの濃厚な甘みを爽やかに引き上げています。
さらにサクッ♪と響くクランブルの食感がアクセントに。
夏素材のヴェリーヌながら水物ではなく、しっかりと存在感のある
テクスチャーなのが個人的にはうれしかったです♡
大西シェフの2品目は「フルータス・トロピカル」。
コンパルティール ヴァロールのショーケースの上段に
数種類が華やかに並ぶフルーツタルです。
私もお店で見ていたんですが、まさかこんなに複雑な構成だったなんて!?
・パートシュクレ(3㎜厚)
・クレーム・フランジパンヌ
・クレーム・ディプロマット(パティシエール:シャンティイ(40%)=4:1)
・マンゴークリーム
・クレーム・ディプロマット
・薄くスライスしたジェノワーズ
・レモンカード
・メレンゲパッション/フレッシュマンゴー
レモンカードは、レモンピューレ、冷凍加糖卵黄、グラニュー糖に
無塩バターを40℃で合わせ、ブレンダーをかけひと晩寝かせます。
いまはレモン風味のホワイトチョコが出ているので、
それと生クリームを合わせ、レモンカードに代用することも可。
お店ではレモンパイやレアチーズケーキのセンターなどにも使われているとのこと。
薄いジェノワーズでクリームを包み込んだフォルムが、
超ビックサイズの東京バナナのよう(笑)
レモンカードをたっぷりと塗って、パッションのメレンゲをランダムに絞っていきます。
こんもりと高さもあって、結構なボリュームですよね。
ガスバーナーで焼き目をつけるのは、シャンティイと間違えて
購入する方がいらっしゃるからとのこと。
元町ケーキさんと言えば、生クリームとスポンジのおいしさが人気ですものね!
クリームやトッピングで色々なバリエーションが楽しめそうですね。
このフランジパンヌの型は特注なのですが、ちょっと背が高いので
低いセルクル型を考えてらっしゃるそう。
ちょっとした手土産にもピッタリの、見た目は華やか、お味は丁寧に作られていることが
伝わってくる素朴なおいしさの大西シェフらしい一品です♡
断面もキュート♡
幾層にも重なる食感のコントラストと、レモンのキュンとくる酸味が効いていて
夏でも美味しく食べられるタルトです。
今回は期せずしてお二人とも湯煎焼きのプリンがメニューオン。
ロールケーキやフルーツタルトもオシャレなビジュアルに仕上げられていますが、
講習会後半には新加入したマビッシュの村田シェフも駆けつけ、
フルータス・トロピカルも並ぶ大西シェフの新店
今後の講習会のスケジュールは下記の通りです。
8月23日(水):多田シェフ×奥田シェフ(プロ向け)
一般向け、プロ向けの区別はありますが
内容的にはプロの方にもご満足いただけるものですので、
若手パティシエの皆さんのご参加を心よりお待ちしています!
すでに8月の講習会の募集がUPされています。
オリジンコウベのFBページからお申込みが可能です。
https://www.facebook.com/originekobe/
今後もオリジンコウベをどうぞよろしくお願いいたします。