「ワン・バトル・アフター・アナザー」
を観てきました。
ストーリーは、
かつて世を騒がせた革命家だったが、いまは平凡で冴えない日々を過ごすボブ。そんな彼のひとり娘ウィラが、ある理由から命を狙われることに。娘を守るため敵との戦いに身を投じるボブだが、軍人のロックジョーが異常な執着心でウィラを狙い父娘を追い詰めていく。
というお話しです。
ゲットーとペルフィディアは極左テロリストグループ「フレンチ75」のメンバーとして戦い、付き合うようになる。ある時、拘置所に拘留された移民を逃がすなど派手な活動をしていたペルフィディアは拘置所にいた軍司令官のロックジョーに嫌がらせをし、その時からロックジョーはペルフィディアを気に入り執着するようになる。
「フレンチ75」の活動は過激さを増し、銀行や送電網を爆破する作戦を行っている中、ペルフィディアはロックジョーに捕まってしまう。そこでロックジョーは自分の欲望を満たすため、彼女を脅迫し自分と寝れば逃がしてやると言い、彼女はそれを受け入れて解放される。
しばらくしてゲットーと暮らしているペルフィディアは女児を出産。家族での穏やかな暮らしを求めるゲットーに対し、ペルフィディアはテロ活動を続ける選択をして、ゲットーと娘を捨ててテロ活動に戻ってしまう。
16年後、ゲットーはボブと名前を変え、平凡でさえない日々を麻薬で紛らわすおっさんとなっていた。娘のヴィラは高校生となり、厳しい父親の目を盗んで青春を謳歌していた。しかしある理由からヴィラが狙われることとなり、学校にまで軍が捜しに来ることに。間一髪で「フレンチ75」の人間がヴィラを逃がし、ボブも家から逃走することが出来た。しかし追手はヴィラを執拗に追い詰めていく。今更何故、ヴィラに追ってが迫るのか。後は、映画を観てくださいね。
この映画、2時間40分ありますが面白いので時間が気になりません。2部構成のようになっていて、ゲットーがテロリストとしてペルフィディアと戦っていた時代と、ゲットーがボブと名を変えて子供を育てている時代が描かれます。その2部を繋いでいるのが変態軍人のロックジョーです。
テロリスト「フレンチ75」として活動しているのですが、最初のころは不法移民として逮捕され強制送還されるはずの移民を収容所から逃がしたり、人を助けるための行動をしているのですが、段々と富裕層への不満を爆発させるようになり、政治家の事務所や銀行に押し入って強盗を働くなど、犯罪をするようになるんです。
一応は活動資金の調達のためという名目なのだと思いますが、それじゃただの犯罪者たちでしょ。「フレンチ75」の中でも意見が分かれ始めたんじゃないかな。ゲットーは犯罪することをよく思っていないようで、特に子供が生まれてからは活動をしなくなり、ペルフィディアは活動にのめり込んで娘を捨てて出て行くんです。
活動が過激になり、ある裏切りにより「フレンチ75」のメンバーを一掃する作戦が動いて、ゲットーは娘を連れて身を隠さなければならなくなり、ボブと名前を変えて地方に引っ越すんです。そして娘が大きくなった16年後に時間が飛ぶんです。
ペルフィディアはどちらかというとサディストっぽくて、相手を支配し従わせるのが快感のようで、性関係も奔放な人物でした。なので、ゲットーと夫婦になって平凡な生活を始めようと思っても、続けることが出来なかったと思うんです。ゲットーも娘も大切に思っていたとは思うけど、一緒に静かに生きることは出来ない人だったんです。それはゲットーも理解していて、バラバラに生きることに文句を言わなかったんじゃないかな。
16年後にヴィラが高校生になった時、状況が動き出します。突然にヴィラが狙われ始めるんです。なぜ16年後だったのか、それは映画で観て欲しいのですが、白人至上主義の裏組織が関わってきていて、アメリカならではだなと思いました。KKKのような組織のようでした。怖いでしょ。
ボブ(ゲットー)は普通のおっさんとして生きていて、一応、何か仕事をしていたんだろうけど、何をしているかは解りませんでした。麻薬中毒のようで、そんなんでも許される仕事とは何だろうと思ったけど、まぁ、それはどーでもよくて、娘と一緒に普通に穏やかに暮らしているようでした。
ヴィラも普通の女子高生で、父親に携帯を持つことを許されていないけどこっそりと持っていたりして、それなりに楽しんでいるようでした。それが突然に軍に追われることになり、初めて会うテロリスト組織にかくまわれることになりますが、母親の血なのか、そんなに驚いているようには見えませんでした。ある程度は父親から聞いていたのかなぁ。
ここからはあまり書けないんだけど、今までのテロリストとしての戦いとは違う、個人的な戦いとなっていきます。ここからセンセイと呼ばれるヴィラの柔道の先生が出てきます。デル・トロさんが演じているんだけど、謎なんですよねぇ。ずーっと謎なんですよ。どこからか現れてボブを助けてくれるんです。面白かったな。
この脚本は、1990年の「ヴァインランド」という小説にインスパイアされてポール・トーマス・アンダーソン監督が書かれています。時代を変えてあるのが一番大きい変更かな。よく出来ているお話しでした。ボブ役のレオ様も、センセイのデル・トロさんも良かったなぁ。変態軍人のショーン・ペンさん、よくこの役を演じてくれました。ペルフィディアを演じたタヤナ・テイラーさん、この映画で一番カッコ良かったんじゃないかな。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。私はとても気に入りました。面白いです。凄く楽しく観ることが出来ました。社会派ドラマっぽく描きながらも、実は家族の物語となっていて、家族の絆、血の絆、を考える話になっていました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」