「ラスト・ブレス」
を観てきました。
ストーリーは、
北海でガス・パイプラインの補修を行うため、スコットランドから出航した潜水支援船タロス号。ダンカン、デイヴ、クリスの3人の飽和潜水士が水深91メートルの海底で作業している最中、タロス号がシステムの異常で制御不能に陥り、クリスの命綱が切れ、深海に投げ出されてしまう。
というお話です。
飽和潜水士のクリスはスコットランドのアバディーン港で潜水支援船、タロス号に乗り込んだ。これから1ヵ月間、クリスが従事するのは、北海の海底に張り巡らされたガスのパイプラインを補修するミッションだ。クリスがチームを組むのはベテランのダンカンと、人当たりはぶっきらぼうだがプロ意識が強いデイヴ。
やがてタロス号は作業地点の海面に到着し、潜水ベルに乗ったダンカン、デイヴ、クリスは水深91メートルへと下ろされる。完全な暗闇と静寂に支配された海底に降り立ち、マニホールドと呼ばれる構造物で補修を行うのはデイヴとクリス。ダンカンは潜水ベルにとどまって、作業の進捗状況を確認する役目を担う。
行程は順調に進んでいたが、海上のタロス号のコンピュータ・シスタムが異常をきたし、到来した暴風雨によって船体が流されてしまう。異変に気づいたデイヴは作業を中止し、クリスとともに避難行動を取るが、クリスの命綱である酸素を送るケーブルが構造物に引っかかってしまう。デイヴの指示で緊急ボンベに切り替えるが、緊急用の酸素は10分しかもたない。その直後、クリスは深海の暗闇の彼方へと流されてしまう。
タロス号の制御室では、潜水作業の監督官クレイグ、船長のアンドレらが懸命の対処を試みていた。何としても船を作業地点に戻さなくてはならない。仕方なく手動操縦によって船を戻すことを決断。クレイグは無人潜水艇による探索で、マニホールドの上部で意識を失ったまま横たわるクリスを発見。クリスの生存反応は確認されたがすでに緊急ボンベの酸素が切れてから7分以上が経過していた。後は、映画を観てくださいね。
この映画、実話ベースなのですが、そこらの実話ベースとは訳が違います。本当にこの事故に遭われた方のお話をドキュメンタリー映画で撮影した監督が、再度、綿密なリサーチを重ねて、実際に事故が起こった船で撮影するなどをして、1本の新しい娯楽作品として制作をしました。もちろんエンタメなので面白くはしていると思いますが、事故については実際に起こったことを描いているようでした。
まず、飽和潜水士って何?ってなりますよね。深海に潜って作業をする方たちなのですが、仕事としては海底ケーブルなどの補修やこの映画ではガスのパイプラインの修理をしていました。深海ではない場所での仕事は通常の潜水士が行うのですが、この潜水士の試験、私も一度、受けてみようかと思ったときがありました。
スキューバダイビングをやっている時、仲間の一人が潜水士の試験を受けまして免許を取ったんです。筆記試験もあったと思うけど、主に何時間か潜るという研修があったようでした。潜水士は報酬も良いと聞いて、若かったのでやろうと思ったのですが、水中での力仕事がメインなので、さすがに女性にはキツいと言われて諦めたんです。この映画を観て、その意味が解りました。
映画に戻りますが、潜水士のクリスは結婚を控えており、海の近くに家を建てて婚約者と暮らしています。そんなクリスに仕事の依頼の電話がかかってきます。クリスは潜水士としてやっと認められ、仕事が来るようになっていたんです。
しかし飽和潜水士は一度仕事に入ると数週間は帰って来れません。何故なら、数時間潜るために、圧力タンクに入って深海に身体を慣れさせる必要があり、数日間かけて圧力調整をするんです。潜る時も数日、上がる時も数日かかるので、少しの作業でも数週間かかることになります。それでもクリスはこの仕事が好きなようでした。
今回の仕事はガスパイプラインの補修です。ダンカンとデイブと共にタンクで潜り、作業はデイブとクリスが行うためにタンク外に出てパイプラインに向かいます。深海も水流が早い様子で大変そうでした。そこで事故が起きるんです。上に待機している船が流され、船とつながっているタンクが動いてしまい、外に出ていたクリスとデイブが残されてしまうんです。
飽和潜水士はタンクで潜っているのではなく、上からのエアホースで空気を吸っています。なのでタンクが動いてしまうとホースが引っ張られて、クリスのホースは金具に引っかかって切れてしまうんです。これ、いい方法って無いんですかね。だってホースが切れるという事故は起こりえるでしょ。予備タンクは10分しか持たないので、クリスは命の危険が迫ってくるんです。
タンクの時間ですが深海なので空気の使用料がハンパなく多くなるんです。91mと言っていたので9気圧、通常の9倍以上の空気を消費すると考えると10分しか持たないのは当たり前なんです。そんな深海で空気が無くなってしまったクリスがどうなるのかは映画で確認して欲しいのですが、まぁ、これは奇跡かな。凄いことだと思いました。
もし、クリスに起きた奇跡の要因が解ったなら革新的なことだし、これ水中の事故だけでなく、火事で煙に巻かれたりした時の救助に使えるんじゃないかなと思いました。きっと、色々な要因が上手く絡み合って起きた事なんだと思いますが、9気圧もの水圧の中で人間が漂っていて助かるなんてことはホント信じられないんです。凄かった。
私の好きなウディ・ハレルソンがダンカンとして出演していたし、あのシャン・チーのシム・リウがクリスと一緒に潜るデイヴを演じていて良かったです。知っている二人がいると、何となく心強いというか、不安な映画の中で少し救われる気がしました。
エンドロールで、ご本人様たちが出てきて事故後の様子などが流れました。みなさんお元気そうで良かった。色々な事故が起きるけど、人間って奇跡のようなことで助かることってあるんですよね。神なんて信じないという人もいるだろうけど、でもどこかに神様はいるのかもと思ってしまうことが起きるんです。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。面白いし凄いお話なのですが、実話ベースなのでスーパーヒーローが出てくる訳でも無く、人の力で解決をしていくというお話です。アクション映画などに比べると面白さは大人しいですが、これが実話だと思うと、凄く感動します。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ラスト・ブレス」