「ホーリー・カウ」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
ジュラ地方で暮らす18歳のトトンヌ。チーズ職人の父が不慮の事故で亡くなり、7歳の妹の面倒を見ながら、生計を立てる方法を見つけなければならなくなる。チーズのコンテストで金メダルを取れば3万ユーロの賞金をもらえることを知り、父が作っていた製法でコンテチーズをつくることを決意する。
というお話です。
フランスのスイス国境に近いコンテチーズの故郷ジュラ地方。18歳のトトンヌは、仲間と酒を飲みパーティに明け暮れ、気ままに遊び過ごしている。まだまだ学生気分が抜けておらず、父親に頼りっきりで働いてもいない。
しかし現実は容赦無く彼に襲いかかる。ある日チーズ職人だった父親が不慮の事故で亡くなってしまう。それまで働きもせずに遊んで言えたトトンヌは、7 歳の妹の面倒を見ながら、生計を立てなければならなくなる。
知り合いのツテを辿りチーズ工房の仕事を世話して貰い働き始めるものの、遊んでいた頃に敵対したグループの男が工房経営者の息子で酷い虐めを受ける。しかし生活のため、仕事を辞める訳にはいかず、我慢して仕事を続けることに。
そんな時、工房に検査員が訪ねてきて、チーズのコンテストで金メダルを獲得すれば3万ユーロの賞金が出ることを知る。賞金があれば妹と楽が出来ると思い、自分の力で伝統的な製法による最高のコンテチーズを作ることを決意する。後は、映画を観てくださいね。
この映画、いい映画だったなぁ。そんなに凄い出来事が起きる訳でもなく、フランスの片田舎で暮らす青年の日常が描かれているんです。彼にとっては父親が亡くなるという大変なことが起こり、仕事をしなければいけなくなるのですが、もう18歳ですよ。大学に行っていないのであれば、既に仕事をしていて当たり前でしょ。パパに甘やかされていたのか、遊び惚けていたんです。
いきなり現実を突きつけられたトトンヌは、父親の葬式を済ませて仕事に就きます。近くのチーズ工房です。その地域はジュラ地方と言って、チーズ作りが盛んな地域らしいんです。その地域でだけ作られるコンテチーズは世界的に有名なチーズらしいんです。トトンヌの父親も自分でチーズを作っていたのですが、亡くなってしまい、工房は閉鎖したんです。
トトンヌは遊び歩いていた時に敵対した男が、チーズ工房の経営者の息子だと解り、ヤバイと思うのですがどうしようもないですよね。暴力を受けて我慢するんです。でも、これって自分が蒔いた種なんですよ。遊んでいた頃は滅茶苦茶で周りに迷惑をかけていたので、その報いを受けた感じなんです。
若い頃って後先を考えずに、いたずらをしたり、嫌がらせをしたり、喧嘩をしたりとムチャしてしまうのは理解出来るんです。未来は見えないし、やりたいことがある訳でもなく、今何をしたらよいのか全く解らずに、無茶苦茶してしまったんだと思うんです。そういう時期って誰にでもあると思うんです。
でもね、それを終えなきゃいけなくなった時、どれだけ自分が我慢出来るかなんですよ。自分も生きなきゃいけないし家族を養わなきゃいけない。自分が全て背負うことになるんです。今までは父親が背負ってくれていたことを、そのまま自分がやらなければならなくなる。一気に目が覚めますよね。誰かに頼れと言われていたけど、18歳だったら自分で背負わなきゃダメよね。誰も助けてくれません。
まだまだ子供のままだったトトンヌは、そこから色々なことを憶えていきます。父親の仕事をしっかりと教わっていれば良かったのに全く教わっていなかったので、チーズ作りで賞金が貰えると聞きそれで儲けようと思ったんだけど全く出来ないんですよ。上手く作れないんです。それでも努力をして少しづつ形にはなって行くんだけど、社会ってそんな簡単なもんじゃないでしょ。
食品を作るなら、衛生法とか他にも行政手続きとか協会手続きとか、ただ作ればいいってもんじゃないんだということを解っていないんです。なのでチーズが作れたとしても1からやり直しになるんです。もちろん味が一番問題なんだけど、それだけじゃないのよねぇ。そんな事をトトンヌは何一つ知らず、ここから一つづつ憶えていくんです。
そういう人から教わらないと解らないことって社会に沢山あるでしょ。社会生活を営むっていう事は、人とコミュニケーションをしてルールを教わっていくことが第一に大切だということをトトンヌは学んでいくんです。人と関わるならお互いに好き勝手は出来ないし、教えて貰うのなら頭を下げなきゃいけない。そんな人間としての基本を学んでいく姿が描かれていて、凄く感動したし、面白かったんです。
この映画、カンヌ国際映画祭で賞を貰い、フランス国内では大ヒットとなった作品です。今まで、こういう何も学んでいない遊んでいた青年が、突然に社会生活を営むために必死で学んでいくということが描かれてこなかったと思うんです。
大体、18歳にもなって何も知らないなんてあり得ないって基本から話を作るけど、こういう何も知らない奴ってホントにいるんですよ。努力は解るんだけど空回りしてるよーって青年いるでしょ。そんなことが描かれていて、凄く面白くて、何となく心が温かくなるんです。考えてみると、みんなこうやって学んでいったんだと思うんですよね。
そんな素敵な映画でした。私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。ほっこりして応援したくなる映画でした。面白いですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ホーリー・カウ」