「俺ではない炎上」
を観てきました。
ストーリーは、
山縣泰介は、ある日突然、自分のものと思われるSNSアカウントから女子大生の遺体画像が拡散され、殺人犯としてネット上で名指しされてしまう。身に覚えのない事態に無実を訴えるも、またたく間に情報は広がり、ネットは炎上する。泰介は必死の逃亡劇を繰り広げながら、無実を証明し、自分を陥れた真犯人を見つけようと奔走する。
というお話です。
大手ハウスメーカーに務める山縣泰介は、ある日突然、彼のものと思われるSNSアカウントから女子大生の遺体画像が拡散され、殺人犯に仕立て上げられる。何の関係も無い人物によるリツイートにより拡散され、炎上してしまったのだ。
家族も仕事も大切にしてきた彼にとって身に覚えのない事態に無実を訴えるも、瞬く間にネットは燃え上がり、“炎上”状態に。匿名の群衆がこぞって個人情報を特定し日本中から追いかけ回されることになる。誰かを頼ろうとするが、誰も山縣を助けてはくれず迷惑がる人間ばかりだった。
そこに彼を追う謎の大学生・サクラ、大学生インフルエンサー・初羽馬、取引先企業の若手社員・青江、泰介の妻・芙由子といった様々な人物が絡み合い、事態は予測不能な展開に。無実を証明するため、そして真犯人を見つけるため、決死の逃亡劇が始まる。
やがて明らかになる衝撃の真実。現場に残されたメッセージが示した場所に向かう山縣を追う人物たちは、一体、山縣になにをしたいのか。そして山縣は自分が追われることになった理由をやっと知ることに。山縣は日常を取り戻すことが出来るのか。後は、映画を観てくださいね。
この映画は浅倉秋成先生の原作小説を映画化したものです。小説の映画化だと筋がしっかりしているし、ネタ回収もしっかりされているものが多いので安心して観ていられます。これ原作が面白いんだろうなぁ。怖さと面白さが交互に来てハラハラドキドキが最後まで続きます。
面白かったですよ。ネタバレしないように感想を書くのが難しい内容でしたが、とりあえず書いてみますね。これ、考えながら書かないとちょっとしたことでネタバレしちゃうような構成なので、マジで気が抜けないのよ。(笑)
山縣はハウスメーカーの中堅サラリーマンです。私も同じような年代なので解るのですが、若手がドライすぎるとか頑張らないとかそんな文句をいつも言っているんです。確かに私の年代はそれこそ”24時間戦えますか”と言われた時代なので、今の働き方とは雲泥の差でした。だから山縣が文句を言いたくなるのも解るのですが、それは現代には通用しませんよね。
自分のSNSが炎上ということになり、誰に恨まれていたんだろうと考えるのですが思い浮かばないんです。だって、誰もが自分が基準となっているんですから、自分を恨む人なんていないと考えているでしょ。そして誰かに助けを求めようとすると、若手の社員から”恨まれてないと思っていたんですか”と言われてしまうんです。これはリアルだなぁと思いました。
どんな人でも、自分が恨まれているなんて通常は思っていないですよね。でも普通に生きていれば、自分がラッキーと感じればその分誰かが不幸だと感じているかもしれない。宝くじに誰かが当たれば、なんであの人だけと思う人もいるだろうと思うんです。ということは、必ずどこかで恨まれていますよね。
この山縣もはっきり言って、それくらいのことで恨まれているんです。それなのにこれほどに追われることになったのは、SNSで沢山の人がリツイートをしたからなんです。私もそうですがSNSで見ていて気になったツイートをリツイートするなんて、そんなに考えないでしてしまっています。それが一人の人を追い詰めてしまうなんて考えていないんです。
この映画を観ていて、リツイートがこんなに恐ろしい結果を導いてしまうんだということをリアルに感じました。だってどこを歩いていても人にスマホ(カメラ)を向けられるし、自宅にも知らない人たちが来たりするんです。家族は家に居られなくなるし、自分は会社にも行けなくなる。恐ろしいですよね。
警察が事件の捜査を始めるのですが、マジで”無能”なんですよ。年配の刑事が昔の感覚で捜査をするので、現代の状況が理解出来ないんです。若手の刑事が訴えても話を聞いているようで聞いていなくてイラッとしました。山縣が会社で恨まれているように、警察内部でも上司と部下の確執がしっかりと描かれていて上手いなぁと思いました。
山縣家の家族の問題も描かれていました。子どもの頃って知識が少ないからどうしても親の言っていることを理解出来ないし、何でそんなに怒るのか解りません。大人になれば理解が出来るんだけど、子どもにとっては、親は面倒臭い邪魔な存在になることも多々あると思います。でもきっと大人になれば親の思いも理解してくれると思うんです。だから嫌われても悪い事は悪いと教えないといけませんよね。
この映画では、そんな些細な日常を描きながら、社会問題となっているSNSの負の部分を描いていてよく出来ているなと思いました。問題を描いているだけではなく、コメディ部分もあったりして楽しめるんですから凄いでしょ。阿部さんも素敵なんですけどね。それに芦田愛菜ちゃんも出演しているし楽しいです。
そうそう山縣は大手ハウスメーカーの営業のようでしたが、こちらはあまりリアル感はありませんでした。ハウスメーカーの営業って、もっとガリガリしている感じで成績が悪かったら直ぐにクビになっちゃうというのがリアルなので、営業が仲良くやっているなんて聞いたことが無いんですよ。時代が変わっても、このスタンスは変わっていないんじゃないかな。でないとハウスメーカーなんてあっという間に潰れますから。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。面白かったです。SNSに追い詰められていく人のリアルが詰まっていて、恐さと面白さが詰まっていました。これは誰が観ても楽しめる作品なんじゃないかと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「俺ではない炎上」