宝島 米国統治下の沖縄で何が起こったのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「宝島」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い住民らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。リーダー格のオンは、ある夜の襲撃で“予定外の戦果”を手に入れたオンは、そのまま消息を絶ってしまう。残された仲間3人は、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、それぞれにオンの消息を探っていた。

というお話です。

 

 

1952年、沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク、ヤマコ、レイの3人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオンだった。

全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは“予定外の戦果”を手に入れ、突然消息を絶ってしまう。残された3人は、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、オンの影を追いながらそれぞれの道を歩み始める。



 

しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。

やがて、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出す。消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とは。後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、3時間11分もあるので、お手洗いが結構キツいと思います。観る前は水分を控えめにして、ドリンクなども持って行かない方が良いかもしれません。でもドキドキハラハラの場面も多いので、喉乾くよなぁ。うーん、何とか私は持ちこたえましたがお手洗いに出ていく方はやはり多かったです。

 

いい映画でした。私、原作を読み始めたのですが、時間が無くて途中までしか読めず、結局、映画の方が先になってしまいました。でも、いい話だったなぁ。真藤先生の作品なので、絶対に面白いと思っていたんだけど、やっぱり凄かった。よく映像化出来ましたね。あの頃の沖縄を再現するの大変だったんじゃないかな。

 

 

沖縄を題材にした映画や舞台は幾つもあって、この映画にも描かれていた「ゴザ暴動」がとても有名ですよね。色々な作品で観たのですが、この映画でも凄かった。今までにない迫力で描かれていました。実際にこんな風に怒りが爆発したんだろうなって思いました。

 

あの時の怒りは今も続いているんですよね。基地は無くならないし、米兵による事件は今も起きていて、日本は文句が言えない状態なんですよね。敗戦したとは言え、さすがに日本政府は言うべき時じゃないんでしょうか。あ、でも基地の前で寝そべったりしている人たちは間違っていると思います。

 

 

話を映画に戻して、米軍基地から物品を盗んで人々に分け与えていたという現代の”ネズミ小僧”的なオンちゃんはカッコ良かったなぁ。あんなカリスマ的な指導者がいたら、みんな頑張ったんだろうなぁと思いました。戦争には負けたけど、今は負けないという気持ちを持って戦っている姿は素敵でした。

 

あれほどに印象的なリーダーがいたからこそ、あの3人は忘れずにオンちゃんを探しまわっていたんだろうと思うんです。損得なしにみんなの為に動いていたオンちゃん。もしあんな人が現代にもいたら素晴らしいリーダーになっただろうな。自分の利益の為だけに外国から移民を受け入れるとか言っている政治家とかぶん殴って欲しいっす。

 

 

そんなオンちゃんを探すグスクとヤマコとレイは、それぞれに違う道を歩きます。グスクは刑事に、ヤマコは小学校の教師に、レイはヤクザになり、それぞれのルートでオンちゃんを探していき、あるところまでは見つけるのですが、それ以降のオンちゃんの足取りが解らなくなるんです。

 

3人は孤児なんです。戦争の後ですからね。なので面倒を見てくれる親はいなかったけど、沖縄って周りの大人が面倒を見てくれたようで、ちゃんと育ってきたんです。そして大人になった彼らも、孤児や貧しい家の子どもの面倒を見るんです。米国の統治時代ですから米兵との私生児を産む女性も多く孤児が沢山いました。そんな孤児の中のウタという少年はレイやグスクを慕っていて、2人も面倒を見ていました。

 

 

ある時からグスクは刑事として認められ、米軍の諜報部に協力を求められます。嫌々ながらも仕方ないので米軍の警察に協力し、その見返りとしてオンちゃんがいなくなった時の情報を聞き出していたんです。しかし何故かオンちゃんがいなくなった事件の時の情報を米軍の資料から探そうとすると、捕まって脅されます。

 

あの事件の時、米軍が隠蔽しなければならないような何かがあったようで、だからオンちゃんの情報が入って来ない。解らないようなんです。もう米軍内部からは情報が出てこないと解り、他からの情報を集めて、オンちゃんに近づいていきます。オンちゃんは生きているのか、それとも死んでいるのか。あの時、オンちゃんは何を手に入れて逃げたのか。驚くようなことが解ってきます。

 

 

いやぁ、面白かったなぁ。これは小説も読まなくちゃ。グスクの妻夫木さん、レイの窪田さん、ヤマコの広瀬さん、オンの永山さん、上手かったなぁ。このレベルをそろえていただけると、本当に映画が面白いです。間違いないですもんね。そして周りを塚本さん、中村さん、ピエールさん、奥野さん、瀧内さんなどが固めていてガッツリでした。

 

米国統治下の沖縄ですから、色々と描きにくいこともあったんじゃないかな。連続暴行殺人事件などはサラッと流していたけど、もっとエグいことをされていたりしたのかもしれない。でも描けませんからね。それでも米国の横暴さなどはある程度描いていたと思います。

 

 

コザ暴動のについてですが、私、松山ケンイチさんと岡山天音さんが舞台で演じた「hana-1970、コザが燃えた日」という作品で知りました。この舞台も素晴らしかったんだけどその内容が、米軍にいなくなって欲しいけど、いなくなったら店に来る客がいなくなるという、どちらになっても困るという立場の一般人の気持ちが痛いほど伝わってくる作品だったんです。

 

今回の映画の中にも、その葛藤をしている人々の姿もあり考えさせられました。世の中って全ての人々が幸せになれる手立てって、まず無いんですよ。必ず誰かが苦しむことになる。それが解っていながらも、どちらかに決めなければいけない。いつの時代もそんな事の繰り返しなんでしょうね。

 

最後に題名の「宝島」とは何なのか。何が彼らの宝だったのかが分かります。切ない物語でしたが感動しました。彼らがしあわせになることを願います。

 

 

この映画、本当に良かったです。私は、超!超!お薦めしたいと思います。沖縄の苦しかった時代を忘れないようにしなればいけません。それに未来の沖縄のことも考えなければいけません。そんな事を思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「宝島」