「愛はステロイド」
を観てきました。
ストーリーは、
1989年。トレーニングジムで働くルーは、夢をかなえるためラスベガスへ向かう野心家のボディビルダー ジャッキーと出会い恋に落ちる。しかしルーは、街の裏社会を仕切る父親や、夫からDVを受けている姉など、家族に問題を抱えていた。ルーを助けたいジャッキーは犯罪へと引きずりこまれていく。
というお話です。
1989 年、ニューメキシコ州の田舎町のトレーニングジムで働くルーは人間関係に鬱々していた。妹のベスはどんなに暴力を受けてもDV夫のJJと別れようとしない。父親は射撃場を経営しながら裏の犯罪仕事を続けている。軽薄な友人のデイジーはルーにまとわりつき離れてくれない。
そんなある日、ラスベガスでのボディービルダー大会の準備をしながら町で野宿をしていたバイセクシャルのジャッキーと出会う。彼女と気が合ったルーは身体を強化するためにステロイドを勧め、ジャッキーは身体が一気に出来上がり始め、同時にルーとの仲も深まり一緒に住むことになる。
深く愛し合うようになった二人だったが、ルーの妹・ベスと夫のJJと一緒に食事をした際、ジャッキーがこの街に来た時に行きずりのSEXをした相手がJJであり、JJがジャッキーにルーの父であるルー・シニアの射撃場でのウェイトレスの仕事を紹介したことをルーが知ってしまう。喧嘩をした二人だったが、その後、JJがベスに酷いDVを行い、ベスが意識不明で病院へ運ばれたという連絡を受け、病院へ駆けつける。
ベスのベッドの横でJJを殺したいと怒りを抑えきれないルーだが、ベスはJJを愛しており殺すわけにはいかない。しかしベスをこんな目に合わせてほおっておく訳にもいかない。そんなルーを見ていたジャッキーはステロイドの使いすぎで怒りを抑えられなくなり、愛するルーの為にJJを襲撃する。そして…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、凄い展開でビックリでした。ラブストーリーだけどサスペンススリラー要素もあって、ちょっと残酷なスプラッター部分もあったりして、その上笑えるのでコメディ要素もあるという、面白い映画でした。1989年のお話なのに同性愛を全く問題なく受け入れていたのがちょっと不思議でした。この時代だと、同性愛はまだまだ受け入れがたい人が多かったと思うけど、この街はたまたまなのかな。
ルーとジャッキーが出会い二人はどんどん盛り上がっていくんです。そんなしあわせな二人の周りには嫌な奴ばかりがウロウロしていて酷かった。父親のルー・シニアは射撃場を経営しながら、武器の密輸とか色々な悪いことをしているようで、警察にも金を払って仲間にしているんです。
妹のベスは頭が悪いのか洗脳されているのか、どんなに暴力を受けても夫のJJと離婚する気は無く、ヘラヘラと一緒に暮らしているんです。この共依存の関係は最悪でした。意識不明の重体になるほど妻を殴る夫ってどういうこと?信じられないし、それで捕まらないのもおかしいでしょ。ベスがかばって訴えないからやりたい放題にされてしまうんです。私も観ていて、この関係はヘドが出ると思ってしまいました。
虐待されているのにその人と一緒にいなければ生きられないとか言っちゃう人って何なの?共依存だということは解るんだけど、なんでそんな人間に依存しちゃうのかしら。どーしても納得出来ないし、どっか壊れているとしか思えないんです。
まぁ、そう思っているのは映画の中の人々も一緒で、ジャッキーが強硬手段に出てしまうんですよ。何をするかは映画で確認して欲しいんだけど、私はつい笑ってしまいました。あまりにも凄いやり方でスカッとさせてくれたので嬉しくなりました。その上、演出が面白くて、ブハッと噴いてしまいました。それくらい衝撃的で笑っちゃったんです。
うーん、ジャッキーやるなぁ。ボディビルダーさんが摂取しているステロイドって、あんなに筋肉増強させるんですね。途中で何度もメキメキッて筋肉が動く音がするので、それも笑ってしまう要素でした。ポーズを取ってメキッと筋肉の音がすると、自然とブフッと吹き出しちゃうんです。
ルーは静かに暮らしたいと思っているのに、次から次へと色々な事が起こり、父親も極悪人だし、全然休まることが出来ないんです。ジャッキーと一緒にいるとしあわせではあるけど、ジャッキーも問題児であり、手間がかかるんです。ルーはどこまでも補助する側の人間で、最後の最後まで尻ぬぐいしてました。彼女の人生は尻ぬぐい人生です。
私が思うに、ルーはこの街を出て、今までの周りの人とは縁を切って一人で新しい土地でやり直した方がいいと思うんだけどな。ジャッキーやとってもイイ奴だけど、なんか全部ルーが面倒見ているんですよ。恋人というよりお母さんみたいになっちゃっていて、もうジャッキーとも別れて一人になりなよって助言してあげたくなりました。好きなのはわかるんだけどね。
それにしてもボディビルダーって、あんな風にステロイド注射をしてムキムキにしているんですね。初めて知りました。プロテインを飲むだけじゃないんだね。あのポージングをする時に、メキメキッて筋肉が張るようにするんですね。綺麗だとは思うけど、あの一つ一つの筋肉が”鳥のササミ”みたいに見えて、ちょっとグロテスクですね。
映画に話を戻して、単純そうにみえるストーリーなのですが、複雑で面白くなっていて、それぞれの人物が自分の事しか考えていないということが良く解るんです。ただ一人、ルーだけが誰かの為にと動いているように見えました。そんなルーだからジャッキーも愛したんでしょうね。
ジャッキーも良い人なんですけど、ボディービルダー大会に向けての身体作りはストイックで、自分のことしか見えていないようになっていました。そんな時に突然、愛するルーが悲しむような事ことをやらかす奴がいることに気が付き、彼女を悲しませないためにストレートなやり方をするんです。愛の深さかな。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。観る人によってはハードなサスペンススリラーなんだけど、私にはラブコメに観えました。だって、ある事をしでかして二人で逃げようとする場面で、お花畑?を二人で手を繋いで”あはははは~!”って駆ける映像になっていて、ここでも噴いた私でした。面白かったなぁ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「愛はステロイド」