「九龍ジェネリックロマンス」
を観てきました。
ストーリーは、
九龍城砦の不動産屋で働く鯨井令子は、先輩社員の工藤発に恋をしている。しかし2人の距離はなかなか縮まらない。ある日、工藤と立ち寄った喫茶店・金魚茶館の店員タオ・グエンに、令子は工藤の恋人と間違われる。実は工藤の元恋人は、令子に瓜ふたつだった。
というお話です。
懐かしさ溢れる街・九龍城砦の不動産屋で働く鯨井令子は先輩社員の工藤発に恋をしていた。工藤は九龍の街を知り尽くしており、令子をお気に入りの場所に連れ出してくれるが、距離は縮まらないまま。
それでも令子は、九龍で靴屋を営む楊明、あらゆる店でバイトをする小黒らといった大切な友達もでき、九龍で流れる日常に満足していた。しかしある日、工藤と立ち寄った金魚茶館の店員タオ・グエンに工藤の恋人と間違われる。さらに、令子が偶然みつけた1枚の写真には、工藤と一緒に自分と同じ姿をした恋人が写っていた。
そんな九龍城砦を歩き回る男がいた。蛇沼グループの代表取締役の蛇沼みゆきだ。ジェネリック地球計画にも関わり、クローン人間”ジルコニアン”に興味を持ち、令子の存在に興味を持つ。令子がジルコニアンなのではと疑い、手に入れたいと思っている。
令子は思い出せない過去の記憶、もう 1 人の自分の正体、そして九龍の街に隠された巨大な謎について、知りたいと思いながらも知るのが怖くて躊躇してしまう。過去・現在が交錯する中、工藤への恋が秘密を解き明かす。後は、映画を観てくださいね。
私、原作漫画は読んでいないのですが、アニメは観ていたので映画とどう違うのか楽しみにして観に行きました。工藤と令子の恋愛に関してはアニメとほとんど変わっていませんでした。でも、他の関係が随分と変わっていましたね。特に蛇沼みゆきちゃんに関しての話はほとんど削られていたので、実写版だと何でみゆきちゃんが出て来たのか解らないよねーって感じでした。
九龍に浮かぶ正八面体のジェネリックテラ。人間の記憶や意識を保存し、事故などで記憶を失ったときはそのバックアップを使い人間の記憶を復元し、不老不死の研究にも役立つらしいんです。簡単に言うと巨大なサーバーですね。で、その記憶をジルコニアという人間のクローンに埋め込めば、亡くなっちゃった人も生き返るんじゃないかっていう事なんです。
それを踏まえて、今の九龍で働いている鯨井玲子と工藤発は、お互いに思い合っていながらも告白をしない、付き合わないということを続けているんです。工藤の元恋人は令子とそっくりの鯨井(B)と呼ばれる人物。何故そっくりな二人が工藤の前に現れたのか。
鯨井(B)は、既に亡くなっていて、工藤が彼女の自宅で亡くなっているのを見つけたんです。工藤は、鯨井(B)が亡くなったのは自分のせいだと考えて、とても後悔をしているんです。その後悔が今の九龍を作り上げたんじゃないかなと私は思いました。誰かが幻想の九龍を作ったハズなんですから。
少しネタバレになりますが、みゆきちゃんとグエンが「工藤がXだ。」と話しているセリフがありまして、工藤が無意識領域として作っていた世界が九龍だということが解りました。なので九龍だけは夏から抜け出せず、何度も繰り返しているんです。
鯨井令子は過去の記憶が無く、気が付くと工藤と同じ不動産屋で働いていたということなんです。どういうこと?って思うかもしれませんが、この基本情報を飲み込んでいただかないと先に進めません。何故だか今はそうなってるんです。懐かしい雰囲気の九龍は今も健在で沢山の人が住んでいます。これは中に生きる人だけの共通の幻なんですよね。
まぁ、中に生きている人々が人間かどうかは解りませんけどね。色々と何となくは理解出来たのですが、恋愛ドラマなのでSF的な要素の部分は設定が甘いと思いました。後悔で町が作れるというのはさすがに壮大でしょ。ちょっと難しいよね。彼が昏睡状態とかで夢を観ているなら解るけど、沢山の人を巻き込んででしょ。うーん、問題だよ。
私はもっとジェネリックテラやジルコニアン(クローン)が関わって九龍が出来ているのかと思ったんだけど、工藤が鯨井(B)を亡くした後悔に他の死んだ人に会いたいという思いが重なって、ジェネリックテラのエネルギーを使って九龍を生み出していたんだろうと思います。思いを増幅しただけですね。
そして九龍にはジルコニアンが多数住んでいたので、自分のオリジナルが来ると消えてしまうという現象があったのだと思います。オリジナルが来ると消えるというのも不思議よね。もし工藤の意識の中だけで作られていたのなら解るけど、ジルコニアンという作り物でしょ。消えるってあり得ないよなぁ。作る時の設定で何かプログラムを入れていたのかな。不思議でした。
私、みゆきちゃんというキャラクターが好きなんです。母親の治療をして貰うため蛇沼の家に養子として入ったのに、約束は守られずにみゆきの母親は亡くなり、蛇沼家に復讐してやるという思いに駆られて関わり始めたのがジルコニアンのようでした。
実はインターセックス(半陰陽)で女性的な部分もあるんです。映画では描かれなかったけど、悲しい宿命を背負いながら、復讐を考え、周りの人物のことも考える本当は優しい人なんだと思うんです。グエンがいつもみゆきちゃんって呼んでいて、この二人は良かったなぁ。
鯨井令子の吉岡さんも工藤役の水上さんもアニメのイメージを崩さずに良かったです。この鯨井は難しいんですよね。鯨井(B)の時は工藤の2つ年上で落ち着いた美人なのに、新しい鯨井令子は工藤の2つ年下で可愛い部分が沢山ある女性です。
こだわりも強く、自分の意思を突き通すような強さもあります。一方、工藤は明るく見えて実は根暗で心の中でモヤモヤしているタイプかな。そんな工藤を明るく変えていくのは新しい令子なんです。それが良かったな。工藤には鯨井(B)よりも令子の方が合ってると思いました。
ネタ回収が全て終わらずに終わっちゃった気がするんだけど、きっと原作漫画を読めばスッキリするのかな。結局、ジェネリックテラはどうなったのか、ジルコニアというクローンは作り続けられているのか。工藤と令子が出てしまった後、九龍はどうなったのか。もっと色々と解決していないと思えるようなことがいくつかあり、原作を読むべきか悩んでいます。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。SF的な部分は全部回収出来ておらず謎は残っていますが、他は回収をしていたので楽しめると思います。出来れば原作やTVアニメを観ておくとより楽しめるかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「九龍ジェネリックロマンス」