「8番出口」地下通路を歩けど歩けど出口が見つからない。異変とは何?そして男が見つける出口とは。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「8番出口」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

男は仕事に行くために電車に乗る。イヤホンで音楽を聞いているが泣き声が聞こえ奥を見ると赤ちゃんが泣いており、前に立っている男が「うるさい!」と母親を怒鳴り散らしている。気にはなったが誰も声をかけず、男もそのままイヤホンをして次の駅で降りる。

 

 

ホームを歩いていると電話が鳴り出ると、別れた女からの電話で子どもが出来たという。”どうする?”と言われ、頭が一杯になり呆然自失で歩いていると、電波が悪いのか声が聞こえなくなり突然電話が切れてしまう。

 

蛍光灯が灯る無機質な白い地下通路を出口に向かってあるくのだが、いつまで経っても出口にたどり着くことができず、何度もすれ違うスーツ姿の男に違和感を覚え、自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気づく。

 

男は、壁に掲示された奇妙な「ご案内」を見つける。

「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から、外に出ること」。男は突如として迷い込んだ無限回廊から抜け出すべく、8番出口を求めて異変を探すのだが。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、面白かったなぁ~。ゲームを映画化した作品です。話題になっていたゲームなのは知っていたのですが、私はこのゲームをやっていないのでどんな話なのかなと楽しみに観に行きました。うん、よく出来ていました。この1シチュエーションでお話が進んでいくという作品は面白いモノが多いんですよね。

 

8番出口というのは地下道の出口のことで、この出口から出たいというそれだけなんですよ。他の何もないんです。とにかく8番出口から出ることが目的の映画なんです。その目的を達成するためには何が必要なのか、どうすればよいのか、そして何故8番出口から外へ出たいのかが問題となってきます。

 

男はある問題にぶつかり、一体どうしたら良いのか解らなくなってしまい、周りが見えなくなってしまいます。そして歩いていると、この地下通路に迷い込んでしまうんです。このストーリー、非現実的ではあるけど、何となく自分も悩んでいたり考え込んでいたりしたとき、地下通路を歩いていると、今どこにいるのか解らなくなる時ってあるんですよね。それがそのまま映画になっていて、こんな事あるよなぁ~と感心してしまいました。

 

 

そんな風に、どこにいるのか解らなくなっちゃったりする地下通路ですが、この映画ではそんな地下通路を上手く使っているんですよね。何度も曲がるけれどその先は解らないという視覚的な事も使いながら、次に曲がったら何が来るのかという怖さを与えてくれていました。

 

この「ご案内」が良いですよね。

「異変を見逃さないこと」

「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」

「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」

「8番出口から、外に出ること」

この4つを完璧に守ればちゃんと出口はそこに出てくるんです。でも、異変を見落としたり、それが異変と気づかなかったり、何かに邪魔をされたりして守れなければ出口には行けません。

 

 

要は他のことで悩んでないで、今はこの問題に集中しろという事なんです。問題が起きた場合は、まず目の前にある問題を解消してから、次に自分の悩みを真剣に考えればよいと言っているような迷路でした。まぁ、でもこんなにイジワルな試練を与えるのは神様とは思えないよね。悪魔かな。

 

展開も上手かった。途中で男は色々な異変に気が付き引き返したり進んだりと案内に忠実に進めていくのですが、幾つか行ったところで見落としたり、恐ろしいで出来事に遭遇してしまい案内に背いて、また最初からやり直しとなるんです。その突然に起こる恐ろしい出来事が面白かったなぁ。

 

 

男だけじゃなく、他にも歩いているサラリーマン風のおじさんがいて、実はその人も迷い込んで案内に従って出口から外に出ようとしているんです。おじさんが出口を探している場面もあり、それによって少しネタ回収もされていたような気がします。

 

他にも登場人物がいるのですが、ネタバレしない方が面白いので映画で確認してください。もう数人出てきて男を悩ませたり助けたりしていくことになります。私、もっとホラー映画っぽいのかと思っていたのですが、ホラーというよりもトラウマスリラー映画って感じかしら。化け物系は一切出てこず、何が来るか分からないというじわじわとくる恐怖のみなんです。

 

 

二宮さんの演技も上手かったなぁ。これ二宮さんが下手でキャーキャー騒ぐだけだったら、ただのコメディですからね。彼の不安な表情と恐怖を感じている時の表情が凄いんですよ。この表情だけで映画の質を上げているんです。

 

そして、うーん、ごめん1つだけネタバレなのですが、ある男の子が出てきます。この子が凄くかわいい。彼はしっかりした顔つきで大人になったらイケメンになるんじゃないかなぁ。ヘラヘラしたイケメンじゃなくて、男前って感じのイケメンです。いい子役を見つけてきましたね。素晴らしいです。あー、これ以上はネタバレになるから書けない!おじさんについても書けない!小松さんについても書けない!

 

 

私がこの映画で一番凄いと思ったのは、筋が通っていて、出口から出るという1点に絞ってブレないということです。大体どんな映画も目的は変わらないけど、恋愛にブレたり戦いにブレたり家族にブレたり、色々なモノにブレまくって、最後に行きつくんだけど、この映画はよそ見をせずにずーっと目的が変わらないんですよ。それを1本の映画でやり切るって凄いことだと思いました。やっぱり川村さんって凄いなぁ。

 

人生ってちょっと勇気を出して踏み出せば、きっと良い方に向いていくんだと思うんです。でも大抵、面倒だとか恥ずかしいとか誰かがやるだろうとか、人任せにして見て見ないふりをしていませんか?

 

出来ることはやってるつもりでも、落ちているゴミを拾えば良かったなとか、席を代わってあげればよかったなとか、やっぱり私もあるんです。全てに完璧には出来ないけど、気持ち良く過ごせるようにもう一歩前に出れたら良いなと思ったりしました。

 

 

私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。とっても気持ち良く最後まで観れました。色々と気づかせてくれる映画で、きっとこの地下通路は男の心の中だったんだろうなと思えるようなお話でした。本当に面白いです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「8番出口」