「DREAMS」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、恋焦がれる思いや高揚感を手記にしたためる。自らの気持ちを誰かに伝えたいと詩人の祖母に手記を見せるヨハンナだったが、事態はそこから思わぬ方向へ。祖母は孫の手記に自らの女性としての戦いの歴史を思い起こし、母は“同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”として現代的な価値観にあてはめようとする。
というお話です。
女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないように自らの体験を手記にしたためる。そしてこの気持ちを誰かに打ち明けよう、話したいと詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。
ヨハンネが経験するのは、誰もが一度は経験したことのある初恋。相手の一挙手一投足に対する期待や不安、過度な妄想、理不尽な嫉妬などあまりにも無垢な感情。その思いや気持ちは秘密にしたいと思いながらも、誰かに話さないではいられないという矛盾した思いがあり、思い切って詩人の祖母へ読んで欲しいと渡すことに。
ヨハンネの手から離れた手記は、祖母から母親へと渡り、ヨハンネの初恋がモノローグで綴られる。それはヨナンネが自分の目だけで見て感じたモノであり、相手のヨハンナの意思・感情は一切入っていない。一方的な視線だけなのだ。
娘の手記を見て、祖母は自らの女性としての戦いの歴史を思い出し、母は“同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”と称し、現代的な価値観にあてはめようとする。3世代で異なる価値観を持つ3人が初恋の手記を通して辿る運命は。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったです。17歳のヨハンネが初恋をして、その気持ちを感情のままに書き綴った手記を、その祖母が読んで自分の若い頃のことを思い出し、母親が読んで同性愛に目覚めた小説として売れるのではと思い、それぞれが小説を賛美しながら、その着地点を探し始めるというお話でした。
ヨハンネは学校で講師として来ていたヨナンナに恋をします。本当に初々しいというか、あー、初恋ってこんな感じだったんだろうなーと思えるような恋なんです。気になって気になって、いつも彼女を見ていて、まるでストーカーのように目で追っていて、つい触れてしまう、そんな感じなんです。
これ、ダーク・ヨハン・ハウゲルード監督が脚本も書いているのですが、もう60歳になる監督がよくこんな瑞々しい初恋の感情を描けたなと驚きました。年齢のことを言っちゃいけないのかもしれないけど、やっぱりビックリするでしょ。凄い洞察力だと思いませんか。ちなみにこの監督、北欧監督のイングマール・ベルイマン、アキ・カウリスマキ、ヨアキム・トリアに続く監督だと言われているそうです。
この映画は「オスロ、3つの愛の風景」という三部作の1作なので、「LOVE」と「SEX」と合わせて観ると面白いようなんです。3作とも監督が脚本も書かれているらしく、あと2作も面白そうだなぁと期待しています。
ヨハンネは自分の手記をまず祖母に見せます。祖母はきっと60~70歳くらいだと思うけど、彼女の時代は女性がまだまだ差別されていて、それに反発して頑張っていたことを思い出すんです。自分が彼女くらいの時は、ウーマンリブという女性解放運動が広がっていた時代だと思うんです。
話の中に祖父の話は一切出てこないので、娘を産んで色々とあったんじゃないかな?もしかしたらシングルマザーだったのかもしれない。その頃から女性で詩人として活躍していたのなら、モテただろうし、14歳から男性経験があったと言っていたし、波乱の人生だったんじゃないかと推測出来るんです。
そして母親に祖母がコピーを渡すと、母親は祖母とは違う反応で、初めて同性愛に目覚めたというフェミニズム小説として読めるから、流行りのLGBTQの小説として売れるだろうと考えるんです。うん、確かに同性愛への目覚めではあるけど、お母さんいきなり売れる!という方向に行くのって凄いなと思いました。娘の恋をまず噛みしめないんかい。自分の娘も成長したなぁと感動したりしないの?ちょっと面白かったです。
この祖母と母親の会話が面白いんですけど、古い映画で「フラッシュダンス」ってあるでしょ。それについて祖母は、「女性が鉄工所で働いて男に負けないというジェンダーレスに近づく映画と思って期待していたら、ただ男に媚びてるダンサーの映画だった。」とこき下ろすんです。でも母親は「カッコ良くて女性が自立していて良い映画だった」というんです。
私も観に行った覚えがあって、この母親と一緒で、カッコ良くて大好き!な映画だったんだけど、ジェンダーレス映画と期待して観た人がいたなんて驚きました。まぁ、私も子供だったから難しいことは解って無かったんだけど、あの映画、そんな風に観る映画だったんだなーって初めて知りました。鉄工所で働くって男と対等にってことだったんだね。私は給料が良いからそこで働いているんだと思ってました。
話を戻して、ヨハンネの手記を出版してみないかという話が持ち上がるのですが、祖母は手記として書いたのだから、ヨハンネが出したいと思うなら良いけど、大人が決めることじゃないと言うんです。
確かにそうよね。自分の初恋話なんて、年を取ってから懐かしい思いで出版するなら良いけど、今、自分の気持ちをそのまま沢山の人に見せるなんて恥ずかしいんじゃないかな。相手も読むだろうしねぇ。そこら辺がどうなっていくかは映画を観て欲しいのですが、これも面白いなぁと思いました。
ちょっと話は最初に戻るけど、祖母は詩人として成功しており、別荘を持っているということでヨハンネは友達に羨ましがられたりしているんです。祖母はお金持ちではないというんですけど、でもヨハンネはどこかで裕福であることは良いと考えているんだろうなという感じがありました。この場面が最初にあったので、基本として、やはり利益は欲しいという価値観があり、それが出版するという事に繋がって行ったのかなと思います。
初恋のお話と、それを冷静に判断していく大人の様子と、その大人の様子を見て娘が何を考えていくのかが上手く絡み合っていて面白かったです。それとヨハンネは手記として初恋を描いているので、彼女の主観しかないんですよね。ヨハンナに話を聞くと、随分と食い違っていることが解るんです。それも面白かったな。
例えば、私が見つめると見つめ返してくれたから私を好きなんだと書いている本人は思うんだけど、ただ呼ばれたので何ですかという意味で見つめ返したと相手は思っているんです。まったく解釈が違うでしょ。それが面白いんです。恋愛ってそんなもんですよね。楽しいです。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。3世代の女性の考え方の違いや、初恋で周りが見えなくなっている様子の描写がとても面白く描かれていて、これは面白いと思いました。3部作なので他の2作も観てみたいと思っています。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「DREAMS」