「リモノフ」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
ソビエト連邦下のロシアに生まれたエドワルド・リモノフはウクライナ・ハルキウとモスクワで過ごす。エレナと出会いロシアから亡命し、ニューヨークで自由を手にしたもののエレナにも捨てられ、孤独と挫折に打ちのめされながらも自らの言葉で世界と闘い続ける。やがてフランスの文学界で注目を集めたリモノフはパリに渡り、ついに作家としての名声を手にするが。
というお話です。
2020年、エドワルド・リモノフ死亡。そのニュースはロシアのみならず世界中に衝撃を与えた。詩人にして革命家、亡命者であり兵士。幾つもの顔を持つ彼は、ソビエト連邦下のロシアに生まれ、詩と反骨精神を武器にモスクワ、ニューヨーク、パリへと渡り歩いた。
名声と自由を夢見て恋人エレナとともに亡命し、辿り着いたアメリカでは、孤独と挫折に打ちのめされながらも自らの言葉で世界と闘い続けた。エレナはモデルとして売れ始めるが、エディはいつまでも仕事が無く、生活保護を受けて暮らす日々。その内、エレナにも捨てられてしまう。
ホームレスとなり荒れた生活をしたエディは、生活を立て直し執事として裕福な実業家に雇われ、仕事をしながら小説や詩を書き続ける。しかしアメリカで彼の文学は理解されず、随分と抗った末に彼はパリへと拠点を移すことに。
フランスの文学界で注目を浴びたエディは、自分自身の事しか書けないといって、自らの生き方を小説の中に描いていく。ソ連崩壊の1991年にモスクワへ戻り、1993年国家ボリシェヴィキ党を共同設立し、反プーチン・反統一ロシア党を掲げ政治活動していたが、ある小さな事で逮捕投獄され、その後釈放されて政治活動を続けた。後は、映画を観てくださいね。
ロシアの文学者であるエドワルド・リモノフことエドゥアルド・ヴェニアミノビッチ・サヴェンコさんの伝記的映画です。サヴェンコは旧姓だそうです。「リモノフ」という伝記小説が原作となっているので、伝記ではあるけど内容的に半分はフィクションと思った方が良いのかもしれません。
私はこの映画を観るまで、リモノフさんという小説家のことを知りませんでした。ロシア文学といえばドストエフスキーとトルストイ、チェーホフくらいしか思い浮かばず、プーシキンとゴーゴリは”文豪ストレイドッグス”で知ったくらいなのでお恥ずかしい限りですが、なんだかロシア文学って暗くて読むと眠くなるんです。「罪と罰」は有名だけど、あの寒くて暗い雰囲気がロシアなのかなという感じで、それ以上に他の作家を探そうという気持ちにならなかったんです。
このリモノフさんは故郷のロシアのことが大好きだったんだろうけど、ソビエト連邦の厳しい決まり事に耐えられずに亡命するんです。その時に、美しくてお金持ちの恋人として裕福に暮らしていたエレナという女性を奪い取って、一緒に逃げるんです。
その頃から詩を書いたりしていたリモノフですが、全く売れていなかったので、何故エレナが一緒についてきたのかは解りません。一応、小説の中では愛し合っていて結婚の真似事もしていたけど、彼女もソビエトに見切りをつけていてアメリカに出たかったから一緒に出ただけなんじゃないかと私は思いました。だって、リモノフはあまり性格が良さそうに見えませんでしたから。
ニューヨークで暮らし始めるのですが、自由はあっても全て自己責任。エレナはモデルの仕事を見つけて働いていましたが、リモノフは生活保護を受けて怠けているだけ。私、こういう人間が嫌いなんですよねぇ。アメリカ人の払った税金でタダ飯を食べさせて貰っているというような事を言っていて、マジでムカつきました。
今、日本にも生活保護目的で来ている外国の方がいるでしょ。外国人への保護は辞めるべきです。自国に帰って貰いましょう。日本で真面目に働いてくださる外国人の方は大歓迎なんですよ。でも日本の制度を悪用するだけの外国人は出て行って欲しいです。アメリカだって、リモノフに払う保護費は無い!って言いたかっただろうなぁ。
そんな酷い暮らしをしていたのでエレナは出て行ってしまい、リモノフはホームレスにまで落ちぶれてしまいます。ここで衝撃的な体験をするのですが、それはネタバレになるので書きません。その出来事により、リモノフは世界観が変わって動き出すんです。働きながら小説や詩を書き始め、少しづつ社会に溶け込み、世界のことを考え始めます。
その頃からちょっと過激で活動家になるのも解るような行動をしていました。とっても真面目な執事をしていたのだけど、想像では人を撃ち殺すことを考えたりと怖い人でした。そして彼の文学がフランスで認められ始めてパリへ移り、ソビエト連邦がペレストロイカで崩壊して、ロシアに戻ることにするんです。
彼は自分の国をとても愛していたのだと思いました。ずっと帰りたかったんじゃないかな。反プーチンを掲げたりして、大統領選にも出るかもなんて噂もあったそうです。反プーチンと言いながらも愛国者で国の為に運動をしていたようでした。運動が過激になって逮捕されたりしたけど、それでも運動は続けたそうです。
映画のアフタートークでロシア語翻訳をされている上田洋子さんという方がお話をしてくださって、リモノフについて解説してくださいました。本当にロシアがお好きなんだなという気持ちが伝わってきて、お話も面白かったです。2020年に癌で亡くなったらしいので、結構、最近の方なんです。
映画はとても凝っていて、デザインアート的な手法も取り入れていました。要点要点を何章かに分けて表現しており、その時々でリモノフの印象が変わっていきます。ベン・ウィショーが汚い時代からパリッとした執事の時代までを上手く演じていました。カッコ良かったですよ。実物に似せていました。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。こんな小説家で活動家だった人がいたという事を知り、本を読んでみたくなりました。でもね、日本語訳されている本がほとんど無いみたいです。残念です。とても興味を惹かれた映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「リモノフ」