「パルテノペ ナポリの宝石」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
1950年、港町ナポリで生まれた子供は、ナポリの街を意味する「パルテノペ」と名づけられる。パルテノペは、繊細な兄ライモンドと深い絆で結ばれていたのだが、彼女が輝きを増すほど、兄の孤独があらわになっていき、やがて悲劇が起こる。
というお話です。
1950年、南イタリア・ナポリ。総督と呼ばれる富豪は2人目の子どもを妊娠した妹のために寝たままで旅行が出来るという馬車の形の大きなベッドをプレゼントする。間もなく妹は産気づき、2人目の子どもが生まれる。生まれたのは娘で、総督がギリシャ神話に登場する人魚の名でナポリの街を意味する“パルテノペ”と名付けた。
美しく聡明なパルテノペは、兄・ライモンドと家政婦の息子・サンドリーノと仲良く成長し、深い絆で結ばれていた。年齢と出会いを重ねるにつれ、どんどん美しく変貌を遂げてゆくパルテノペ。だが彼女の輝きが増すほど、対照的に兄の孤独は深くなっていく。どんなに恋焦がれてもパルテノペは妹なのだ。
そしてある夏、3人でカプリ島へとバカンスに出かけ、サンドリーノがパルテノペとキスをしているのを目撃してしまい、ライモンドは自ら死を選んでしまう。彼女に幸せをもたらしていた<美>が、愛する人々に悲劇を招く刃と変わったのだ。
両親はライモンドが死んだのはパルテノペのせいだと思っており、居場所のないパルテノペは学業に専念し始めるが、ある女性に出会ったことで女優を目指すことになる。その後マフィアと出会って付き合ったり、サンドリーノと再会したりと、人生を歩み続けるパルテノペが果てなき愛と自由の探求の先に辿り着いたのは。後は、映画を観てくださいね。
この映画、凄く美しい映画で観ているだけでその時代のその世界に入ったような気持ちになって、気持ちよくなる映画でした。主人公のパルテノペが凄く美しいんですよ。こんなに美しかったら、兄弟だって好きになっちゃうよね。
兄のライモンドは自分だって凄く美しいんですよ。美しい兄妹だったから、ライモンドは他の女性に目が行かずに妹に行ってしまったんでしょうね。パルテノペを愛していたからというよりも、ライモンドはもう一人の自分を愛していたんじゃないかと私は思いました。妹であり自分であったパルテノペが誰かのモノになるのが悲しくて苦しくて自殺をしたんじゃないかと思うんです。
そしてパルテノペも兄を失い、自分の半身を奪われたかのように前に進み始めます。その場所にゆっくりと兄と留まっていたかったのに時間は容赦なく流れ、美しい時間は失われていく。となるとパルテノペを誘惑したサンドリーノが悪いじゃんって思うけど、彼も長い時間パルテノペを思ってきていたので仕方なかったんです。
だからライモンドが自殺をしたのはパルテノペのせいとかではないんだけど、両親はパルテノペが繊細だったライモンドと一緒にいなかったからといって責任を押し付けるんです。これは親のモラハラですよ。本当ならライモンドが仕事をせずにふらふらしているのを親が𠮟って、何かをやらせていたらパルテノペへの思いが他へ移ったかもしれないし、兄妹だからという事を受け入れていられたのかもしれない。
兄の死からパルテノペは居場所が無くなり、色々な事をやるために外へ出て行きます。学業に専念し、女優になろうとしたり、マフィアと付き合って見たり、また人類学の勉強に戻ってみたりと本当に色々なことに挑戦して、人間というモノを知って行きます。容姿が美しいだけでなく、生き方も美しかったです。
そうそう、パルテノペは大学で出会ったマロッタ教授について人類学を極めていくんだけど、このマロッタ教授と息子の関係が、パルテノペとライモンドの関係と似ているんじゃないかなと思いました。もし自殺が無ければ、パルテノペとライモンドはマロッタ教授と息子のように、ただ一緒にいるだけで幸せという時間を見つけたと思うんです。こんな関係になれたら幸せだっただろうなぁ。とても素敵な関係だと思いました。
この映画、イタリアのナポリという地域の特徴を良く知ってから観た方が凄く面白いようでした。映画の後にトークイベントがあり、イタリア語翻訳家でライターの岡本太郎さんがいらしてナポリの説明をしてくださったのですが、ナポリならではの雰囲気とか、この地域だからこその出来事を教えてくださって、それがこの映画の中にいくつも描かれていました。
なので、出来れば観る前に公式HPの監督の言葉を読んで、ナポリという街を知ってから観た方が良いと思います。私も岡本さんのお話を聞いたので、もう一度観てみたいと思っています。
ナポリという街は極端らしくて、日本でいうと大阪っぽいのかなぁ。サッカーチームが勝つと大喜びだし、何かの儀式の時に注目を集めるために凄いことをするとか、ちょっと変わっているみたいなんです。その地域のマフィアがいたりして、危険で自由なナポリ。映画の中でグレタ・クールという大女優がナポリについて酷い中傷をするのですがそれがナポリの真実だそうですよ。
パルテノペを演じている女優さん、新人らしいのですが素晴らしく美しいです。セレステ・ダッラ・ポルタさんという方で、これからが楽しみです。世界的に出てきてくれるといいなぁ。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。私は好きでした。ちょっと難しい映画だけど、そんなに構えないで素直に観てよいと思いました。優しくて素直なパルテノペ。容姿も美しいけど、心も美しいまま成長したような人物でした。よい映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「パルテノペ ナポリの宝石」