「桐島です」
を観てきました。
ストーリーは、
1970年代。反日武装戦線「狼」という組織と行動を共にする。しかし、1974年の爆破事件により、多数の犠牲者を出したことで、深い葛藤に苛まれる。組織が壊滅状態となり、指名手配された桐島は偽名を使い逃亡生活をつづけ、ある工務店で住み込みの職を得る。
というお話です。
1970年代、高度経済成長の裏で社会不安が渦巻く日本。大学生の桐島聡は反日武装戦線の活動に共鳴し、組織と行動を共にする。東アジア反日武装戦線「狼」の「さそり」班として参加しており、いくつもの爆弾事件を起こした。
鹿島建設爆破事件、間組本社ビルおよび大宮工場同時爆破事件、間組江戸川営業所爆破事件、間組形成江戸川橋工事現場爆破事件、銀座・韓国産業経済研究所爆破事件、三菱重工業東京本社ビル、などで多数の死者、負傷者を出し、これらの事件に黒川や宇賀神と共に関与したとされている。
そして一連の連続企業爆破事件で犠牲者を出したことで、深い葛藤に苛まれる。組織は警察当局の捜査によって、壊滅状態になり、一緒に戦っていた黒川や宇賀神も警察に逮捕されてしまう。指名手配された桐島は偽名を使い逃亡し、各地を転々としながら逃亡生活を続けていた。
やがて湘南の工務店での住み込みの職を得る。ようやく手にした静かな生活の中で、ライブハウスで知り合った歌手キーナの歌「時代おくれ」に心を動かされ、相思相愛となるが、指名手配中の桐島に恋愛など許されるはずもない。一人静かに誰とも関わらず生きていくしかないと覚悟して暮らしていき…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、あの指名手配犯の桐島のお話しです。あの指名手配の写真、長い間、警察や役所などに貼られていましたよね。あまり気にしたことは無かったけど、確かにあの写真があったなぁと思い出しました。でも何をやった人なのかは全く知ることもありませんでした。
そして去年の1月でしたかね。桐島が捕まったとの報道を見て、あの写真を思い出しました。そして、あの人やっと捕まったんだと知りました。その時も、何で指名手配をされて捕まったのかよく解りませんでした。オウムだったかなとか、殺人犯なのかなとか思ったりしたけど、昭和の学生運動の続きのテロ組織の人だったんですね。この映画で初めて知りました。
昭和の1970年代に学生運動があったのは知っていましたが、こんな爆破事件がいくつもあったんですね。死者や負傷者が多数出ていたことにも驚きました。生まれた頃だと思うので覚えていませんが、恐ろしい時代だったんだなと思いました。今では街の至る所に監視カメラがあるし、ドライブレコーダーもあるので、まず逃げることは難しいし、隠れるのも難しいですよね。
そんな昔に指名手配されて、今捕まるっていうのにも驚きました。いかに現代人が他人に関心が無いかってことでしょ。工務店で働いていたんだから、会社の人だけじゃなくて、仕事相手の人たちにも顔を晒していたのに、誰も気が付かなかったって驚きです。ま、きっと私の前に来られても、気が付かないと思うんですけどね。
この桐島、人が何人も亡くなって、組織も壊滅状態になったので自分も逃亡するんです。一応、自分の行動に葛藤があったと描かれていましたが、もし、悪いと思っているなら直ぐに自首すると思いませんか?逃げている時点で、自分の責任からも逃げているとしか思えず、共感は出来ませんでした。犠牲者の家族の気持ちになってみろっていうんだよ。許せないよね。
色々な場所を転々として逃げていたんだけど、藤沢で社員募集の広告を見て面接に行くんです。その頃は高度成長期だろうから、建築現場の職人はいくらいても足りないくらいで直ぐに雇ってもらえて、職人用の寮にも入れて貰えて、身分証明なんて出さなくても済んだんじゃないかな。だからそこで働いて、ひっそりと暮らしていたんです。
でもね、いつまで経っても普通の生活なんて出来ないんです。いつ見つかってしまうかという危険があって、いつも緊張しているというかピリピリする生活を続けているので、そんなんで幸せなのかしらと考えてしまいました。
一緒に指名手配された宇賀神は先に逮捕されて、懲役刑になって、刑を終えて出所してくるんです。きっと彼は、悪い事をしてしまい罪を償って出てきたということで、一応の区切りは出来て生きていくことが出来ると思うけど、桐島はいつまでも罪の償いをすること無く生きているから、どこまでも罪人なんですよね。
もちろん罪を償ったからって完全に償えたわけではないと思うけど、でも逃げているのとは違いますよね。人間って、逃げている限り罪は許されないと思うし、回りの人々が忘れてしまったとしても自分自身が許せないと思うんです。だからどこまでもその罪はついて回ることになる。
この桐島が50年以上逃げていたって言うことは、その罪から逃げていたということで、私はやっぱり許せないなと思いました。どんなに可哀想な人生を過ごしていたとしても、それは自分のせいだし被害者への謝罪もしていないわけだし、今更自首してきたってなんなんだって思ってしまいました。
こういう逃げる人間の苦しみと気持ちをよく描いていたと思います。桐島に寄り添うわけでもなく、淡々とその状況を描いてくれたことで、罪を犯した人間が逃げることで心から生きている幸せを感じる事なんて出来ないということを感じられました。これを見ることで、ちゃんと罪は償うべきと誰もが考えてくれたら、犯罪もへるんじゃないかな。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。こんな犯罪者がいたんだということを知りました。というか、きっと誰もがあの指名手配写真を見たことがあると思うので、その結末を知ることで悪い事をしたらその罪は償わなきゃいけないと言うことをしっかりと理解することが出来ると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「桐島です」