「アスファルト・シティ」
を観てきました。
ストーリーは、
ニューヨーク、混沌の街ハーレム。医学部入学を目指し勉学に励むクロスは、新人救急救命隊員として働きはじめる。ベテラン隊員ラットとバディを組んだ彼は厳しい実地指導を受け、自分の無力さに打ちのめされてしまう。そんな中、自宅で早産した女性の新生児への処置をめぐり、クロスとラットの人生は大きく狂いはじめる。
というお話です。
ニューヨーク市消防局(FDNY)の新人救急救命士クロスは、ギャングの銃撃事件現場に到着し、被害者の手当をしようとしますがもたついてしまい、ベテランの救急救命士ジーン・ルトコフスキーに助けられます。その日からジーンがクロスのバディとなり、救命について指導し始めます。
クロスはジーンに、医科大学入学試験(MCAT)を受験するための勉強をしながら、お金を節約するためにチャイナタウンに2人のルームメイトと住んでいると説明します。そして死を最初に見たのはいつだという質問に、母が浴室で自殺したのを見つけたのが最初ですと話します。
ジーンは結婚離婚を繰り返し、最後の元妻との間に娘がいることを話します。ジーンは娘をとても可愛がっており、仕事途中に娘に逢いに行くのにクロスが付き合わされたりしていました。そして彼が9月11日の現場にも出動していたことを聞かされます。彼の壮絶な経験に驚くばかりのクロスでした。
ある日、彼らは妊娠中の女性が呼んでも返事をしないということで呼ばれます。ドアをけ破り入ると、女性は早産をしており気絶しています。ヘロインを過剰摂取したようでした。クロスに女性の手当を任せ、ジーンは乳児を洗面所で手当てしようと連れ出しますが死産だったようで、そこへ他の救急隊員が駆け付け、乳児の蘇生を試みます。ジーンの診たてが間違っていたのか、この食い違いが大きな問題になって行きます。後は、映画を観てくださいね。
この映画、元救急救命士の経験を持つ作家シャノン・バークによる実話に基づく小説を映画化です。凄いお話しでした。日本でいう救急隊員さんのお話しなんですが、ニューヨークでは移民が増えてドラッグも蔓延し、救急が到着したからと言って、直ぐに治療にあたれるとは限らないんです。
銃撃戦の後に到着すると怪我人が多数いて誰から治療してよいのか判らなかったり、夫のDVを受けた女性の治療をしようとすると夫が監視していたり、コインランドリーで寝ている女性を外に出したり、そんなことまで救急隊員の方が対処しなきゃいけないのかと思うようなことまで面倒を見なきゃいけないんです。
新人隊員のクロスは、医者志望で国家試験の勉強をしながら救急隊員として働いているんです。正義感が強く、人を助けたいという気持ちを持っていて真面目なんです。そんなクロスが組んだ相手がベテラン隊員のジーンで、色々と教わりながら仕事に慣れていくんです。
でも、クロスが思い浮かべていた救急隊員とは違い、人助けを行う前段階で、こんなこと救急隊員の仕事なのかと思うようなことまでやらなければならず、その上、喧嘩の仲裁や理不尽な屈辱まで受けたりするんです。隊員は助けたいと思って駆け付けるのに助けてくれなんて頼んでないというようなことを言われたり、殴りかかってこられたり、どういうこと???という場面がいくつもありました。でも、これが現実なんだと思います。
ただ、駆けつけて治療をすればよいという仕事ではないんです。なのでメンタル的に酷く痛めつけられるようでした。日本でも、救急車をタクシーのように使っている方がいるとか、そんな事で呼ぶなよっていうこともあるようですよね。緊急で病院に運ばなきゃいけない人が、もしかしたらその無駄な人間のために死ぬことになってしまうかもしれない。ニューヨークでも同じなんです。呼んでおいて罵声を浴びせるとか許せないですよね。
それに日本より酷いなと思ったのは、ドラッグ使用の人々です。映画の中で問題になるのが、臨月の妊婦が家で産気づいてしまい、痛いからといってドラッグを打ってしまい、赤ちゃんが出ているのに母親は意識が無いんです。そりゃ、赤ちゃんは死んでしまいますよね。そんな場面に駆け付けたクロスとジーン。クロスは母親を目覚めさせ、ジーンは赤ちゃんの生存確認をするのですが死んでいると言うんです。
誰がみても、出産間近の妊婦がドラッグを打つなんてありえないでしょ。母親は”辞めていたけど痛みが酷かったから”と言い訳をするけど、手を伸ばせばドラッグを打てるという状況を作っていたのは母親自身でしょ。子どもの事よりも、自分の欲望を優先しているとみなされますよね。そんな母親が生まれた子どもの面倒なんて見れる訳がないと思いませんか?
同じことをジーンも考えていたようなんです。そして問題が起きていくのですが、 ジーン以外にも色々な場面で他の隊員が、こんな人間を助ける意味があるのかと疑問を持ってしまう姿が描かれていました。何年もやればやるほど隊員の人々は疲弊して、人を助けることに意味を見出せなくなっていくんです。
こんなジーンや他の隊員の考え方に共感しちゃいけないと思いながらも共感してしまいました。DV男とかロリコン野郎とか性犯罪者なんて助ける必要は無いと思いませんか?助けに行った隊員に悪態をついて暴力を振るうなんて以ての外で、そんな人間は助ける意味が無いと思うんです。でも救急隊員が意味がないと言って助けないと罪になってしまうんです。納得いかないですよね。
そんな理不尽な事ばかりが重なり、ボロボロになっていく隊員の人々。実際にニューヨークの救急隊員は殉職する隊員の数よりも自殺をする隊員の方が多いそうです。それだけそこに住んでいる人々の心が病んでいて、そんな人々を助ける側の救急隊員も限界に来ているということなんです。
日本はどうなのかしら。ニューヨークよりかは酷い状況ではないと思いたいけど、救急隊員の方々にストレスが溜まっていないのか心配です。移民が増えればそれだけルールは守られなくなるし、平気で悪意のある行動をする人間も増えると思います。そうなると一番影響を受けるのが、警察官や消防隊員、救急隊員など人を助ける側の人間です。そういう方々には、もしもの時のために健康でいて欲しい。だからルールを守らない人間たちには消えて欲しいなぁと考えている私です。
そんな事を考えさせる内容の映画でした。これは沢山の人に観て欲しい。もしもの時に助けてくれる方々に健康でいて貰うためにはどうすればよいのか、誰もが考えるべきだと思います。そして国が荒れるとどういう状況になるのか、この映画を観て知って欲しいです。段々とニューヨークのように荒れてきている日本が同じようにならないよう、マトモな政治をして欲しいですね。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。楽しい映画ではありませんが、とても考えさせられる内容だと思います。色々な人種が集まればルールは守られなくなり、国が荒れていくと言うことが良く描かれており、そんな中で誠実に働こうとする人に全てしわ寄せが行ってしまうと言うことが解ります。こうならないように、今のうちに声を上げないといけませんね。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「アスファルト・シティ」