「顔を捨てた男」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
顔に特異な形態的特徴を持つエドワードは、劇作家を目指す隣人イングリッドに惹かれながらも、自分の気持ちを閉じ込めて生きていた。ある日、外見を劇的に変える治療を受け、新しい顔を手に入れる。別人として人生を歩みだすエドワードだったが、かつての自分の顔にそっくりな男オズワルドが現れて…。
というお話です。
エドワード・レミュエルは、神経線維腫症(レックリングハウゼン病)を患い、顔が極端な変形をしてしまっています。そんな特異な容姿を使って俳優業をやっており、仕事は多くはありませんがいくつかの映像には出演しています。
隣に越してきた劇作家を目指すイングリッドと知り合ったエドワードは、彼女に惹かれながらも、自分の容姿によるコンプレックスのために気持ちを抑えて好意を伝えてはいませんでした。
ある日、彼の主治医が、外見を劇的に変える治療法が見つかったと言うが、とても辛い治療になるとエドワードに伝える。それでも治療を受けることにしたエドワードは、顔の皮が剥けて酷い苦痛を強いられるが念願の新しい顔を手に入れる。
エドワードは過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩み出すのだが、彼の目の前に、自分が捨てた顔とそっくりなオズワルドという男性が現れる。彼は口が上手く人懐こくて、誰からも愛されるような人物だ。彼との関わりがエドワードの幸せを脅かし始める。そして…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、恐ろしいながらもちょっと笑ってしまうようなコメディ部分もあるのですが、軽く観れるかというとそうではありませんでした。じっくり見て考えて、容姿というベールに隠された真実を探していかなければいけません。
主人公のエドワードは顔に腫瘍が出来てしまい全体に広がっているので、腫れ上がり顔が崩れ始めている状態になっています。もちろん治療をしているのですが成果は出ず、命の危険もあるようでした。担当の医者もそろそろ治療の方法が無くなってきているようでしたが、そんな中、新しい治療法が発見されて、それをエドワードに言うんです。
その治療法のテストとしてエドワードに治療をしたんじゃないかな。だって1日に10回も顔の写真を撮って送れと言ってましたからね。正規の治療じゃないから、凄く値段も高かったんじゃないかなと思うけど、試験的なら安くしてくれたのかなとか、お金のことは話していなかったのでちょっと心配しちゃいました。
その治療によって、腫れた顔の皮が剝がれていき、最後にはセバスチャン・スタンの顔が出てきます。いきなり顔の大きさが1/3くらいになっちゃって、凄いイケメンに変身してしまったので、誰もそれがエドワードだと気が付かないんです。そして彼にエドワードはどこに行ったんだと聞くので、彼がエドワードは死にましたと伝えて、自分は彼の親戚の友人ですと嘘をつくんです。
みんなそれで納得して帰ってしまうのですが、もう少し疑おうよ。目の前にいるのがエドワードだって考えないの?同じところに住んでいて、背丈も一緒で、衣服も彼のを着てるじゃない。私なら疑うけどなぁ。まして主治医までもが簡単にそうですかって帰っちゃうんですよ。笑っちゃいました。
まぁ、あの容姿からセバスチャン・スタンに変わるんだから凄い変化ではあります。醜いと書いてしまうと差別やルッキズムとされてしまうかもしれませんが、でも怖いモノは怖いんです。この病気、本当に難病として存在していて苦しんでいる方々がいるんです。なのでとてもお気の毒だし、もしかしたら自分にだって発病するかもしれない病気なんですけど、それでもやっぱり怖いと思ってしまいました。
顔に出来る腫瘍のようで、良性の場合は生きていられますが、ガンの発生率が普通の5倍以上あるようなんです。それにあまり無理は出来ないし、病院には通わなければいけないようでした。そんな彼が、スッキリとしたイケメンになって現れたら、そりゃ、気が付かないよなぁとも思いました。私は一応、疑うけどね。
ここまではおとぎ話と一緒です。貧しいアラジンが王様になるような、そんな感じかしら。そしてここからが本番の内容です。美しい容姿のエドワードは、名前をガイと変えて不動産業者に就職してエリートとなり成功します。容姿が良いと物件も売れるようでした。そして街中でイングリットの姿を見つけ、彼女の書いた戯曲が舞台になることを知り、そのオーディション会場へと向かいます。
イングリットの脚本は”あの容姿”の時のエドワードを描いた作品でした。エドワードはあの頃の自分を演じてみたい、これは自分しか演じられないと感じ、演じることになります。不思議な感覚だけどイングリットと一緒にいられるのを喜んでいました。そんなエドワードの前に、オズワルドという神経線維腫症(レックリングハウゼン病)患者が現れます。
エドワードに君の演技は素晴らしいと絶賛し、最前列で観て応援するよというんです。容姿は腫れ上がった顔で酷いのですが、人間的に素晴らしい人物なんです。そんな彼と一緒にいるうちに、エドワードは自分は一体なんで容姿を変える治療なんて受けたんだっけと考え始めます。容姿が良くなって、モテるし仕事も成功するし良い事ばかりだけど、好きな人と一緒に暮らしたり家族になったりは出来なさそうなんです。
容姿って、人によって好き嫌いがあるし、どんなにイケメンと呼ばれていても私は嫌いという人がいてもおかしくないでしょ。だから顔を良くするよりも人間性を高めるのが先だと思いました。オズワルドは酷い顔をしていても、顔の事なんて彼にとっては大して大切な事じゃないんです。
うーん、あまりネタバレは出来ないんだけど、最後のエドワードの顔は複雑に見えたな。エドワードはオズワルドとイングリットに再会したけど、羨ましいとか妬みとかは感じず、何となくオズワルドに感じたのは哀れみだったように感じました。エドワードは彼らに再会して、やっと自分を見つめなおせたんじゃないかな。容姿などに囚われず、自分は周りの人々に溶け込んで幸せに暮らせることに気が付いたんだと思います。もう顔を人に見られたら微笑み返せば良いことに気が付いたと思うのよ。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。容姿のコンプレックスを持たないで真っすぐに人々と付き合うことが出来たら、きっとそれが幸せなのだろうと思いました。いつまでも自分の不幸に逃げ場所を見つけないで欲しい。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「顔を捨てた男」