「罪人たち」
を観てきました。
ストーリーは、
1930年代、アメリカ南部の田舎町。双子の兄弟スモークとスタックは、かつての故郷であるこの地で当時禁止されていた酒や音楽を振る舞うダンスホールを開店する。オープン初日の夜、多くの客が熱狂するが、招かれざる者たちの出現により事態は一変。人知を超えた者たちの狂乱の夜が幕を開ける。
というお話です。
1932年、一卵性双生児で第一次世界大戦の退役軍人であるスモークとスタック・ムーアは、シカゴで長年働いた後、ミシシッピ州クラークスデールに戻ってくる。ギャングから盗んだお金を使って、人種差別主義者の地主ホグウッドから製材所を購入し、地元の黒人コミュニティのためにダンスホールを開店します。ギタリスト志望の従兄弟サミーは、牧師の父に反対されるのだが、スモークたちに合流する。
双子は開店に必要な人物を街を周って集め開店に備えます。ピアニストのデルタ・スリムをパフォーマーとして呼び、地元の中国人商店主のグレースとボー・チョウを仕入れ業者として雇い、コーンブレッドを用心棒として、そしてスモークの別居中の妻アニーを料理人として連れてきます。
ダンスホールが開店し、サミー、デルタスリム、そして歌手のピアラインがステージでパフォーマンスを行い、大盛り上がりとなります。サミーの音楽は超越的で、知らず知らずのうちに過去と未来の両方の魂までも呼び込み、その上、そのパフォーマンスは夜に救う魔物たちまで呼び込んでしまいます。
夜は更け、ダンスホールの周りには招かれざる客が集まっています。ダンスホールに入れてくれというのですが、スモークたちは彼らを招き入れず、膠着状態に。しかしスタックの彼女が彼に噛みつき…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、米国で大人気だったらしく観に行ってみました。そんなに人気ならもっと上映館が多くても良いのに、なぜか上映している映画館が少なくて、苦労して時間を合わせました。
マイケル・B・ジョーダンさんが好きなので、楽しめる映画でしたが、どこかで同じようなのを観なかったっけと考えたら、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」に似ているんですよ。もちろん出演者も監督も違うのですが、雰囲気が似ているのよねぇ。あの感じがこの映画にもあるんです。
1932年に故郷に戻ってきたスモークとスタック。戦争に行き、その後に働いて、故郷でダンスホールを開店しようと思って帰ってくるんです。お金は、ちょっと悪いことをして手に入れてきていました。そして白人から工場跡地を買うんです。この時代ですから、黒人はまだまだ酷い差別を受けていて、「KKK クー・クラックス・クラン」はもういないというセリフがありましたが、まだまだ白人が黒人を殺していた時代です。
そんな時代に黒人がダンスホールを開くというのは、結構、問題だったと思います。この時代だと確か禁酒法が1933年までなので、ダンスをしてお酒を出すなんて完全な法律違反だったんじゃないかしら。そんな中、一気に用意して開店するなんて凄いでしょ。でも、凄く楽しそうで素敵でした。
そんな彼らに惹かれてきたのがレミック率いるヴァンパイア一同。レミックはアイルランド移民でヴァンパイアなんです。サミーの音楽に惹かれてダンスホールに寄ってきてしまったんです。でも、招かれないと入れない。それヴァンパイアの掟でしたっけ。どうぞと言われないと入れないらしく、ドアが開いていても入って来れないんです。
このヴァンパイアたち無敵なので、銃で撃っても死なないから困っちゃうんですよね。殺せないので、どうしても人間が不利で、どんどん仲間が殺られていくんです。アニーがブードゥ教を信じていて、その教えでヴァンパイアにはニンニクが効くからと言って、みんなにニンニクを食べさせるのですが、あまり効き目はなかったようでした。
この映画、ダンスホールを開店するまでは社会派ドラマっぽくて、その時代の黒人差別や、禁酒法時代、音楽の迫害など、色々な事が描かれていてドラマとして面白いんです。時代背景をとても良く描いているので、白人が表向きは差別をしていないような振りをして黒人と取引などを行うのですが、裏ではKKKの一員だったりして、黒人を殺そうとしていたりするんです。
恐ろしい時代だったのだと思います。そんな中でも黒人たちのコミュニティを作りたいと思って、ダンスホールを開店することにスモークとスタックはしたと思うんです。そしてサミーの音楽が素晴らしいことも認識していて、音楽が出来る舞台を作ってあげたかったんじゃないかな。スモークとスタックはとても優しい人たちだったんだと思うんです。
そんな二人のダンスホールに引き寄せられてきたヴァンパイアたち。迷惑よねぇ。ホールが開店してからのお話は、それこそ「フロム・ダスク・ティル・ドーン」でした。あのホラーバイオレンスアクションと言ってよいのかな。凄い戦いでした。一応、ヴァンパイアは”木の杭”で胸を貫けば死ぬようでして、何人かはそうやって殺していました。
通常は十字架や聖水、ニンニク、などで撃退出来ると言われているんだけど、ニンニク以外は手に入らなかったようでした。でもニンニクもあまり役に立たなかったような気がします。ニンニクが漬けてあった水をかけられたらヴァンパイアは逃げていたけど、人間がニンニクを食べたからってなんてことはないんですよね。直ぐに噛みつかれて殺されてましたから。でもめちゃくちゃになってドタバタのアクションは面白かったです。
観ていると、前半と後半の内容の違いがはっきりしすぎていて、笑ってしまうほどでした。あんなに真面目に作っていたのに、なんで後半はガチャガチャアクションになってたのかしら。観る方としては、凄く楽しめてワハッとなったのですが、まるで監督が途中で変わったように全体の雰囲気も変わるので、珍しいなぁと思いました。
こういう映画とても好きなんだけど、出来ればチラシとかに「人知を超えた者たちの狂乱の夜」とかじゃなくて、「ヴァンパイアが襲ってくる」と書いて欲しかった。途中であまりにも変わるので、私、途中で寝てしまったのかしらと不安になりました。見逃したのかと思ったけど、何も見逃してなかったんです。スッと変わるから、一瞬何が起こったのか解らなくなったんです。
それにしても面白かったな。私、このヴァンパイアものって好きなんです。だってヴァンパイアって超人のくせに、どこかお間抜けで、招かれないと家に入れないとか言っちゃうのよ。あと、銃で撃ち抜かれても直ぐに再生するっておかしいよね。血を吸って再生するのは解るけど、身体は古いのをずっと使っているんでしょ。劣化するから再生出来なくなるんじゃないかな。
ま、この映画、私は超!お薦めしたいと思います。途中で全く違う方向にいってしまう脚本に脱帽でした。1本で倍楽しめるって、こういうことですね。私は楽しめました。ぜひ、皆さんも観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「罪人たち」