【イタリア映画祭2025】
「ピンクのパンツを履いた少年」
を観てきました。
ストーリーは、
生きてさえいれば27歳になるアンドレアの声が過去を振り返る。
音楽と文字を愛する少年アンドレアは、中学校で年上の級友クリスティアンに出会う。級友のサラも夢中になる学校の人気者の気を引こうと、アンドレアは教師に反発し、以降二人の仲は近づいていく。だがクリスティアンは、次第に仲間とアンドレアをからかうようになっていく。精神的に苦しくなったアンドレアだが、クリスティアンは地域の高校に進学しないと知り、もう少し我慢すれば終わると信じていた。
高校に進学したアンドレアは転校してきたクリスティアンと再会する。違う高校に進んだがそちらの高校が合わずに戻ってきたのだった。そこからアンドレアのゆったりした日々は終わりを告げる。ある日、洗濯で色落ちしてピンク色になったパンツをはいて登校し、男子生徒らに悪意ある言葉を投げつけられる彼をクリスティアンがかばい、アンドレアは彼を信頼し、二人は再び行動を共にするようになる。
だが、友人の顔をしたクリスティアンと仲間のいじめは巧妙化していく。仲間にだまされ、学校のパーティーに女装して登場したアンドレアの姿がSNSで拡散されると、彼は心を閉ざし、次第に追い詰められていく。15歳の誕生日、遊園地で家族と過ごしたアンドレアは、名残を惜しむかのように母親を抱きしめる。
後は、映画を観てくださいね。
この映画は、イタリアで実際に起きた事件を元に母親が書いた本を映画化したものです。実際は自殺をしてしまったので事件ではないのですが、あえて事件と書かせていただきました。これは2012年に15歳で自ら命を絶ってしまったアンドレアのお話です。彼はSNSで酷い虐めを受けて、”殺され”ました。もう13年も前のお話ですが、その頃からネット虐めはあったんですね。
アンドレアは素直で真面目な普通の男の子でした。少し人と違っていたのは、男の子も好きだったんじゃないかな。女の子のサラと親友で、いつも一緒に過ごしていたんです。トランスジェンダーというほどではないかもしれないけど、ちょっと女性っぽい男の子でした。なので、クリスティアンのいじめの標的になってしまったのだと思います。
現代だと男性も女性も好きと言っても、別にバイセクシャルだからと公言してしまえば”ふーん、そうなんだ”で済む話ですが、今から13年も前なので、まだまだ学校内では異様な目で見られたのだと思います。一般的では無かったですし、情報も少なかったでしょうから子どもの間では受け入れられていなかったのでしょう。難しいですよね。
そんな中でアンドレアは標的にされ、表立ってのいじめもあったようですが、主にSNS内で酷い書き込みをされていたようです。アンドレアの様子に気が付いて、何度も母親は何かあるのかと聞いていたようですが、親に話すことが出来ずに一人で悩んで、アンドレアは自殺をしてしまいました。
これは日本でも何度も問題になっていることですよね。学校内だけじゃなく、社会でも問題になっていることです。SNS上には発言の自由があると思いますが、他人に対して酷く傷つけるような言葉を投げるのはどうなんでしょうか。政治家とか公に出ている方への文句は言ってよいし、間違っていることは間違っているというべきだけど、一般人に対して酷い言葉をぶつけるのは間違っているよね。
子どものSNS使用は親が管理すべきだと私は思っているけど、中学高校になってくると、さすがに難しいですよね。個々の性格は確立してきているし、大人よりもSNSなどの使い方を知っていたりするので負けてしまいます。でもどこかで規制してやらないと、本当にこれは人を殺す凶器になりえるので問題だと思います。
それは言論の自由とは違う考え方が必要なんじゃないかな。刃物を持って振り回していても、人を傷つけなきゃいいって訳じゃないでしょ。銃刀法違反という罪があるのと同じように、何かの言葉を誰かに向けて発した時点で罪になると決めるべきじゃないかと思うんです。但し、それは個人に向けてで、政治家や公人は何か書かれたらそれに対しての反論をすべきで、罪にはならないとしないといけないと思います。政治に対して国民は誰もが文句を言えるようにしておかないと国が壊れてしまいます。
このアンドレアは、観ていて本当に可愛そうでした。あまりにも無力で誰か助けてあげないとと思っても誰もそういう人がいなくて、母親にはどうしても話せなかったんです。いじめに遭っているというのを親に話すのは辛いですよね。だって、親は自分の子は良い子だと思っているからいじめを受ける訳が無いと思っているんだもん。だけど、実際は良い子だからいじめを受けてしまうんです。その辺を見極めていかないと。難しいけど自分の子どもを守るためですからね。
いじめ問題、イタリアでも日本と同じように問題になっているんです。二度とアンドレアのような子を出さないために彼の母親が彼の出来事を本にして、それをマルゲリータ・フェッリ監督が映画にしました。彼女もまた、こんな悲しい出来事を二度と起こさないために映画化しましたとおっしゃっていました。いじめは大きな問題です。社会全体で取り組まないと終わりはないと思いました。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。日本公開は決まっていないようですが、本当は皆さんに観て欲しい作品だなと思いました。こういうイタリア映画をどこか専門チャンネルで配信出来ないのかしら。映画祭で上映された過去作品も良い作品が沢山あるので配信してくれたら嬉しいな。とりあえず、映画祭で観れる方は観てみてはいかがでしょうか。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
【イタリア映画祭2025】