「#真相をお話しします」
を観てきました。
ストーリーは、
あるビル警備室のパソコンで、警備員の桐山とその友人の鈴木が生配信の暴露チャンネル「#真相をお話しします」を観ている。そこでは事件の真実など、ゴシップの真相が明かされる。話し手に選ばれた者はネタの提供と引き換えに視聴者からの投げ銭を獲得できる。チャンネル史上最大の盛りあがりを見せるなか、ついに警備室の男たちにスポットライトが当たる。
というお話です。
かつて一流商社の営業マンだった桐山は、ある事件で人間関係が怖くなり、以来、人と深い関わりを持たず、ビルの警備員として暮らしている。警備室で動画配信を観ていると、親し気に話しかけてくる男がいた。鈴木といい、桐山と同じように「#真相をお話しします」という番組が好きらしい。そこで桐山のコメントに”いいね”を付けているのが鈴木だったのだ。
人懐っこく話しかけてくる鈴木を始めこそ煙たく思っていたものの、自分と同じ考えを持ち、”いいね”までしてくれる鈴木に心を許し、事件以来三年ぶりにできた友人だった。
ある日、桐山は荒れた生活のせいで借金を抱えてしまい、「#真相をお話しします」にスピーカーとして応募することに。番組ではランダムに選択されたスピーカー(話し手)が匿名で”真相”を話し、投銭を獲得するシステムだった。「投げ銭なんかじゃんじゃんきますよ。 桐山さんの話すごいから。そしたら桐山さん大金持ちじゃないですか。」鈴木の言葉に興奮する桐山。
そしてスピーカーとして当選した桐山。「これは三年前、僕の身に起こった本当の話です。」殺人がらみの壮絶な物語に観衆は過去最大の盛り上がりを見せ、一瞬にして、100万、200万と投げ銭が積みあがっていく。遂に借金地獄から救われた桐山は鈴木への感謝の気持ちでいっぱいになったのだった。
「次のスピーカーは僕です。」隣から聞こえた大きな声とともに、警備室で不敵な笑みを浮かべる鈴木の顔が画面いっぱいに映し出される。唖然とする桐山を横目に鈴木が語る、すべてを覆す「真相」とは。後は、映画を観てくださいね。
この映画、ストーリーが良いですね。さすがベストセラー小説が原作だなと思うような面白い展開でした。と言っても原作を読んではいないのですが。短編小説集を1本の映画にして作られていたのですが、上手くまとまっていました。きっと、それぞれの真相話が1話ずつとなっていたんだろうと思うけど、自然に繋がっていました。
警備員の桐山がネットの生配信番組”#真相をお話しします”を観て緊張しているんです。スピーカーと話し手に応募したらしく、自分の番が来るのか外れるのかでドキドキしているんです。彼には多額の借金があり、その金を返すためにどうしても番組で話をして投げ銭を手に入れないと困ったことになるんです。
友人の鈴木も来て一緒に配信を見ていると、元家庭教師の営業をしている男がスピーカーに選ばれます。そして彼が出会った家族の話が始まります。結構、ホラーっぽくて怖かったです。一つのオチだけじゃなく、ちゃんと”真相”があるように作られていました。これは上手いストーリーだなと思いました。でも、次の話もちゃんと真相があるんです。
次のスピーカーは女子大生なのですが、こちらも最初のオチと次の真相があり、面白いなぁ~って思って、途中でこんな感じなら最後まで行ったらどうなるんだろうとワクワクがどんどん大きくなっていきました。そして警備員の番になります。
警備員の桐山は大手商社マンだったようですが、友達との間にある事件が起きて、その友情が壊れてしまうんです。それからは人間との関わりが怖くなり、会社も辞めて、警備員のような孤独な仕事を選んだようでした。でも商社マンの生活をしていた彼が突然に警備員の仕事では、お給料も違うだろうし、同じ生活レベルを続けてしまい借金が増えて行ったのかなと思いました。
その借金を返すために、自分が経験した事件を話すことにしたようでした。でも自分がショックを受けた事件を大勢の人の前で話してお金を貰うって、私にはえげつないように思えました。友情が壊れて人間不信になったと言っていたけど、友情を壊しているのは自分じゃないの?って言いたくなりました。
私なら友達のことを思って言えないな。だって友達を追い詰めたのは周りの人間なんだから。その友達も可哀想な人なんだと思います。それなのに平気で話をしてしまうなんて、こういう人間だから酷い事件に遭遇することになったんじゃないかと思いました。因果応報っていうでしょ。
警備員が話を終えてこれでまとまるのかと思ったら、鈴木という男が突然に話を始めるんです。そしてこの番組がどうして作られたのか、何故こういう趣旨の番組になったのかということが語られていきます。この最後の章が凄かった。よく出来ているなぁと感心しました。
このキャストでこの話の流れなら、菊池さん演じる桐山が主人公のように見えるけど、本当の主人公は鈴木だということが解ってきて、こういう話でこういうことが言いたかったのかと驚きました。SNSの怖さと愚かさが描かれていて、本当にそうだよなぁと思いました。こうやってネットで色々な情報が手に入る現代だけど、沢山の情報があることが果たして良い事なのか、考えてしまいました。
主演の大森さんと菊池さん、凄く上手いとは思わなかったけどじわじわ来るような演技で楽しめました。そういう演出だったのかもしれませn。周りの俳優さんたちもよい方ばかりなので、それも良かったんじゃないかな。私は岡山天音さんと伊藤健太郎さんが良かったです。やっぱりお二人は上手いですね。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。ラストの受け取り方で賛否が分かれそうですが、私はあの終わり方で良かったかな。観る人に自分で考えさせるという終わらせ方の方が印象に残りますからね。しっかり結末が決まったラストだと、終わったぁということで忘れられちゃいますから。スッキリしないかと思いますが、考えさせるラストなのだと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「#真相をお話しします」