「かたつむりのメモワール」
を観てきました。スペシャル先行上映に公式Xで当たりまして、観せていただきました。
ストーリーは、
1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親と3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなってしまう。グレースは生まれた時に口唇裂があり手術をしたが病気がちな子どもだった。学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしい弟ギルバートと、愛情深くひょうきんな父がいつも側にいてくれた。
しかしある時、父も突然亡くなってしまい、グレースとギルバートは別々の里親のもとで暮らすことに。グレースはキャンベルへ、ギルバートはパースの農家へと送られます。2人は手紙で励まし合うものの、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となっていく。
そんな彼女は、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、次第にかけがえのない友人になっていく。そしてピンキーがグレースの養母となって思春期を過ごしていく。一方、ギルバートは里親ルースから虐待を受けて苦しんでおり、その家の末っ子の男子と恋人になったことで”ゲイは許さない”という宗教により酷い拷問を受ける。それに反発したギルバートは教会に火を放ち、閉じ込められ死んでしまう。
大人になったグレースは隣人であるケンと知り合い親密になり、ケンからのプロポーズを受けて結婚することに。結婚式の日、ルースからの手紙によりギルバートが亡くなった事を知らされる。落ち込んで過食になり太っていくグレースでしたが…。後は、映画を観てくださいね。
クレイアニメーション作品で「メアリー&マックス」のアダム・エリオット監督の最新作です。前作から15年も時間がかかってしまったそうです。今回はかたつむりのフィギュアなどを集めることで心を癒していたグレースという女の子の成長物語でした。
可愛いアニメーションながら描いている内容は、人間の生きづらさや苦しみを描いていて、そんな中にも希望はあるんだということを教えてくれていました。主人公のグレースは俗にいうコミュ障で、子供の頃からいじめられたりしていて自分に自信が無い女の子でした。生まれた時に口唇裂があり手術で治したのですが身体が弱くて、あまり友達も出来なかったようです。
ある日、突然に父親が亡くなり、グレースと弟のギルバートは別々の里親に引き取られることになります。グレースは悪い人ではなさそうだけどちょっと変わっているカップルに引き取られ、ギルバートは厳格な宗教の農家に引き取られるんです。バラバラになった二人は手紙で連絡を取り合います。
里親ですからそれなりにどちらも問題を抱えますが、グレースはかたつむりの小物などを集めることで自分を癒していました。私も色々なモノを集めて満足しているので、グレースもそんな感じなんじゃないかな。かたつむりの指輪や人形、鏡などなど、色々なモノがあるようでした。たしかかたつむりのフィギュアに”シルビア”という名前をつけて可愛がっていたかな。
だけどギルバートが亡くなったという知らせを受け取ってからは精神的に不安定になり、過食になり、まんびきをして捕まったりしていました。凄いストレスがかかったんでしょうね。双子のギルバートの存在がグレースには支えのようになっていたからだと思うけど、もし最初から一人っ子ならどうだったのかしら。また違った展開になっていたんだろうと思いました。
グレースは面白いおばさんピンキーに出会って人生が変わります。ピンキーは変わっている人でパイナップルの着ぐるみで店頭販売したり、平気で色々な事が出来ちゃう人なんです。人の目を気にしないような感じかしら。そんなピンキーがグレースには良い刺激となり変わっていきます。このピンキー、変わっているけど素敵なおばさんでしたよ。私は好きなタイプです。
このピンキーとの出会いがあったから、隣人のケンと知り合い結婚するほどに仲良くなれたのだと思います。ピンキーとの出会いで自分に少しだけ自信がついたんじゃないかなと思うんです。ま、結婚したからってしあわせになるとは限らないですけど、一度は人を信頼することが出来たんだろうと思うんです。
コミュ障だったグレースが、色々な人との出会いと別れによって成長し、段々と一人で生きていけるようになっていく過程が描かれていて、観ていて頷いてしまいました。みんな誰もが通る道ですよね。最初から一人で生きていけるような強い人はいなくて、色々な経験をしてこそ一人で立ち上がって歩いていけるようになるんです。そんな事を感じるお話でした。
そして成長して一人立ちする時に、その集めていたかたつむりさんとお別れをするんです。この映画で初めて知ったのですが、かたつむりって、卵を産んだら死ぬんですかね。グレースが買っていたシルビアを逃がしたら、卵を産んで死んでいったけど、その子供たちがまた生きていくというように描かれていました。たしかかたつむりって雌雄同体でしたから、1匹で産めるんですよね。
グレースは子供の頃からかたつむりのコスプレで、かたつむりの目のような角が出ている帽子をかぶっているんです。最初、あの角は何だろうと思っていたら帽子でした。かたつむり、かわいいんだけど、もし殻を脱いだらナメクジになるんだなと思うとゾッとするのよね。殻も身体の一部だから脱ぐことは出来ないんだけど、すみっコぐらしを観ていてそんな話もあったので、少し怖く感じました。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。全体的な色がセピアっぽくて人形にクマがあったりするのでちょっと怖い印象がありますが、お話はとても良い作品です。かたつむりも可愛いですよ。公開は少し先ですが、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「かたつむりのメモワール」