「エミリア・ペレス」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会に当選し、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
メキシコの弁護士リタは麻薬カルテルのボスであるマニタスから女性として再スタートしたいという依頼を受ける。リタは完璧な計画を立てマニタスは無事に過去を捨てて姿を消すことに成功。それから数年後、イギリスで仕事をしていたリタの前にエミリア・ペレスという女性として生きるマニタスが現れる。
というお話です。
メキシコで働く弁護士リタは、ある殺人事件を良心に反して自殺だと主張し勝訴する。その後、匿名のクライアントから依頼の電話があり、高額な報酬を払うという仕事を嫌々ながらも受けることにする。そのクライアントは麻薬カルテルの大物、フアン・マニタス・デルモンテであり、その内容に驚くリタだった。
マニタスは昔から女性になりたいと思っており、それをずっと隠してきた。もう我慢が出来ないので、全てを捨てて性別適合手術を受けて女性として新しい生活を始めたいという。リタは驚きながらもバンコクやテルアビブの医師に相談し、マニタスのカウンセリングを行い性別違和の確認を取り、性別適合手術をしてくれる医者と引き合わせる。
マニタスの手術準備も進み、妻ジェシーと子供たちは安全のためにスイスへ移住させてリタの仕事は終了です。マニタスはリタに感謝し法外な金額を支払いました。手術は成功し、マニタスは自分の死を偽装して、新しくエミリア・ペレスという女性として人生を始めます。
4年後、ロンドンでリタの前にエミリア・ペレスとなったマニタスが現れる。再会に驚くリタに、また仕事を頼みたいと言うのだ。妻ジェシーと子供たちをメキシコに呼び戻して一緒に暮らしたいという。リタはエミリアの依頼を受けて家族を呼び戻して、一緒に暮らさせることに成功する。
エミリアはリタの素晴らしい能力を提供して欲しいと頼み、それまでの自分の悪事を懺悔するように、メキシコで行方不明になったりした人々の捜索をボランティアでする組織を立ち上げる。善行を重ねるエミリアだったが、過去の因縁が暗い影を落とし…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、2時間の映画なのに情報料が凄いんです。麻薬カルテルのボスから始まって、性別適合手術で女性になり、家族はスイスへ移住させ、有能な弁護士は有罪を無罪に導き、などなど、書き連ねたら凄い沢山の出来事がこの映画の中で起こっているんです。昔でいう”ジェットコースタードラマ”という感じかしら。
主役はエミリア・ペレスなんだけど、弁護士のリタ、妻のジェシー、恋人のエピファニアと4人の女性がそれぞれの人生を生きていて、観ていると自分に重ね合わせられる人物が見つかるんじゃないかなと思います。それぞれに欲望があり、喜び悲しみがあり、人生は一筋縄では行かないという事がよく解るんです。
エミリアは元麻薬カルテルのボスだったので、お金は沢山あるんです。だけどお金では全然幸せになれないんですよね。じゃぁ、どうしたら幸せになれるのかと思ったら、罪の償いでボランティアをして人を助けるという事だったんです。罪の浄化を行うことで、少しでも心の重荷を減らして幸せになりたいと思ったんじゃないかしら。
でも、どんなに良い事をして罪の浄化をしても、どこまでも昔の因縁が付いて周ってくるんです。良い事をするにしても、その為に昔のツテで情報を貰ったり、昔のお金を使ってのボランティアだったり、全てが昔のベースの上にあるんです。妻に対しても、昔の莫大なお金を使わせているから大人しくメキシコに帰ってきたけど、お金が無くなると解ると豹変しますからね。
リタはマニタスの仕事を受けて、報酬として沢山のお金を貰います。それまでは生きるためのお金を稼ぐために、自分の意に沿わない仕事も受けて嘘の証言も仕方なくしていたのに、彼からのお金によって、嘘をつかなくても良い仕事を受けられるようになるんです。
お金って不思議ですよね。悪いことをしなければ手に入らなかったお金が、1度大金を手にして環境レベルを上げることで、悪いことをしなくても稼げるようになる。でも昔悪いことをしているのだから、どうしてもその罪悪感が抜けなくなる。悪いことをして手に入れたお金でのし上がれば、いつまでも昔のことが付いて回ってしまう。いつまでも幸せになれそうにありませんね。
このエミリアとリタは昔の罪を忘れられないけど、それでも前を向いていきたいと思って、ボランティア組織を作ったのだと思います。罪の償いの意味もあると思うけど、それだけじゃなくて、自分の子供たちの時代が良くなって欲しいという思いもあったんじゃないかな。二人とも子供を凄くかわいがっていたので、そういう理由もあったと思いました。
妻のジェシーですが、未亡人となってしまい昔の愛人とよりを戻して再婚を考え始めるんです。夫は亡くなってしまったんだし、再婚してもいいと思うのですが、マニタスが残したお金を当てにして再婚しようとしていたんです。いやぁ、その再婚しようという男、金目当てだけじゃん。ジェシーはマニタスに頼りっきりだったから頭が悪いんだと思うんですよねぇ。自分の頭で考えて行動しようよ。考えれば、その男がクズだってわかるでしょ。
マニタスは既に女性エミリアになっているし、元妻が再婚で幸せになれるなら応援すべきじゃなかったのかな。子供は時々会えるようにすれば良かったんじゃないの?エミリアは全てを自分のモノにしておきたいと思っていて傲慢なんですよ。時々、そういう部分が出てくるよね。ダメダヨ~、エミリアさん。
そしてもう一人、エピファニアという女性です。エミリアとボランティアの人探しで出会い、恋人となります。エピファニアは夫と暮らしていましたが夫が失踪したようなんです。そしてエミリアのボランティアの人探しで夫が見つかったと聞き、やってくるんです。詳しくは書けないけど、彼女は夫にDVを受けていて、とても不幸だったようなんです。大人しくて素敵な女性でした。彼女のことで、行方不明者を見つけることが全て幸せではないのだという事をエミリアは知ったようでした。
こんな4人の女性が動き出し、全てが上手く行くように見えて実は悪い方向に行っていたこともあったんです。あまり書けませんが、善良で正しいと思われることをすれば幸せになれると思ったら大間違い。因果応報というけれど、人生はプラスマイナス0になります。良い事ばかりではありません。悪いことをしたらそのまま返ってきます。相手の罪をいつまでも許さなければ、自分も許されません。
そんな事が描かれている衝撃的な内容の映画でした。そしてエミリアを演じているカルラ・ソフィア・ガスコンさんの過去のSNS投稿で炎上していた件ですが、既に下火になってきているし、この映画の内容が過去の清算という内容だったので、おおっと思いました。何事も無くアカデミー賞に出てきてくれるといいなと思います。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。私は面白かったし、ちょっと笑える部分もありました。何たってミュージカル仕立てなので、いきなり机の上で歌いだしたりして噴きそうになってしまいました。凄く歌も上手いんだけど、いきなり歌いだされると何が起こったんじゃ!って驚きますよ。面白かったんですけどね。アカデミー賞の大本命と言われている作品なので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「エミリア・ペレス」