「SKINAMARINK スキナマリンク」
を観てきました。
ストーリーは、
真夜中に目が覚めた2人の子ども、ケヴィンとケイリーは、家族の姿と家の窓やドアがすべて消えていることに気づく。歪んだ時間と空間に混乱する2人は、暗闇に潜むうごくめく影や悪夢のような恐ろしい光景に、次第に飲み込まれていく。
というお話です。
と書きましたが、こんなストーリーは観ているだけでは判りません。はっきり言って、ストーリーは無いんです。ただ映像を見せられて、それに対して観る側がどんな想像をするかという映画なのですが、こちらが想像してストーリーを考えるなら、映画じゃないですよね。ただの映像の羅列なので、映画とは思えないです。
確かに、子供がTVを観ている後ろ姿と、ウロウロして何もないようなしぐさと、TV画面が何度か歪む映像と、おもちゃが散乱している映像。この4つくらいの映像が繰り返し流されているようにしか見えないんです。
私はどちらかというと映画を観て、色々と想像をして自分の頭の中で組み立てる方なので、映画製作者たちの考えとは違う内容を頭の中で作っていたりすることもあるのですが、それはベースの映画がしっかり作られているから楽しめることで、全く出来上がっていない映像だけを見せられても、「だから?え?どういうこと?」としかならないんです。
私が映画館で観た時、観客はいっぱいに入っていましたが、終わった後にあまりの内容に唖然としてしまい、誰も立ち上がれませんでした。本当に終わったの???という感じで、声も出ないようでした。しばらくして映画館スタッフの方が掃除用具を持って入ってきて、やっとみんな我に返り、帰り支度をして映画館を出ていくという様子でした。
これは酷いです。観る前に言ってくれないと、お話が始まると思っていたのに、いつまで経っても何も始まらないんですから。単館系の映画で雰囲気だけを描いた作品やドキュメンタリーを観ていて、ある程度のことでは驚かない私ですが、これはダメでしょ。普通にホラー映画だと思って観に行った人は「金返せ!」の領域です。
「それはあなたの想像力の無さが原因です。」と言われそうですが、この映像でホラー映画ですって言われるなら自分で作ります。だって、監視カメラの映像を集めたような粗い画面で、構成といったって羅列しているだけなんですから。画面のバランスがとか言われるなら、美大だった私は映像学で習った構成が連続で使われているだけと言います。
不穏な映像で怖いというなら、そりゃ怖いでしょ。ピエロが出てきただけでも怖い映像になるのに、暗くして小さな光だけなら不穏な映像になるよ。こんな映画で”素晴らしい”とか”面白い”とかいう人の気が知れません。確かに不穏な映像で、いつ怪物が出てくるのかな悪魔が出てくるのかなとハラハラしたでしょと言われればそうかもしれないけど、ハラハラのまま1時間半長引かされて終わりですって言われた日にゃ、どーしたらいいのよ。ハラハラし損だよ。
どこまで行っても文句しか出てこないのでここらで辞めますが、YouTubeで怖い映像を観る方が断然面白いです。それにこの映画の内容は映画の予告映像を何度も繰り返しただけと思ってよいです。そのまま何も起こりません。ネタバレと言われるかもしれないけど、最初から最後まで同じ映像(ちょっとは変えてある)を繰り返すだけならネタバレも何もないでしょ。
私はこの映画、お薦め出来ません。今年になって初めてお薦め出来ない映画に出会いました。これはダメでしょ。いや、もしかしたらプロの映画好きさんで、このアングルがとか微妙なノイズがとか、難しいことをさも頭が良さそうに言う方たちには喜ばれる作品なのかもしれません。でも普通に生きて映画を楽しんでいる方にはダメな作品です。それでも怖いもの見たさでというのでしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「SKINAMARINK スキナマリンク」