「Brotherブラザー
富都(プドゥ)のふたり」
を観てきました。
ストーリーは、
マレーシア・クアラルンプールのプドゥ地区にあるスラム街。不法滞在者2世など貧困層の人々が暮らすこの地域で、身分証明書を持たないアバンとアディは兄弟として育った。ろう者のアバンは堅実に生計を立てているが、アディは裏社会の仕事で危険な日常を送っている。そんなある日、アディの身分証明書発行の可能性が出るが、ある事件が兄弟の未来に暗い影を落とす。
というお話です。
マレーシア・クアラルンプールの富都(プドゥ)地区にある荒廃したスラム街。この地域には不法滞在者2世とも言える人々や、様々な国籍・背景を持つ貧困層の人々が多く暮らしている。
その場所で、身分証明書(ID)を持つことが出来ず、過酷な生活を強いられ生きてきた兄アバンと弟アディがいた。アバンは聾唖(ろうあ)というハンディを抱えながらも、市場の日雇いで堅実に生計を立てているが、アディは簡単に現金が手に入る裏社会と繋がっていて、彼の行動は常に危険と隣り合わせだ。
そんなある日、ボランティア支援センターの女性がアディを訪ね、解らなかった実父の所在が判明したと伝えに来る。アディにID発行の可能性が出てきたので書類を描いて欲しいと言われるアディ。しかし今更父親だと言われてもという思いと、アバンを差し置いて自分だけIDを取るという後ろめたさからその女性を突き飛ばしてしまう。
動かなくなった女性を見て怖くなったアディはその場を逃げ出してしまう。慌てたアディの姿を見て、アバンは直ぐに動き出すが…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、哀しいお話でした。不法滞在者2世のになるのかな。アバンとアディは2人で暮らしています。本当の兄弟ではないけれど、親に捨てられて1人で生きていたアバンの前に、やはり親に捨てられたアディが現れ、小さなころから2人で生きてきたんです。
兄のアバンはろうあ者で、真面目に仕事をして生きているのにIDが無いせいで良い仕事には就けず、苦労をしています。弟のアディはそんな兄を見ているので、マトモな仕事に就いても損をするばかりだと思ったからなのか、裏の仕事をしているんです。詐欺をして追いかけられたりと、色々と問題を起こすアディですが、アバンは決して見捨てたりせず、弟を大切に思っているんです。
本当に仲の良い兄弟でした。ゆで卵をお互いのおでこにぶつけて割って食べる姿が、何とも言えずに可愛かった。きっと、子供の頃からやっているんでしょう。パッと見たら、仲の良いゲイカップルのように見えちゃうほど仲が良かったです。
彼らは生活を良くしたくて、なんとかIDを取ろうとしていました。この2人は両親が合法的な結婚をせずに生まれたためにIDが持てなかったようなんです。なので両親のどちらかが見つかり、自分の子供だと証明して貰えばIDの申請は出来るようでした。
アバンの親は火事で亡くなっているようなので、IDの取得は難しいようですが、アディは一人になった時に出生証明書を持たされていたようで、それを辿れば、もしかしたら親を見つけられるかもしれないという可能性があるんです。そしてボランディアの組織が親を探してくれていました。
この2人の差がそこで出てきているんです。既に親が居なくてIDが取れないアバンと、もし親が見つかったらIDの発行がして貰えるアディ。普段はこの違いを口にしない2人ですが、何かあるとアバンはアディに、お前はIDが取れるかもしれないというようなことを言っているんです。悲しいけどそれが現実だと言い聞かせているようでした。その雰囲気が何とも言えない哀しみがあって、可哀想でした。
どんな時もアバンはアディを守ってきたので、大人になってもアバンにとっては可愛い弟なんですよ。何をしても、どうなっても、アバンは弟を守ると決めていたんじゃないかな。その必死さがいつか問題になるだろうと思っていたら、案の定そうなりました。アディの起こした事件をアバンが確認しに行くことで、大きく動いてしまいます。
この映画観ていると、出てくる人は良い人ばかりなんです。相手の事を思ってやっているのにそれが伝わらず、上手くかみ合わなくて大事件になってしまう。落ち着いて話をしていれば、何の問題も無かったのに、自分のせいで道を外れてしまう。これは何なんでしょうね。まるで不幸を呼び寄せているように問題が起きている。不思議なのよねぇ。まぁ、映画だからなんだけどね。
この兄弟、血が繋がっていないのにこんなにも相手の事を思い、自分を犠牲にしてでも守ろうとする姿に驚きました。兄アバンはブラコンなのかっ!と思うほど弟を大切に思っているんだけど、アディも負けず劣らずアバンの事を思っているんです。アバンを思っているからこそ、自分だけ幸せになんてなれないと思い、事件を起こしてしまう。愛しているからこそ、不幸が寄ってきてしまうように見えて悲しくなりました。
アバンには台湾の俳優ウー・カンレンさん、アディ役にはマレーシアの俳優ジャック・タンさんでした。お二人ともそれぞれの国で有名な俳優さんだそうです。貧しい地域に住んでいるという設定なので、汚い服装をしていますがイケメンなのでやっぱり綺麗に見えちゃうんですよ。マジでイケメンでした。
この映画を観ると、不法滞在者でも真面目に働いていればIDを発行すればよいのにと思う方がいらっしゃると思うけど、一人許してしまうと大量に出てきてしまうのでやれないのだと思います。良い人という判断は誰がするのかも問題ですよね。観る人の感覚だけだから、簡単にIDの発行などしてはいけないんです。
日本にも不法移民の方がいらっしゃるけど、通常、不法に日本に滞在している人間は悪いことをする人がほとんどじゃないかな。だって、真面目な人なら不法に滞在しないで、一度、国に帰って正式に日本で仕事が出来るように申請してくるでしょ。勝手に日本で働いている人は、その手間やお金を惜しんでいるからでしょ。難民と言っている人がいるけど難民じゃないでしょ。本国は差別などしていませんと言ってますもん。
移民問題は世界で大きくなってきていて、そろそろどの国も移民は許さないと言い始めているので、日本もしっかりした法律を制定する時期ですよね。日本人ではない方が家を買っても土地は国に帰属するとか、帰化しても政治には関われないとか、国家公務員にはなれないとか、司法試験に受かっても裁判官にはなれないとか、規制を作らないと、他の国の人が全て政治も司法も操るようになってしまったら日本じゃなくなりますから。
話を戻して、この映画、美しい兄弟愛が描かれていました。血が繋がっていなくても、一緒に生きた時間が長ければ本当の兄弟よりも強い絆で結ばれるんだなという事が解りました。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。素敵な映画でした。2人の愛は誰にも切ることは出来なかったんです。たとえ分かれても、その愛は消えることは無いのだと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり」