「あの歌を憶えている」過去に囚われて前に進めなくなったら、全てから逃げてもいいんですよ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「あの歌を憶えている」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

ニューヨークで13歳の娘と暮らすソーシャルワーカーのシルヴィアは、若年性認知症で記憶障害を抱えるソールと出会う。家族に頼まれ、ソールの面倒を見るようになったシルヴィアは、ソールに次第にひかれていく。しかしシルヴィアもまた、ある過去のせいで心に傷を抱えていた。2人は互いに寄り添いながら自身の過去や人生と向きあっていく。

というお話です。

 

 

ソーシャルワーカーとして働き、13歳の娘とニューヨークで暮らすシルヴィア。ある日、同窓会に参加したシルヴィアは帰路につくと後ろをついてくる男に気が付く。同窓会にいた男だ。急いで家に入り鍵をかけるが、次の日の朝、外に出るとその男が道路で寝ていた。驚いたシルヴィアは直ぐに彼の関係者を探して連絡をし連れ帰って貰う。

シルヴィアについていった男性・ソールは若年性認知症による記憶障害を抱えていた。この出来事の後、シルヴィアはソールの事情を知り、彼の姪に介護の助けを頼まれ、自分の誤解があった事も解り、週末にソールの手助けをすることにする。



 

ソールの面倒を見るようになったシルヴィアだったが、彼の穏やかで優しい人柄と、抗えない運命を与えられた哀しみに触れる中で、彼に惹かれていく。だが、彼女もまた過去の傷を秘めていた。ソールに惹かれながらも、過去の傷により苦しんでいくシルヴィア。そんな時にシルヴィアの母親が彼女の娘・アナに近づいていく。母親の出現によりシルヴィアの心の傷が明かされることになり、その秘密を娘のアナも知ってしまう。そして…。

後は、映画を観てくださいね。
 

この映画は、心の傷を負った女性と男性が出会いそれぞれを思いやることで、傷は消えないが癒されていくというお話でした。シルヴィアは、介護施設でソーシャルワーカーとして働くシングルマザーです。13歳の娘を育てながら働いていて、何故か家のセキュリティーはこれでもかっていうくらい厳重にされています。

 

 

ある日、妹に誘われ高校の同窓会に出かけるんです。行ってみたはよいけどお目当ての友達には逢えず、静かにテーブルで休んでいると、微笑みかけてくる男性が横に座ります。ちょっと嫌だなと思ったシルヴィアは会場を出て帰路に就きますが、何故かその男も付いてくるんです。ストーカー?!と思って急いで家に入り鍵をかけます。次の日、朝、外を見ると、その男が道路で寝ているんです。

 

これは怖いですよね。自分には見覚えが無い男が親しそうに寄ってきて、家に帰るまで付いてくるって、ほぼストーカーよね。こんなんが付いてきたら、自宅に帰ったら危ないので、そのまま警察に行かないとダメよ。自宅憶えられて待ち伏せでもされたら大変ですからね。

 

で、道路に寝ていたソールの首に連絡先がかかっていたので、そこに連絡をすると、直ぐにソールの弟であるアイザックが迎えに来るんです。そしてソールが若年性認知症だと知ることになります。なんか、昔の記憶は全て残っていて忘れないのに、現在のことが覚えられない状況を忘れてしまうと言うんです。

 

 

アイザックとその娘のサラがソールの面倒を見ていたのですが、サラの進学により日中に面倒を見れる人がいなくなるので、シルヴィアにお願いできないかと頼むんです。シルヴィアは学生時にレイプされた経験があり、その集団の中にソールもいたんじゃないかと疑っていたのですが、そうではないことが証明され、それならとソールの介護を引き受けます。

 

そして2人の距離は縮まっていきます。ソールの亡くなった妻が赤毛だったようで、シルヴィアと同じだったために同窓会の後に付いていったのではないかと推測出来ました。ソールは穏やかで優しい男性ですが、認知症であり、位置関係の把握も難しくなってきているようで、介護は大変そうでした。

 

 

一見、何の問題も無さそうな男性なのでつい放置したりしてしまうと、外に出て行ってしまって迷子になったり、家の中でもころんで寝たままになってしまったりするんです。若年性認知症って見た目で判らないことが怖いですよね。いつも通りに出来ているじゃんと思っていると、突然どこかに出て行ってしまったりとビックリしてしまいます。きっと本人にはちゃんとした理由があると思うんだけど、シナプスの繋がりが切れているので、頭の中の物語が繋がっていないんでしょうね。

 

シルヴィアはとても悲しい過去を背負っています。これは耐えられないだろうなと思うような酷い過去でした。家族間での問題と、それが影響しての学校での出来事です。シルヴィアは美しいのでどうしても男に目を付けられてしまい、苦しんでアルコール依存症になったのだと思います。そして子供が出来たことで断酒会に行くようになり、お酒を止めたのだろうと想像出来ました。

 

 

そんな彼女の前に現れたソール。彼は認知症です。過去に苦しむシルヴィアに、忘れていく哀しさを見せるソール。穏やかで優しいソールだからこそ、全てを忘れていく彼を見ながら、哀しいけどそれもまた幸せなのかもしれないと感じたかもしれません。妻が亡くなり悲しんでいたソールですがその悲しさを忘れ、妻の思い出の曲だった「青い影」という曲はシルヴィアの曲になっていく。それは神様がくれた解放だったのかもしれません。

 

シルヴィアは過去の傷を忘れられず、相手を決して許せません。当たり前です。こんな酷いことをされて許せなんて誰が言えるんだよ。酷いことをした相手も、相談したシルヴィアに嘘をつくなと言った奴も、私がそこに居たら絶対に許しません。江戸時代なら”さらし首”、現代なら警察に突き出します。警察が被害届を受理しなければ暗殺します。絶対に許せねーよ。大体、被害者に加害者を許せなんてどの口が言うんだよ。犯人は世界から消え失せろ!

 

 

そんなシルヴィアの心の傷をソールは聞くことはせず、静かに包み込むんです。ソールも全てを忘れていくけど、きっといつの日か、シルヴィアの中の酷い出来事も頭の中から消えていく日が来るかもしれない。もう向き合わずに逃げてもいいんじゃないのかなと言われているように感じました。

 

人はそんなに強くないから、何でもスッキリ解決すればよいんじゃなくて、逃げて忘れてもいいんじゃないかな。私は自分の性格上、殴り合ってでもスッキリさせたいタイプですが、そうではない選択肢もあるのだと知りました。意識の低い人間たちと同じ位置に立つ必要なんて無いんです。考えさせられました。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。そんなに苦しまないで、向き合わずに逃げてもいいんだよと言われているようでした。何度も思い出して自分で自分を傷つける必要なんて無いんです。とっても優しい映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「あの歌を憶えている」