「満ち足りた家族」
を観てきました。
ストーリーは、
弁護士の兄ジェワンと小児科医の弟ジェギュ。ジュワンは道徳よりも物質的な利益を優先し、弟のジェギュは常に道徳的で良心的が信条で、痴呆気味になった母の介護はジェギュの妻が診ている。兄弟でありながら正反対の2人は、それぞれの妻を連れて月一回高級レストランの個室でディナーをする。ある事件が発生し、ディナーの場で4人は家族に関するある秘密に直面することとなるのだが。
というお話です。
兄ジェワンは、道徳よりも物質的な利益を優先して生きてきた弁護士だ。仕事のためなら、殺人犯の弁護でさえも厭わない。年下の2人目の妻ジスや10代の娘らと共に豪華マンションに住み、家事は家政婦がこなす誰もがうらやむ暮らしだ。
一方、小児科医として働くジェギュは、どんな時にも道徳的で良心的であることを信念に生きてきた。年長の妻ヨンギョンと10代の息子と共に住む彼は、老いて認知症気味になった母の介護にも献身的に当たり、品行方正な日々を送る。
まったく相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟。そんな2人は、それぞれの妻を伴って月に1回、高級レストランの個室に集い、ディナーを共にする。レストランではお得意様であるジェワン夫妻が常に優先され、兄弟家族同士の会話はどこかぎこちない。
ある日、ディナーが行われた夜、時を同じくある事件が起こり、満ち足りた日々を送る家族を壊しかねない現実に発展していく。ジェワンの娘とジェギュの息子が遊びに行った帰りにホームレスの男性に暴行を加えたのだ。暴行を加えている監視カメラ映像が出回り、警察が調べてやって来るのは時間の問題だ。
2組の夫婦が集まり子供たちについての話をし始める。子供たちに出頭させるか、このまま隠してしまうかだ。受験でストレスが溜まりやってしまったんだろうと考える親たちは、子供たちを守って隠蔽してしまおうと考えるのだが…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったです。ストーリーが上手いですね。これは脚本が上手いのだと思いました。弁護士の兄と医者の弟。どちらも成功していて幸せそうに見える家族なんです。ジェワンは弁護士として顧客の利益を優先する人物です。たとえ殺人者でも自分の顧客となれば全力で無罪にしようと画策をするんです。それはもう、卑劣な手を使って何でもする弁護士でした。
一方、弟のジェギュは人命優先。沢山の人々を助けようとするし、簡単には諦めない医者としては優秀な先生です。そして兄弟の母親の面倒を見ているのジェギュの家。ジェワンは再婚して若い妻との間に子供が生まれたばかり。老人の面倒は見れないので弟の家で見ているんです。
この母親の介護ですがジェギュの妻が診ています。ジェギュは医者で忙しいと言って面倒は妻に押し付けているんです。これ日本の家庭でも一緒ですよね。自分の母親なのに、何故自分で見ないのか、不思議だと思います。
認知症が進み、暴れたりして大変そうですがジェギュの顔を見てジェワンと言い喜ぶんです。韓国は特にだと思うけど、やはり長男が一番かわいいんでしょうね。面倒をみているのはジェギュなのに、母親はジェワンを望むんです。これは辛い状況だなと思いました。
この兄弟、仕事の事や母親の介護問題でしこりがあるんです。そんなところに子供たちの事件が起きてしまい、どうするかと悩みます。罪を犯しているのだから、本当は警察に行くべきだし、悪いことは悪いと教えなければいけない。でも子供は可愛いし、将来の事を思うと家族から犯罪者は出したくないと思ったのだと思います。
そして子供たちに問いただすと受験もあるしストレスが溜まってと言い、そんな子供たちを守らなければと思ってしまうんです。これはダメでしょ~と思ったけど、ジェワンもジェギュも黙っちゃって言い出さないんです。これは良くないよなぁと妻たちも思っていて、一番チャラチャラして考えてい無さそうなジェワンの妻が真剣に考えだすんです。
ジェワンの妻は若いのでジェギュの妻はムカついていて、家族じゃないとか言い放つんです。完璧に虐めで怖いと思いました。ジェギュは大人しい感じなので妻がキツいんです。題名に「満ち足りた家族」とあるけど、こんなにけん制し合っていたんじゃ満ち足りてないでしょと思っちゃいました。
ジェワンの娘は、父親の再婚で凄く若い女性が継母になったので母親とは認めていないようでした。そして腹違いの弟が出来たことでもっとひねくれたようで、両親のことは一切信用していないようです。悪い遊びばかりしていて、父親の力やお金の力を使って学校をサボっても許して貰っているんじゃないかな。両親の前では良い子の振りをして、この子は最悪だなと思いました。
一方、ジェギュの息子は身体が小さくて細いのでいじめにあっていたようで、それをジェワンの娘に助けて貰ったんです。なので彼女のいう事には従っていて、悪い遊びに付き合わされています。そしてこの子も平気で両親に嘘がつける子です。
大体、高校生くらいの子は一度悪いことを憶えたらそのままエスカレートしてしまうんです。だから途中で親が怒らなければ治らないし人生を修正出来ません。でも、この2人は”満ち足りた家族”の一員なので親に甘やかされていて、何が本当に悪いことなのか、全く認識をしていないようでした。これはダメだよね。
そして最後に恐ろしい展開が待っています。いやぁ、こう来るか!と思って驚きました。ちょっと想像が出来ない展開だったので、私は本当に驚きました。今まで観たことが無い内容です。さすが韓国映画だと思いました。これは邦画には無いだろうなぁ。
仕事は仕事として兄弟とも真摯にやっているのだと思うけど、家族のことになるとどうしても感情が入ってきてしまい、冷静になれないのでしょう。どんなに子供がかわいくても、愛しているとしても、悪いことは悪いと教えなければそれは子供を育てる資格はありません。
常に犯罪者がいれば「被害者」がいるのだと認識しなければね。相手にも家族がいて悲しむ人がいる。当たり前のことなのに家族のことになると見えなくなってしまう。これはどんな時にも忘れてはいけません。だって、いつ自分が加害者になるか、被害者になるか分からないんですから。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。これはよく出来た脚本だと思いました。韓国映画は脚本が上手いよなぁ。邦画だとここまでしっかり組まれている脚本って少ないですもんね。見習って欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「満ち足りた家族」