「ハイパーボリア人」ふっしぎなハイパーボリア人、どこから来てどこへ行くのか監督だけは知っている。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「ハイパーボリア人」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

 

ストーリーは、

女優で臨床心理学者でもあるアントーニア(アント)・ギーセンは、以前に撮影した映画が盗難に遭い公開出来なくなったため、それと同じ内容を再現してお送りしようと試みる。

アントーニア・ギーセンは、謎の幻聴に悩まされる患者の訪問を受ける。彼の話を聞くと、PCのExcelを使ったゲームを楽しんでおり、ゲームの中なら死ぬことは無いからと言いながら、実は苦しんでいる様子。自分の思考とは違う幻聴が聞こえ、魂が抜けたようになってしまうようだ。

彼の話を友人の映画監督レオン&コシーニャにすると、2人はその幻聴は実在したチリの外交官にして詩人、そしてヒトラーの信奉者でもあったミゲル・セラーノの言葉であることに気づき、これを元にアントの主演映画を撮ろうと提案する。



 

2人とセラーノの人生を振り返る映画の撮影を始めるアント。監督からの指示を受けられず、何か不安を感じ取ったアントは”男”が言っていたエクセルのゲームに入り込むコマンドを打ち込み、ゲームの中へと入り込む。

しかし、いつしか謎の階層に迷い込み、チリの政治家ハイメ・グスマンから、国を揺るがすほどの脅威が記録された映画フィルムを探す指令を受けとる。カギとなる名前は”メタルヘッド”。探索を始めるアントだったが、やがて絶対の危機が彼女を待ち受ける。そして…。

 

こうして盗難されたフィルムとほとんど同じものを撮影公開したアントは満足げな微笑みを浮かべる。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、内容が現在のアントと、女優として盗難されたフィルムと同じように演技をしているアントと二重になっていて、あらすじが長くなってしまうので、最初の簡単あらすじは省きました。

 

まず、このハイパーボリア人とは、ギリシャ神話やクトゥルフ神話に出てくる架空の民族であり、太古の昔に宇宙からやってきた半神の巨人たちと言われているんです。随分とクトゥルフ神話の小説を読んだのですが、このハイパーボリア人に覚えがないんだよなぁ。そんな人、出てきたかしら。

 

この映画、チリの政治的なことが理解出来ていないと理解が出来ないと思いました。詩人で外交官だったミゲル・セラーノや政治家のハイメ・グスマンなどが出てきて、ミゲールはチリ人だけどヒトラー信奉者で彼は自殺したのではなく地下に逃げているんだと信じているような人だったようです。ハイメ・グスマンは独裁者ピノチェトに近かった政治家で、1991年にテロで殺されたようです。

 

 

映画の中の映画の内容としては、幻聴が聞こえるという患者が言っていることを総合するとミゲル・セラーノの生まれ変わりだと考えられるから、彼の思考の中を映画化しようという監督と主演を引き受けたアントは撮影に入るんだけど、監督からは何の指示も無いので不安になって行きます。

 

それでも流れるままに撮影を続けていくと、なんだか不思議な世界に入り込んだような場面になり、どういう事なの?と考えていると、監督たちはヒトラーを再生させたいと思っていたようで、その為にこの映画を作っていたようだということが解り、アントが主演に選ばれたのも、彼女が生まれ持っている”その血”が必要だったようなんです。これはただの幻聴を映像にした映画ではなく、悪魔復活のための映画だったのだと解ってきて、アントは絶体絶命の危機に陥るのですが、最後は映画で確認してください。

 

 

以前の映画と同じように、現実と空想妄想がごっちゃになっていて、はっきり言って何を訴えていたのかよく解りませんでした。今回はストップモーションアニメだけではなく、実写の中にストップモーションを入れ込んだり、その反対をしたりで、人形たちは相変わらずおどろおどろしい雰囲気を醸し出していました。

 

チリは独裁政権に苦しめられた時代が何度もあるので、そういう政治への恐怖と怒りが込められていたのかな。そして幻想の世界はアントが心に引っかかっている出来事がクローズアップして迫ってきていたような気がしました。牛さん頭のマネキンだけは大人しくてどこか憎めない感じでしたが、他の人形たちは不気味で恐怖しか沸きませんでした。

 

 

大臣の人形とかも出てきたんだけど、顔はリアルっぽくなりながら身体は簡素化された手足だけの人形だったりで、観ているとその動き、恐怖しか沸きませんって感じのキモさでした。強そうではないんだけど、見た目がグロいんです。キモかったなぁ。幻聴が聞こえる患者の男性はヘビメタ好きっぽい髪型なんだけど、彼が人間の時は普通なのに、パッと人形になっている時も多々あり、そちらは青白い顔で細くてちょっとミイラのように見えました。

 

それにしてもゲームに入るのに裏コマンドらしきモノがあり、それを幻聴患者がアントに教えていて笑いました。エクセルでゲームがあり、裏コマンドで入り込むんだと言うんです。エクセルでそんなゲームが出来るのかな?まぁ、楽しめているようなので良かったけど。

 

 

私はチリの歴史や現状、政治的な事を知らずに観てしまったので、この映画を理解出来たとは言えません。チリで何故ナチス・ドイツなのかも理解が難しかったです。映画の後にチリの映画研究をされている新谷先生がお話をしてくださって、そのおかげである程度は理解が出来ましたが、それでもレオン&コシーニャ監督の真意は難しかったな。

 

レオン&コシーニャ監督の作品は独特な映像なのでそこが好きなんですが、内容に関しては再度観てもう少し深く考えてみたいと思っています。1回だけだと表面を観るので精一杯で奥底までの想像は出来ませんでした。今度行けば、きっと何か新しいことが見つけられるかなと思いました。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。相変わらずの素晴らしい映像美に難解な内容。何が怖いって、人間が一番怖いよぉと思わせてくれて楽しめました。解らなくても、一度は観ていただきたい映画です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S:「名前のノート」が同時上映です。10分ほど

 

 

「ハイパーボリア人」