「愛を耕すひと」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
18世紀デンマーク。退役軍人ルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号をかけて荒野の開拓に名乗りをあげる。その土地に住むフレデリック・デ・シンケルは自らの権力が揺らぐことを恐れ、あらゆる手段でケーレンを追い払おうとする。ケーレンは自然の脅威とデ・シンケルの非道な仕打ちに抗いながら、出会った人々と共に開拓を続けていく。
というお話です。
18世紀半ば、デンマーク王フリーヒ5世は、ユトランドの荒野を耕し、人々を定住させることで王室の新たな収益となると考えて、何度も人々を派遣させますが、何度やっても失敗します。その荒野は人を寄せ付けないのだと諦めていたのですが、ある日、退役軍人が現れます。
貧窮にあえぐ退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号を懸け、ひとり荒野の開拓に名乗りを上げる。政府の人間は何度も失敗した地なので上手く行く訳がないと知っており、成功したら望みを叶えてやると言う。
その取引を知った有力者フレデリック・デ・シンケルは、その地の権利は自分にあると主張し、勝手に耕すなとケーレンに忠告するが、その地は王のものであるという主張を曲げないケーレンに怒る。このままでは自分の勢力が衰退すると考え、ケーレンを追い払うことに躍起になる。
ケーレンが誰かを雇おうとするとシンケルが邪魔をするので、仕方なく雇ってはいけないと言われている遊牧民の人々を見つけて仕事をやって貰うことにする。ケーレンはシンケルに殺されたヨハネスの妻のアン・バーバラと遊牧民の娘・アンマイ・ムスを自宅に住まわせ、家事全般をやって貰っていた。
シンケルの嫌がらせは止むことが無く、ケーレンはアンとアンマイの力を借りて、自分で開拓し、ジャガイモを埋めることに成功する。そして…。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、デンマークの開拓をしたヒーローを描いた映画で、歴史映画、伝記映画です。デンマークの小説家イダ・ジェッセンが史実に基づいて書いた歴史小説を原作に作られました。実際にケーレン大尉が開拓したという歴史がありますが、他のことに関してはフィクションで盛り上げてくれています。
このケーレン大尉、なんで開拓なんてやろうと言い出したのか、最初は地位と名誉を手に入れるためというように見えるのですが、段々と彼の生い立ちが解ってくると、その人生に大変な困難があったことと、孤独な人生だったという事が解ってきます。軍を退役しても、帰る所が無かったというのも理由じゃないかな。結婚しておらず、待っていてくれる人もいなかったんです。
なので地位と名声を手に入れて、一緒に頑張ってくれる人を見つけたかったんじゃないかな。家族を求めていたんじゃないかと思うんです。彼は口には出しませんが、いつも寂しい目をしているんです。でも家が賑やかになって行くと、ケーレン大尉に表情が出てきて、笑うようになるんです。
開拓をする土地は枯れていて、乾いていて、何も育たなかったようなのですが、ケーレンはジャガイモを埋めようとするんです。もちろん今のままの土地では育たないので、水分を入れたり、養分を入れたり、随分と土地の改良をしていました。そのおかげでジャガイモが育ったのだと思います。
その土地ですが、この頃は開拓していない土地は王の物であったはずなのに、シンケルという地主は自分の土地だと言い張るんです。もちろん屋敷の土地などは彼の土地だろうけど、開拓もしていない荒れ放題の土地は国有地でしょ。近くに住んでいるからというだけの理由でその土地は俺のだからと言われたら溜まったもんじゃありません。
このシンケルという人物、ホント、とんでもない貴族のようでした。彼は裁判官でもあるようで、何でもやりたい放題。親が甘やかして育てたのかしら。酷い性格でした。従妹で婚約者となるかもしれないエレルも一緒の屋敷に暮らしていましたが、エレルはとても良い人でした。それぞれの状況も解っているし、従弟であってもシンケルの言っていることは間違っていると、はっきり言えるのは彼女だけでした。
そんなエレルとケーレンは、少しだけ淡い恋が芽生え始めていたんじゃないかな。エレルは親からシンケルと結婚しろといわれこの地に来たのですが、今でも自宅に帰りたいと思っています。でも故郷の家の父親は帰ってくるなと言っているようで、彼女も苦しんでいたんです。
ケーレンはエレルと淡い恋をしたのだと思いますが、現実的にエレンは敵となってしまいます。シンケルの家に暮らしているんですから。そしてケーレンは、ヨハネスの妻だったアンと結ばれます。ヨハネスとアンは、元々はシンケルの家で働いていたのですが、アンはシンケルにレイプされ酷い仕打ちを受けたので逃げてきたんです。
ケーレンの家で働き始めたのですが、ヨハネスだけシンケルに見つかってしまい拷問死してしまいます。アンは悲しみ、ケーレンの家を出ていこうとしますが、家事をしてくれる人を探しているというケーレンの言葉で、残ってケーレンの世話をすることにします。そこから段々とお互いに気になり始めるんです。
遊牧民の娘・アンマイも面倒を見ることにして、一緒に暮らし始め、仲の良い家族になって行きます。ケーレンは表情が豊かになり、アンマイもよく笑うようになります。アンはアンマイを娘のように可愛がり、もう本当の家族同然となるのだけど、またシンケルの嫌がらせにより、どうしてもアンマイと一緒に暮らすことが出来なくなります。この地方は”南方”から来た人種は縁起が悪いということで、誰もが一緒にいたくないという考え方がありました。完全な人種差別なんですけど、この頃は当たり前のことでしたからね。有色人種は嫌がられていた時代なんです。
そんな困難に立ち向かいながらも必死で生きていく小さな家族がどうなっていくのか。これは開拓の物語のように見せながら、家族の物語を描いています。どんなに家族がバラバラになろうとも、思いが通じていれば大丈夫だと描いてありました。うーん、良かったです。血の繋がりなんて関係なく、信頼する人と一緒にいるというのは人間生活の基本ですね。
ケーレンを演じるのは完璧なオジサマであるマッツ・ミケルセンさん。今回もモテモテでカッコ良かったです。いくつになってもイケメンでどこか愛らしいマッツ様。今回も存分に女性たちをノックアウトしています。子供までもパパ大好きとなっているので無敵ですね。
デンマーク映画なので、あまり知っている俳優さんは出演していなかったのですが、アントン役のグスタフ・リンさんが素敵だったな。ちょっとジョニデを綺麗にしたような感じの方で良かったです。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。感動的な良い映画でした。主人公のケーレンが完璧なヒーローではなく、間違えながらも少しづつ成長して目的を達成していく姿が良かったです。周りの女性たちも素敵でした。この映画、ベネチア国際映画祭に選出された映画です。アカデミー賞デンマーク代表の作品です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「愛を耕すひと」