「野生の島のロズ」
を観てきました。『野生の島のロズ』吹替版完成披露試写会にFan's Voice枠で当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
無人島に墜落し、偶然にも起動ボタンを押されて目を覚ました最新型アシストロボットのROZZUM7134。人間に合わせてプログラミングされた彼女は無人島では機能せず、学習プログラムに切り替えて動物たちの行動や言葉を学習する。ある日、雁の卵を見つけて孵化させたことで感情が芽生え始める。
というお話です。
無人島近辺に墜落し漂着した最新型アシスト・ロボットのROZZUM7134。好奇心旺盛なラッコがワイワイと触っているとどこかのスイッチに触り起動してしまう。
人間のアシスト用ロボットなので動物たちとはコミュニケーションが取れず、何のアシストも依頼されない。困ったROZZUM7134は学習プログラムに切換え学習し、動物たちと会話が出来るようになる。
そんなある日、雁の卵を見つけて孵化させたROAAUM7134は、キツネのチャッカリとオポッサムのピンクシッポの協力のもと、雁のひな鳥にキラリという名前を付けて育てていく。自分の名前も呼びやすいロズと教え、キラリから”ママ”と呼ばれたことで心が芽生えはじめる。
ロズの優しさに触れ、怪物として彼女を拒絶していた動物たちも、次第に島の“家族”として受け入れていく。いつしか島はロズにとっての“家”となっていくのだった。渡り鳥として巣立っていくキラリを見送り、動物たちと共に厳しい冬を越えた頃、ある異変が起こる。
回収ロボットがロスを探しにやってきたのだ。これまで築いてきた動物たちとの絆から引き裂かれようとするロズの運命は。そして島の存亡をかけたロズと動物たちの戦いが、いま始まろうとしていた。後は、映画を観てくださいね。
この映画、前評判通りすごく面白かったです。というか感動作でした。途中で何度も泣きましたもん。ロスはロボットなので感情は無く、ただ命令されるのを待っているんです。でもね、動物たちに拒絶され、一人でたたずんでいる姿を見るとなんだかすごく可哀想になってくるんです。ラピュタの時に巨神兵が出てきて1体だけで寂しそうに見えるじゃないですか。それと同じなんです。
ロズは感情が無いので寂しいという感覚は無かったハズなんです。なので最初はそう見えても寂しさを感じていなかったと思うのですが、それがキラリを育て始めてから顔の表情に少しづつ変化が表れていくんです。話す言葉にも感情的な部分が入るようになってきて、段々と愛情という感情が現れてきているのかなと思いました。
段々とロズにキラリの母親としてこの子を育てなければという意思のようなモノが現れるんです。キラリは水鳥なので、泳ぎを憶え、飛ぶことを憶えなければなりません。ロズは教え方をチャッカリたちに享受して貰いながら、キラリを他の雁たちと一緒に渡り鳥として”渡れる”ようにしてやりたいと思ったんです。
ロズはキラリに飛ぶことを教え、無事に渡り鳥として旅立つように成長するのが最初のゴール。そして次に森の動物たちにロズを受け入れて貰うのが次のゴール。この映画、いくつかゴールがあって、4つくらいをクリアすると終わるんですけど、このどのゴールでも泣けるんですよ。キラリが旅立った時は感動したけど、それほど泣きませんでした。でも、その後の動物たちとの冬のお話はじわじわ泣けてきました。
動物たちって食うか食われるかという世界に生きているから、同じ種類の動物とは仲が良いけど、違う種類と仲良くなるってまず無いですよね。でも、もし全生物の命が危ないとなったら協力するしかないでしょ。どんなに美味しそうな餌がとなりにいても、それは我慢するっていう約束をしないと協力は出来ないわよね。
そんな動物界の特殊な問題も描いていて、みんなで生き残るにはどうすればよいのかということを考えていくんです。チャッカリがしっかりと演説したりして、動物たちの危機を救っていました。チャッカリ可愛かったなぁ。いつもカッコつけてシビアな分析をするキツネさんなんだけど、本当は仲良くして欲しくてロズにピッタリくっついているんです。時々、こっそりと寄り添って寝ている姿が可愛いんです。
このチャッカリというキツネさん、こういう人いるよなぁ~って感じの子でした。カッコつけて一人でも全然平気だぜっていう態度を取っているのに、実は一番愛して欲しくて、仲良くして欲しくて、寂しがりや何です。一緒にいたいと言えないんだけど、誰よりも誰かといたいんです。そんな気持ちが態度と目の動きと声で伝わってきました。柄本さんの声、良かったなぁ。
ロズとキラリが主人公なのかと思っていたけど、裏の主人公はチャッカリなんじゃないかな。だって一番この映画の中で精神的に成長していますもん。人間で言うと、凄く成長してよい人になって行くんです。ヒーローになっていくって感じかな。
ロズはロボットなんだけど感情が芽生えて、プログラム通りに動かなくなっていくんです。アシスタントロボットだから、依頼主が現れなければ何も行動は出来ないはずなんだけど、自分から考えて行動するようになっていくんです。だって雁の子を育てるなんて誰も依頼していないでしょ。それでもこんなに弱い存在は守らなければという感情が芽生えたのだと思いました。
でも感情が芽生えれば、楽しいとか嬉しいという感情もあるけど哀しいや寂しいという感情も芽生えるので辛くなりますよね。そんな辛い思いも何もかも受け入れて生き物らしくなっていく。それって素敵な事だと思うんですけど少し怖いです。
人間の私から見るとAIがそこまで感情を持って考えるようになったら嘘もつくようになるだろうし、嘘をつくとなると相手が邪魔だという怒りも湧いてくると思うので、戦いが起きるのではないかと思い怖いです。愛を持つという事は怒りも持つことになりますからね。AIが感情を持つというのは良いことでもあるけど、恐ろしい部分もあるんです。
SF小説だと、ロボット三原則が出てきて人間は安全なハズだというような設定にしているけど、実際は人間を決して殺さないというプログラムなんて組めるのかなといつも思います。このロズも、自分で考えて学習プログラムに書き換えて動物と交流するようになるので、という事は人を殺さないというプログラムも書き換えられるということよね。やっぱり恐ろしいなぁ。
ロズの声を綾瀬さんが演じていて、とても良かったです。今、NHKの「べらぼう」も綾瀬さんがナレーションをされているけど、声が聞きやすいから良いのかしら。少し低めの声で落ち着いて話してくださるので、リラックスして聞けるんですよね。
このアニメ、ドリームワークスの作品ですが、今回は背景が手書きに近い様に描かれていてとても雰囲気が良かったです。何となく”筆で描いたのかな。”という感じの森や木の肌があり、CGで描いたペタッとしたような雰囲気が無いんです。やっぱりアニメはこういう部分に手をかけて欲しいです。
動物たちの毛並みもふわふわに見えたし、動きもよく見て描いているなと感心しました。手塚アニメを観ていると、動物の動きをリアルに取り込んではいるけど、少し人間がデフォルメすることにより、よりリアルに見えるようになるという技法が使われていて、今回もそれが実践されているように見えました。動物たちが可愛かった。
何だかダラダラ感想を書いてしまってごめんなさい。でも、凄く良い映画で、面白くて感動する内容だったので、これは超!超!お薦めしたいと思います。私はロズは巨神兵のオマージュなのかなと思ってしまったけど、よく考えてみたら人間のアシスタントをするロボットを考えた時、この形が一番シックリくるんだろうなと思いました。1回観ただけでは飽き足りません。公開されたらまた観に行きます。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「野生の島のロズ」