「海の沈黙」大人のヒューマンドラマでした。有名だから良い絵ではなく良い絵だから惹き込まれる。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「海の沈黙」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

世界的な画家・田村修三の展覧会で作品のひとつが贋作だと判明する事件が起こる。事件の報道が加熱する中、北海道・小樽で女性の死体が発見され、ふたつの事件をつなぐ存在として、天才画家と称されながら姿を消した津山竜次だった。かつての竜次の恋人で、現在は田村の妻である安奈は小樽へ向かい、竜次と再会を果たすが。

というお話です。

 

 

世界的な画家、田村修三の展覧会で大事件が起きた。展示作品のひとつが贋作だとわかったのだ。当初、展覧会開催期間中は黙っておいて欲しいと言われていた田村だが、我慢できず、マスコミに贋作だと公表してしまう。

連日、報道が加熱する中、この贋作を所有していた美術館の館長が自殺。そして北海道で全身に刺青の入った女の死体が発見される。何の関係も無いように思われていた事件だが、贋作の調査を請け負った美術館館長でもある清家が調査をしていくうちに、女性の死と贋作に繋がるある画家の名前が浮かび上がった。



 

それは、かつて新進気鋭の天才画家と呼ばれるも、ある事件を機に人々の前から姿を消した津山竜次だった。滝山はかつて田村と交流があり、田村の妻・安奈は滝山の恋人だったのだ。ある事件を機に表舞台から消えて、実は海外で贋作を描いてインターポールにも追われているらしい。しかし現在の行方は解っていなかった。

かつての滝山の恋人であった安奈は、滝山の番頭だというスイケンからの連絡により北海道へ向かう。もう会うことはないと思っていた竜次と安奈は小樽で再会を果たす。しかし、病は竜次の身体を蝕んでいた。残り少ない時間の中で彼は何を描くのか?何を思うのか?彼が秘めていた想いとは? 後は映画を観てくださいね。

 

 

この映画、何と言ったらよいのかしら。訴えていることは至極真っ当だと思うんだけど、それ以外の状況があまり納得いかないというか、現代の事だと思うとちょっとハズれているような気がしました。

 

今から30年くらい前のこととして描かれるならなんとなく理解するんだけど、現代なのに女性の身体全身に刺青を入れて、それが刺青を入れる海外の人へのカタログになっているとか、妻以外に愛人と子供がいてそちらに入り浸っているくせに離婚に応じない有名画家とか、なんか、女性を何だと思っているんだという内容がありました。

 

 

今時、離婚に応じないと言ったらすぐに弁護士を通してとなりますよね。女性の全身に刺青を入れるのは、まぁ、本人が納得していたのなら良いですけど、外国人が来るたびに裸になって刺青を見せるんでしょ。それどうなのかなぁ。初対面の人の前で毎回脱いでくださいって言われたら嫌だよねぇ。どーもそれぞれのシチュエーションが女性を軽視しているように見えて嫌だなぁと思いました。

 

ストーリーは、その昔、有名画家と同じ画壇にいた若手の天才画家が、あまりにも素晴らしい絵を描くので嫉妬されて潰されたというんです。彼が付き合っていた女性は画家たちの取り巻きの金持ちの娘で、その女性と別れさせられて、その女性は有名画家の妻となったんです。年齢は結構離れているようだったので、親が決めたんだろうと思いました。

 

 

それが基本にあって現代の話となるんです。有名画家の展覧会が開催され、各地から彼の絵が集められたのですが、その中に贋作があると言うんです。田村本人が自分の絵ではないと騒ぎ、その絵を所有していた美術館は偽物を掴まされたということになり、大変な事になります。でも、その贋作と言われた絵は素晴らしい絵で誰もが魅了されるような風景画なんです。

 

田村の絵ではないけど素晴らしい作品。観る人によってはそちらの絵の方が魅力的と思う人もいるようでした。そうなんです、有名な画家が描いたから素晴らしい絵というのではなく、無名でも素晴らしい絵は素晴らしいと認めるべきなんです。この映画は、そういうことを言っているようでした。

 

 

モネの絵だから素晴らしいのではなく、素晴らしい絵の画家を見たらモネだったという順番が正しいんです。絵の良さなど解らない人がお金儲けで値段を付けるから絵の価格が上がり、価値がめちゃくちゃになっちゃったのかなと思っています。絵の素晴らしさによって価値は決められるべきなのに。おかしいですよね。

 

そんなことを訴えてくれている内容なんだけど、どーも別の所が気になっちゃってそれだけに集中出来なかったのが残念でした。なんだかその有名画家も偉そうで、妻を何だと思っているんだという態度だったし、天才画家の津山も女性を敬うような態度が一切見えないんですよ。女は男が生きていく上での付属品と思っているんじゃないかと感じてしまいました。

 

 

津山は日本の画壇にいられなくなり、贋作を書いたり、刺青を入れて生活をしていたようなんです。世界を旅して、随分と稼いだんだろうと思います。だからスイケンという秘書的な人もついていたのだろうし、インターポールにも追われることになっちゃったのかなと思います。でもお金はあっても幸せそうではありませんでした。

 

バンクシーのように有名になっても出てこない人もいれば、有名になる為に色々なところに頭を下げてお金を配る画家もいるらしいですよね。日展とか二科展とか色々な展覧会がありますが、関係者ばかりが入賞するとか色々と裏があるような噂があって、どうなのかなと思いますが、まぁ、好きな絵は好き、嫌いな絵は嫌いでいいんじゃないかな。何事も好き嫌いで良いと思いますよ。

 

 

でもさ、もう少し素人にも解るようにしてくれたら嬉しいですよね。絵の世界は難しいというようなことになっちゃうと底辺が広がらないから良い絵が出てこなくなるんじゃないかな。もっと楽に誰もが絵を楽しめるようになったら、良い絵も沢山出てきそうな気がするんだけどね。この映画のように、有名画家じゃなきゃとかなんとか言っていると入口が狭まるよね。

 

話を映画に戻して、色々な内容が絡まっていて良い映画とは思うけど、どこか古い雰囲気があるというか、時代が違う気がする感じがありました。キャストは良い方ばかりだったんですけど、少し残念かな。本木さんはやっぱり素敵ですね。彼の雰囲気は唯一無二だと思いました。中井さんも良い味出してました。小泉さんは今回ちょっとイメージとは違う暗い役でした。もう少し本木さんと小泉さんの絡みが欲しかったな。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。大人の雰囲気のヒューマンドラマという感じかしら。良い映画だったんですけど、少し引っかかる部分がありました。それを解って観てくださるなら楽しめると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「海の沈黙」