「ルート29」
を観てきました。
ストーリーは、
孤独な女性・のり子は、鳥取の町で清掃員として働いている。ある日、仕事で訪れた病院の入院患者・理映子から「娘のハルを連れてきてほしい」と頼まれ、何かに突き動かされるように姫路へと向かう。やがて見つけたハルは少し変わった女の子で、のり子とハルは姫路から鳥取へと向かう国道29号線を進んでいく。
というお話です。
他人と必要以上のコミュニケーションを取ることをしない”のり子”は、鳥取の町で清掃員として働いている。ある日、仕事で訪れた精神病院で、入院患者の理映子から「姫路にいる私の娘に逢いたい。」と頼まれる。何かに突き動かされるようにのり子はその依頼を受け入れ、清掃会社の車を盗み、単身で姫路へと向かう。
理映子から渡された写真を頼りに、のり子が見つけることができたハルは、林の中で秘密基地を作って遊ぶような風変わりな女の子だった。初対面ののり子の顔を見て、「トンボ」というあだ名をつけるハル。
食事をした店で出会った2匹の犬を連れた赤い服の女に車を盗まれ、徒歩で鳥取へと向かう二人。すると道路に天地が逆さまにひっくり返った車の中に座っていたじいじを見つけ助け出す。じいじも連れてまた鳥取へと向かう国道29号線を歩き出す。
長いトンネルに差し掛かり迂回して森を歩くことにした三人。そこで親子と出会う。「人間社会から逃れるために旅をしている」と語る親子だった。森を抜けじいじと別れて、久しぶりにのり子は姉の家を訪ねる。さまざまな人たちと出会いながら、姫路から鳥取まで一本道の国道29号線を進んでいく。後は、映画を観てくださいね。
この映画、うーん、私はダメだったかなぁ。どのキャラクターにも感情移入出来ず、一般的な社会生活を営んでいる人々とは一線を画す人々ばかりが出てくるので狂った世界に来ちゃったかしらなんて思うけど、ティムバートンの作品ほどに狂ってないのでやっぱり現実なのかとか、どーも中途半端なんですよね。
おかしな人々が暮らす世界として目一杯偏ってくれれば何となく安心して観ていられるんだけど、中途半端に一般的な社会生活が営めない、どちらかというと精神的に病んでいる人々ということで描いてしまうと、観ていて気持ち悪くなってくるんです。たとえば何で真っすぐに歩かないの?とか、お金はどうしちゃったの?とか、気になっちゃって気持ち悪いんです。
100歩譲って、そういう不思議な世界のファンタジー映画だねと観たとしても、突然にマトモな警察とかが出てくるので、現実に引き戻されるんですよ。例えば、母親に逢いたかったハルがある日観た夢だったとしてならまだ夢落ちでイイんだけど、のり子は現実社会に生活している人物として描かれるから、なんだかしっくりこないんです。
最初に出会った赤い服の犬を連れた女性は、まるでデヴィッド・リンチの映像に出てくるような緑のカーテンの部屋で出会い、犬を一緒に探してと言い不思議な世界に入るのかと思いきや、突然に現実になって車を盗んで逃げてしまい、ただの泥棒だったんだねっていう現実を突きつけられて、凄い期待したのにガッカリするんです。そんな雰囲気の場所がいくつもあり、話に入り込めないんですよ。
精神病院の清掃に行って、清掃中にいきなりタバコを吸いだすのはダメでしょ。いくらタバコを求められても、会話をしないようにと言われているんだからタバコを差し出しちゃダメ。根本的に緩い人なんですよね。仕事なんだけど、仕事として認識していない人物なんだと思うけど、こういう人物のせいで仕事中に事故が起きたりするんです。優しくするのと事故が起きないように規制をかけるのは違うからね。
のり子はグレーゾーンと言われる発達障害ではないけれどそれに近い人なのではないだろうかと思われ、姉もご近所からピアノの苦情が入るほどピアノを弾き始めたらやめられなくなる行動をしていたんですよね。ストレスでそうなることもあるけど、こういう行動を見ていて、これって誰もが起こすかもしれない現代病なのかもしれないと思い始めました。
社会の中で我慢して我慢して、そのストレスで突然に壊れてしまう。精神病患者に子供の会いたいと言われて、突然に車を盗んで子供を連れに行ってしまう。ハルは母親と引き離され、現実に生きるのが嫌になっている。そんな二人が旅をしたので、現実には普通に旅をしているだけなのに、夢のような空想を描いていたと考えれば、まぁ、こんなこともあるのかなとそんな感じかしら。
うーん、申し訳ないけど良い感想が書けません。映像は彩度を上げて撮影しているのか、とても鮮やかな色で描かれていましたが、どこかで観たような映像が多かったかな。美しいのですが、知っているような場面がいくつかありました。
人物たちの気持ちが伝わってこないんです。セリフも棒読みだし、ぼーっと立ったままで話すことが多いので、演技もなにも無いんです。せっかく綾瀬さんなのに勿体ないなぁと思ってしまった。これが良いと思っての演出なのだろうけど、私はダメでした。観ていて感情が伝わってこないので、眠くなっちゃうんですよね。と言いながらイライラもしてしまって眠れなかったんですけど。
ぼんやりしているのり子は可愛かったです。この後、のり子はどうなるのかな。未成年を連れまわしたんだからそれなりの罪になるだろうけど。清掃の仕事はクビだろうから、何か仕事を探さないとね。車の窃盗もどうなるのかしら。こういう映画って、そういう部分がほっぽらかしなのが気になっちゃうのよね。横転していた車は道路に置いたままだし、おじいさんはどうなったのか解らないしね。
原作は中尾太一さんの詩集のようなので、ストーリーが無いものを映画にするとこんな風になるのは仕方ないのかな。なんとか良い感想を書こうとは思ったんだけど、良い言葉が見つからずにごめんなさい。
私はこの映画、うーん、とりあえずお薦めしておきます。綾瀬さんは綺麗なので、彼女を見るためだけなら良いかな。ストーリーは理解をしようとしても難しいかもしれません。感情移入が出来ないので、何も受け取れませんでした。出てくる人間がみんな病んでいるように見えて、ちょっと辛かったです。とりあえず気になったら観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ルート29」