「正体」
を観てきました。TOHOシネマズさんの試写会が当たり、観せていただきました。
ストーリーは、
凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木を追う刑事の又貫は、逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べていく。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり…。
というお話です。
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、ずっと犯行を否認するも信じて貰えず、死刑判決を受けた鏑木が脱走をした。自分の口の中を切り、吐血したと見せかけて搬送する救急車から逃げ出したのだ。
そこから鏑木は潜伏し逃走を続け、日本各地で見た目を変えて仕事を続けながら移動していく。阪神方面の建設現場で働いていた鏑木はそこで和也と出会い、初めての友達を得て初めてのお酒を飲む。性格の優しい鏑木は卑下されている労働者を助けようと助言をしたことで目立ってしまい、その場を離れることに。
次に東京で記事のフリーライターを始めた鏑木は、その才能を認められ記事のを書くだけでなく”記事起こし”まで頼まれるようになり、こっそりと自分の事件の詳細を調べていく。雑誌社で沙耶香と出会い、彼女の手助けで普通の生活を手に入れ、人を信じることを知っていく。しかし他社の記者に見つかってしまい、またもそこから逃走することに。
長野方面へ逃げた鏑木は、実はある目的があり今まで逃走してきたのだった。介護施設で働きながら舞という女性と出会い、人の温かさを知るが、ある動画がきっかけでやはり警察に追われることとなる。鏑木が逃げた真の目的とは何なのか。彼が起こしたとされる事件の真相とは何なのか。それが明らかになって行く。そして警察は…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、予告が出た時から期待して待っていたのですが、私は期待以上でした。本当に面白かった。本当のことを言うと、最初に鏑木が起こした凶悪事件は誰が見ても犯人は鏑木じゃないんです。警察ドラマしか観ていない私でも、それ全然違うよねって思うほど、警察の捜査はでたらめではっきり言うと捜査などせずに、現場にいた彼を犯人にしちゃったということなんです。
唯一の生存者の女性は家族全員が目の前で殺されて、精神的におかしくなってしまい記憶が飛んでしまっていて、警察に誘導されるがままに証言をしているんですよ。ちょっとあり得ないでしょ。最近無罪になった袴田さんの事件を思い出しちゃいました。
そんな捜査になってしまったのは年末に事件が起こったこともあり、警察上部が早く片付けろと命令したからで、もっとしっかりと捜査をしていればいくらでも証拠は出てきたと思うんです。山田さん演じる又貫の上司を松重さんが演じていて、凄い酷いことを言うからつい”井之頭さんったら何言ってんのよ!”って口から出そうになっちゃった。先日、「孤独のグルメ」を観たところであまりにも面白かったので頭に付いちゃってたんです。
鏑木は何を言っても信じて貰えず、誰も話を聞いてくれないので、もう逃げるしかないと思って逃げたんです。この鏑木は児童養護施設で育ち、とても優しい子で頭も良く、無茶をするような子ではないのですが、死刑判決を受けてしまい自分で何とかするしかないと思ったのでしょう。
逃げてからは見た目を変え、目立たずに生活していたようでした。人間って表面的な見た目を変えるだけで印象が違って分からないもんなんですよね。高校の制服を着た写真が指名手配に使われていて普通の服を着ると全然違うみたいに見えるんです。髪を伸ばしたり、ヒゲを生やしたり、カラコンを入れたり、女性なら化粧をしたら全く別人ですよ。鏑木は化粧はしていませんでしたが、きっと化粧もしていたら見つからなかったでしょうね。
それにしても、18歳の高校3年の時に捕まって、ずっと刑務所に入れられていたんです。社会に一度も出ていなかった少年が、突然に外に出てきて働くって大変だっただろうなと思いました。阪神の現場で働いている時に21歳と言っていたので、それまでお酒も飲んだことが無く初めて同僚の人と飲むことを知り、友達という感覚も知るんです。無垢な少年がこんなことになったら大変だろうなぁと思いました。
確かに少年犯罪は増えているし疑い始めたらキリがないと思うけど、状況証拠が物語っているでしょ。動機のない猟奇的殺人なら本人の言動などで判定することが出来るんじゃないの?今、そういう精神分野は進んでいるんでしょ。この事件の警察はどう考えても間違っていると思いました。
こういう冤罪事件が描かれるとどうしても死刑制度反対という声が上がると思うけど、もし死刑制度反対とするなら、懲役刑をアメリカのように重ねて刑期が150年とかにして、決して刑務所から出さないという刑を作ってくれないと被害者からすると許せないですよね。私なら犯人が刑期を終えて出てきたら殺しに行くと思うな。死刑が無いということは、被害者が自分で殺すしかないという気持ちになるということです。
でも本当に冤罪だったら困るよなぁ。袴田さんなんて、若い頃に捕まって、何十年も刑務所に入っていたんでしょ。人生を刑務所で過ごすことになってしまったのに、警察も検察も謝らないなんて酷い話です。警察だって検察だって人間がやっていることだから、どうしても間違いはありますよね。間違ったら素直に”ごめんなさい”って言いなさいよ。そうすれば人間は間違うこともあるからねと思ってあげられるけど、どこまでもガンコに間違ってないっていうのは人間としてどうなの?組織として間違ってませんか?
話を戻して、鏑木役の横浜さん、汚い恰好をしているのにカッコいいのよ。どうしてもオーラが出ちゃうわよねぇ。あ、でも、映画の中ではオーラが消えていたと思いますよ。だから周りの人たちも気が付かなかったんだろうしね。でも映画を観ている方は、やっぱり横浜くんカッコいいとなっちゃうのよ。ごめんなさい。
あとね、又貫役の山田さんもオッサン刑事っぽくなりましたねぇ。部下を従えていても全く違和感はありませんでした。今回はずっと眉間にしわを寄せていたので、”室井かっ!”とツッコミたくなりましたが映画が違うっつーの。(笑)んん~、良かったです。真面目な人柄の刑事さんという感じがよく出ていて共感出来ました。やっぱり上手いなぁ。
吉岡さんと山田さんは今売れっ子だし上手いのは解っていたのですが、私、森田さんという方を知らなくて元ジャニの方なんですね。上手くて驚きました。鏑木と関わる1人なのですが、最初は年下の子分みたいな接し方なのに、もしかしたら犯人かもと感じてからの態度の変わり方が上手かった。確かにこうなるだろうなと思えました。その後には友達として接していて、それも上手かったです。
この映画、よく出来ていたと思います。期待以上でした。私は超!超!お薦めしたいと思います。最初の陳腐な警察の捜査によって、こんなにも大変なことになってしまうという内容で、冤罪の恐ろしさをよく描いていたと思います。もし警察や検察がこんな捜査をしていたら、自分の身に降りかかってもおかしくないなと思えるような映画でした。11月末に公開なので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「正体」