「十一人の賊軍」
を観てきました。
ストーリーは、
1868年、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍(官軍)の間で争われた戊辰戦争。そのさなか、新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟に加わっていた新発田藩で繰り広げられた、同盟への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた11人の罪人が、新発田藩の命運を握る、ある砦を守る任に就き、壮絶な戦いに身を投じる姿を描く。
というお話です。
新潟の新発田藩家老・溝口内匠は進退窮まっていた。日本は二つに分裂し、戊辰戦争が勃発。「新しい時代を切り開く」という強い使命感を掲げ進軍を続ける新政府派「官軍」によって、旧幕府軍は徐々に東国へと追い詰められていた。
密かに官軍への寝返りを画策する新発田藩の目の前には、遂に官軍の到着が迫っていた。そんな折に、旧幕府軍の奥羽越列藩同盟軍が出兵を求め新発田城へ軍を率いて押しかける。城から退かない同盟軍と迫り来る官軍が鉢合わせてしまっては、新発田は戦火を免れない。まさに絶体絶命。
一刻の猶予も無い溝口内匠は一計を案じ、官軍の進撃を食い止める起死回生の一手として「砦の護衛作戦」を命じる。集められたのは、殺人、賭博、火附け、密航、姦通などで収監された、死罪になるべき人道を外れた十一人の罪人たち。圧倒的不利な命懸けの過酷ミッションとは、「官軍が砦へ侵攻するのを防ぐこと」ただそれだけ。
死を覚悟していた彼らに見えた、「生きる」という一筋の希望。勝てば”無罪放免”という契りを信じ、罪人たちは己のために突き進む。果たして、彼らは未来を掴み取ることができるのか。新発田藩、同盟軍、官軍、三者の思惑が交錯するなか、「己の誇り」「故郷に残した愛する人を護るため」それぞれの執念が轟く、十一人の壮絶な戦いがいま始まる。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったです。最近作られる時代劇って面白いですね。一昔前って、どれも同じようなストーリーばかりで観る気がしなかったのですが、最近公開される時代劇は本当に面白いです。この作品も戊辰戦争が行われた時代に、こんなことがあったかもしれないというストーリーで、よく出来ているなぁと思いました。
江戸幕府から明治政府へと移り変わる時代に起こった戊辰戦争。新しい時代に目を向ける官軍と変わりたくない旧幕府軍の戦いで、それぞれの考え方があるので話し合いでは終わりません。歴史上、もちろん官軍が勝ち徳川幕府は無くなりますが、その歴史の中に埋もれたこんな事件があったかもしれないというお話なんです。
新発田藩は越後の海に近い地域にありました。でも小さな藩だし藩主はまだ若かったんです。藩主は官軍に味方をすると決めていましたが、奥羽越列藩に周りを囲まれており同盟に加わらなければ城を攻めると脅されました。官軍に加わりたくても加わる前に奥羽越列藩に攻められてしまっては藩の存続は出来ません。
藩を護るためにどうしようと考えた家老の溝口内匠は、奥羽越列藩が城に来ている間だけ”官軍”を途中で足止めしておいて、帰った後に官軍を迎え入れて、官軍の仲間になろうと考えたんです。そこで足止めをするために、途中にある砦に罪人を送り、官軍相手に戦いをして足止めをさせることにしたんです。そこで新発田の旗を掲げたら、官軍は新発田が敵だと思ってしまうので、奥羽越列藩の旗を掲げて戦うようにさせたんです。
汚いでしょ。でも小さな藩が生き残っていくにはそうするしかなかったんです。若い藩主も頭が悪そうで、これは家老が大変だよなぁと思いました。藩主とは名ばかりの使えない子供です。だから家老がそんな手を使ったのも解るんです。でも、そんな作戦に利用された罪人たちは可哀想でしょ。何も知らずに必死で戦うんですよ。
これ、官軍の大将に真実を話して砦で待って貰えていたら、誰も死ななくて済んだし、苦労する必要も無かったと思うんだけど、この時代、そういう考えは浮かばなかったのかな。階級の差が大きかったので下の者が死んでも、何の罪悪感も無かったんでしょうね。酷いと思うけど、そういう時代だったのでしょう。
罪人が砦を護るんだけど、罪人と言っても極悪人には見えませんでした。殺人とレイプ犯はダメだけど、海外行きの船に密航した医者志望の青年や詐欺師までも死刑にしようとしていたのはちょっと酷いなぁと思いました。この時代、悪い事をすると直ぐに死刑になるみたいでしたね。ビックリしちゃった。
罪人の政は妻を新発田の家来がレイプしたのでその仕返しをしたんです。もちろん侍を殺せば自分も殺されると知っていたと思うけど、それでもやらずにいられなかったんだと思うんです。気持ちが凄く解りました。山田さんが演じているので、また上手いんです。さすがですよね。
そしてもう一人の主役の鷲尾兵士郎は、剣術の師範だった父の跡を継いで剣術を教えていたんです。自分の住んでいる藩がどっちつかずのことをしているのに腹を立てて決起しようとしていたところへ家老の婿である友人の入江が訪ねてきて、砦を護るという仕事を受けることになるんです。兵士郎は何も知らず入江だけは全て知っていたんです。兵士郎役は仲野さんが演じていて、こちらも良かったです。主演の二人がガッツリ固めているので、安心して観ていられました。
こんなに裏切りが蔓延していて嫌になるけど、誰の立場に立ってもそれなりに理解が出来てしまう内容が上手いんです。だから考えれば考えるほど、誰も悪くないよなぁと思ってしまう。こんな戦争をしなければ新しい時代を迎えらなかったんだよなぁと思うと、生みの苦しみって大変なんだなと思いました。
こいつが悪いんだって一人を責められない内容が、よく出来ているなと思いました。確かにバカ殿だし、バカ殿を護るための家老もずるいし、ぐいぐい来る奥羽越列藩も悪いし、偉そうにしている官軍も悪いし、砦を護っていた人たちも罪人なので誰かに悪い事をしていた訳でしょ。誰もが悪いのに誰もがその時を必死で生きていて、その姿が素敵でした。生きることを大切にしている姿に感動しました。
なんか時代劇ってこれまであまり観たいと思わなかったけど、これからの時代劇はよく考えられていて面白いかなと思い始めました。もっと時代劇が観たくなりました。私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。時代劇でこんなに感動したのは初めてかもしれません。本当に良かったです。これは皆さんに薦めたいと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「十一人の賊軍」