ケリング「ウーマン・イン・モーション」
今年も東京国際映画祭のイベント、ケリング「ウーマン・イン・モーション」が開催され、Fans’ Voice さんのご招待で参加させていただきました。
今年はオープニングスピーチを是枝裕和監督がしてくださって、トークゲストには、俳優の菊地凛子さん、磯村勇斗さん、Netflixプロデューサーの岡野真紀子さんが登壇してくださいました。司会は映画ジャーナリストの立田敦子さんが務めてくださいました。
最近の女性の活躍や現場の取り組み方などをお話してくださったのですが、ここ数年で映画の現場に女性が増えてきたということを磯村さんがおっしゃっていました。昔は男性ばかりに思えたけれど、最近は半分以上女性が働いていたりする現場もあるそうです。菊池さんが、女性は出産や育児などの節目でどうしても現場を離れることがあり、育児が終わったら仕事に戻れるとか、育児をしながらでも仕事が出来るという現場になると嬉しいとおっしゃっていました。
岡野さんがNetflixで作品を作る時には、最初に必ずミーティングを設けて周りと会話をすることをして貰うようにしているそうです。そこで”リスペクト”という認識を植え付ける講習のようなこともしているそうです。菊池さんや磯村さんも、そんな講習を受けたことがあるそうです。そして現場にはいればほとんどインティマシー・コーディネーターさんが付いてくれるように今はなってきているそうです。
磯村さんが、男性でもインティマシー・コーディネーターさんがいてくれると凄く助かると思いますとおっしゃっていました。男性でも脱いだりラブシーンの時に、自分も恥ずかしいし、相手の女性にもどう接して良いのか解らない時があるようで、そういう時に間に入ってくれる人がいてくれるのはとてもありがたいそうです。
この時に男性のインティマシー・コーディネーターがいてくれたらいいなとおっしゃっていたので、それはそうだなと感じました。男性だって女性と同じように色々な感情があるし、そこで脱いでと言われて脱いだけど、やっぱり脱がなくても良かったんじゃないかと思ったりして、少し傷ついたことも今まであったそうです。確かにそうですよね。女性も男性も同じようにそういう時に相談出来る人が必要だと思います。
そして働き方について、映画の撮影で長期間の出張とかだとどうしても子供がいるような女性スタッフたちは行けないというので、岡野さんが一度、スタッフさんを交代制にしたそうです。思ったより順調に出来て、こういう働き方も出来ると思いました。ただ、俳優さんは変わりがいないので、やっぱり難しいですよね。お子さんと長期間離れるとかは辛いと思いました。現場にベビーシッターさんがいることもあるそうで、最近は変わってきたなぁと思いました。
菊池さんが何でも言って欲しいと言われても、そういう認識が無かったので最近は色々と知ることが多いとおっしゃっていました。いつも現場では大勢のスタッフがいるからと思って、例えば子供の行事で休みたくても我慢して言わなかったりしていたとおっしゃっていて、それはやっぱり言えるような状況にしていってあげないといけないよなと思いました。だって子供にしてみれば、一生に一度の行事にママが来てくれないとなると可哀そうですもんね。周りが言える雰囲気にしてあげて欲しいと思いました。
現在、現場ではほとんど大声が飛んだり、怒号が飛んだりは無いとおっしゃっていました。菊池さんも磯村さんも、まだ若いので昔の現場を知らないからどんなことがあったのかは分かりませんが、今はそういう現場はあまり聞いたことが無いそうです。それは現場に入る前にリスペクトの講習をしたり、話し合いの場を設けた結果なのかなと思いました。
立田さんがカンヌのウーマン・イン・モーションの話をしてくださり、海外ではインティマシー・コーディネーターとは別に現場にカウンセラーさんも入るようになり、色々な相談がその方に出来るようになってきているそうです。性的な問題以外にも、色々な不安や不満がストレスになって、良い映像が作れなくなるのは良くないという風潮が出来てきているのかもしれませんね。
あと、菊池さんや磯村さんがおっしゃっていたのですが、海外の現場では、土日は必ず休むとしていてスタッフも全員、仕事には手を付けない日を設けているそうです。それって大切ですよね。リフレッシュ出来るし、家族とも安心してゆっくり出来ますもんね。突然に電話がかかってきて呼び出されるとか、日本ではあるようですが言語道断です。休みはお休みするんです。
私は昭和生まれでオバサンなので、私の時代は男の職場で仕事がしたければ諦めなければならないことが多くて、結局子供は産めなかったし、ずーっと男性との戦いで神経を擦り減らしました。仕事をしていれば良いだけなのに、仕事以外のことに沢山時間が費やされ、やっと男と同じくらい大きな仕事を受けれるようになったらもう子供は産めない年齢でした。
自分の名前でしてきた仕事も結婚したら名前を変えなければならず、ずーっと事実婚でいくつもりでしたが、相続などの関係でどうしても籍を入れなければならず、夫に私の名前になって貰いました。仕事で旧姓も使えると言うけど、大きな契約や銀行が絡むことになれば、どうしても本名が必要です。旧姓で簡単な約束は出来ても、大きな金額や土地建物などの契約には本名でないとほとんど出来ません。今まで女性はそんな大きな契約をするものではないと思われてきたツケがここで出てきているんです。
夫婦別姓にこれからはなって行くと思いますが、そうなればもっと女性も仕事がしやすくなるんじゃないかな。子供の心配をされる方がいらっしゃいますが、18歳までは両方の苗字を使えるようにすればいいじゃん。海外では親の名前を両方ともつけてますよね。ブラピの娘が自分の名前に入っていたブラピの名前を消して貰う申請をしたというニュースが入ってきたけど、日本もそうすればいいんじゃないの?そうしないと誰かが言ってたけど、日本人全員が佐藤とか伊藤とかになっちゃうらしいですよ。
話を戻して、このイベントのお話では、女性だけじゃ変わらないので、男性にも協力して貰う必要があるということと、今はLGBTQの方もいらっしゃるので、男女だけじゃなく、どんな方にでも対応出来るような考え方が必要になってきていますねということでした。確かにそうだと思いました。
菊池さんは、そんなに強く女性が辛い思いをしているとかではなく、嫌な思いをしないために少しの配慮が必要だというようなことをおっしゃっていたかな。磯村さんは男性目線からお互いに気になることは事前に考えておく必要があるし、男性も積極的に改革に取り組んでいく姿勢が大切だと思ってくださっているようでした。岡野さんは、これからの映像の現場がやりやすくなるように、働く方が働きやすいように考えていきたいとおっしゃっていました。
とっても良いお話を伺えて良かったと思います。イベント中にきになったことが一つ。スタッフの方々が、ゲストの方々のトークが始まっているのに出たり入ったり動いていた事。観客も気になるし、ゲストの方に失礼だと思います。専属カメラマンの方は仕方ないと思いますが、スタッフは動く必要はないでしょ。どうしても動くなら小さくなって、静かに動いて欲しかった。去年はこれほど酷くなかったような気がしたけど、どうしたのかな。
このイベント、とても満足出来ました。じっくりとお話を伺えたし、俳優さんの人柄も出ていて良かったです。菊池さんも磯村さんも、奢ることなくとても普通で素敵な方でした。もし、来年も開催されるのでしたら、出来たら観てみたいと思いました。
ケリング「ウーマン・イン・モーション」
https://www.kering.com/jp/group/kering-for-women/women-in-motion/