「八犬伝」
を観てきました。
ストーリーは、
作家の滝沢馬琴は、絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だ。連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻・お路から意外な申し出が入る。
というお話です。
江戸時代の人気作家・滝沢馬琴は、友人の絵師・葛飾北斎に、構想中の物語「八犬伝」を語り始める。
里見義実は安房国の城主となるがが、隣国安西景連から攻撃を受けて窮地に陥る。義実は飼い犬である八房に敵将の首を取って来たら伏姫を嫁にやると冗談で言うと、なんと八房は本当に景連の首を取ってきた。この時、景連を操っていたとされる女・玉梓を捕まえ、義実は一瞬生かそうとするが、殺したがよいと言われて殺すことに。
戦には勝利したが、姫を犬に嫁にやる訳にはいかない。八房を殺そうとすると伏姫が立ちふさがり「一度口にした言葉は守らなければいけない。」と言い、八房を伴って山の中に入っていく。義実は八房を伏姫を追わせ、八房を銃で撃つと伏姫が前に出て一緒に撃たれて死んでしまう。死の間際、伏姫が持っていた数珠の8つの玉が飛び散り、里見家を助けることとなると言って亡くなる。
この後、八つの珠を持つ八人の剣士が、運命に導かれるように集結し、壮絶な戦いに挑むという壮大にして奇怪な物語だ。北斎はたちまち夢中になり、続きが気になり、度々訪れては馬琴の創作の刺激となる下絵を描いた。
北斎も魅了した物語は人気を集め、異例の長期連載へと突入していくが、馬琴の希望通りには進まない。馬琴は息子を医者にして武家に戻そうとしていたが身体が弱く、医者にはなれたのだが医者としての仕事が出来ないほど病に苦しまされていた。息子の嫁は器量は良いが不愛想だった。
物語がクライマックスに差しかかった時、馬琴は失明してしまう。完成が絶望的な中、義理の娘から「手伝わせてほしい」と申し出を受ける。失明してもなお28年の歳月をかけて書き続けた馬琴が「八犬伝」に込めた想いとは。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、八犬伝の作者である滝沢馬琴を描きながら、彼が創造した「八犬伝」という物語も描いていくという構成で進んでいきます。馬琴は既に人気作家だったのですが「勧善懲悪・因果応報」を描きたいと思い、この里見八犬伝を書くことにしたのかなと思いました。
1800年代は江戸時代、徳川幕府の衰退が見えてきたころじゃないかな。段々と人々の心が荒れていたのかもしれない。そんな中、忠臣蔵が流行り歌舞伎が人気だったようで、北斎と馬琴も歌舞伎を観に行くんです。その時に舞台作家の南北が北斎と馬琴にある話をするんです。
忠臣蔵は敵を討つ正義を貫く話となっていたけど、その影響で苦しむ人がいたという”四谷怪談”という話を舞台で演じるんです。本当は何が正義だったのか、誰が悪くて誰が良い人だったのか。その話を聞き、馬琴は混乱してしまいます。自分が正義だと思っていたものが、ある面から観たら正義ではないと言うことを知り考えてしまいます。そんなことが八犬伝の物語に反映されていきます。
紆余曲折あり、八犬伝は完結するまで28年間もかかったんです。その間に息子は医者になり、診療所を開ける場所に引っ越しをしたのですが、息子はどんどん弱ってしまい寝込んでしまいます。馬琴とその妻は息子をすごくかわいがっていて、それこそ過保護というほどで、息子も親をとても大切にしていたのですが、うまくいかないもんですね。
馬琴は八犬伝の導入部を書いて北斎に相談するんです。すると面白いと言って挿絵を描いてくれるのですが、見せたらすぐに絵を破いてしまいます。挿絵は北斎の義息子に描かせて欲しいと言って自分は想像するためのヒントだけ与えていたのだと思いました。北斎と馬琴は良いコンビだったようでした。
この映画、感想を書くのが難しいんです。馬琴の話について書くか、八犬伝の話について書くか、自分でもよく解らなくなってしまいます。八犬伝のお話は有名なので一度は読んだことがあると思います。絵本なども出ているので子供の頃に読みましたよね。
その昔、里見八犬伝を薬師丸ひろ子さんと真田広之さんが主演で映画化して、競馬場にイベントを観に行った覚えがあります。母が連れて行ってくれたんだろうけど、馬で薬師丸さんと真田さんが走ってきてくれてカッコ良かったなぁ。夏木マリさんの玉梓が凄く怖かった覚えがあります。なんとなく印象に残っているんだけど、そんなに覚えていないんです。どうやって競馬場に行ったのかも忘れちゃいました。少し原作とは違っていましたけどね。
もう一回、馬琴の原作に忠実に書かれた本を読んでみようかな。きっと、今回描かれた八犬伝が近いのだと思いますが、8剣士たちは騒動の後、里見の家の孫たちと結婚して、里見家を継いだという話のようですね。里見家を呪った玉梓をやっつけて、幸せになりましたって話で終わったのだと思います。
俳優さんが凄く豪華でしたよ。あまり詳しく紹介はしていないけど、悪い殿様役に塩野さん、船虫に真飛さん、浜路に河合さん、などなど、八犬伝の物語に出てくる人物が有名な方ばかりでした。ええ~、帝がこんな悪い役やってる~って思っちゃった。浜路は良い子だったんだね。八剣士はもちろん有名俳優さんが演じていましたよ。
ここ最近、時代劇が見直されてきたような気がします。観ていて面白いんですよ。私が年を取ったからなのかしら。時代劇を観ると日本の良さを失くしてはいけないなと思うんです。長屋の人で仲良く助け合っていたり人のつながりが描かれているし、悪い奴は悪くて、良い人はとことん良い人でしょ。こういう方が面白いですよね。今みたいにリアルに描くのも良いけど、脳をスッキリさせるには勧善懲悪が必要な気がします。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。馬琴と北斎の関係も面白いし、映画の中の八犬伝も面白いんだけど、2つの世界をそれぞれに観なくちゃいけないのでちょっと疲れます。内容は面白いし俳優は豪華なので、それだけでも十分に良いんだけど、脳の切り替えがちょっと面倒でした。でも面白いです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「八犬伝」