「二つの季節しかない村」自分だけは特別な人間と思っている裸の王様を少女は見抜いていたのだと思う。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「二つの季節しかない村」

 

を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

冬が長く雪深いトルコ東部の村。プライドの高い美術教師サメットはこの村を忌み嫌っているが、村人たちからは尊敬され、女生徒セヴィムからも慕われていた。ところがある日、サメットは同僚ケナンとともに、セヴィムたちから身に覚えのない“不適切な接触”を告発されてしまう。そんな中、サメットは美しい義足の英語教師ヌライと知り合う。

というお話です。

 

 

トルコ、東アナトリアにある、雪深いインジェス村の学校に赴任して4年が経つ美術教師サメット。この村は長い冬が終われば、春を挟まずに急に夏がやってくる。雪に覆われていた大地は春の芽吹きもなく、突然太陽にさらされ黄色く枯れていく。

なにもない村では、教師であるだけで尊敬される。学校では、女子生徒セヴィムに慕われ、サメットの部屋でおしゃべりをしたり、休暇に行けばお土産に鏡をプレゼントしていた。しかし、どこまでいっても仕事も少なく、なにもない村であることに変わりはない。

知人の勧めで英語教師をしているヌライと会うサメット。彼女は理想を持って、社会と戦っていたが、テロに巻き込まれ片足を失い義足になっていた。サメットは同居している同僚のケナンをヌライと引き合わせると、ふたりは意気投合していく。



 

ある日、学校で荷物検査が行われる。サメットがプレゼントした鏡と共にラブレターを没収されるセヴィム。内容が気になったサメットは理由をつけてそのラブレターを手に入れる。「返してほしい」と涙ながらに訴えるセヴィムに「もう処分したから手元にない」と嘘をつくサメット。

その日から、セヴィムの態度は変わった。セヴィムは友人と共謀して、「サメットとケナンに不適切な接触をされた」と虚偽の訴えを起こし、ふたりは窮地に立たされる。なにもない村では噂はあっという間に広がる。目を掛けていたセヴィムの態度に打ちひしがれるサメット。しかし、実はケナンを陥れようとしたのかもしれない、という同僚の言葉から、怒りの矛先はケナンに向かっていく。

セヴィムはなぜ、虚偽の告発をしたのか? サメットとヌライ、ケナンの関係はどうなっていくのか? 忌み嫌っていたこの村から、サメットは去ることができるのだろうか?後は映画を観てくださいね。

 

 

うーん、この映画、上映時間が198分もあるんです。さすがに3時間半あるとキツいと思いました。途中でお手洗いにも行きたくなるし、激しいアクションなどではないので眠くなるし、段々と思考能力が落ちていくので内容が理解出来なくなっていくんです。人間の集中力って大体90分しか持たないと言われているので、映画が2時間くらいというのは理にかなっていて、ぎりぎり理解が出来る時間なんじゃないかと思うんです。それ以上だと、どこか途中で休まないと難しいのよねぇ。

 

ということで、198分なので途中で少し思考停止しながら観ていた場面がいくつかありますが、最後まで観てから考えましてとりあえずストーリーは繋がりました。でもこの映画、観る人によって感想が違うだろうなと思いました。

 

なんたって、主人公のサメットがイヤな奴なんですよ。教師として赴任している学校は田舎にありとても不便です。トルコ東部、東アナトリア地方エルズルムという地域の村で、既に4年間勤めているんです。でもこの村に全く馴染んでいなくて、村の文句ばかり言っているんですよ。よくいるでしょ。飲み会とか行くと、なんだか文句ばかり言っている人。そういう人って、一緒に飲んでいて気分悪いですよね。良かったことを見つけたり、人を褒めたり出来る人間でないと評価が下がります。

 

 

美術教師らしいんだけど、子供たちに絵の指導なんて何もしていなかったし、世界の有名な画家くらいは教えてあげなきゃダメですよね。私も美術教師の免許を持っているから思うけど、こんな教師じゃ親から文句が出ると思うけど、トルコでは教師というと公務員で尊敬される存在らしいんです。自分は偉いとか思っちゃっているんだろうな。ポンコツのくせに。(笑)

 

サメットは女子生徒のセヴィムが自分に懐いていて彼女に好意的な目で見られていると思っていて、彼女には特別に目をかけているんです。これ教師あるあるなんだけど、生徒たちは先生によく見られて成績を上げたいと思っているから好意的な目で見ますよ。当たり前です。それを勘違いしてサメットは好意を抱いていると勘違いしていただけだと思うのよ。

 

サメットはお土産を渡したり、なんとなく手をかけたりしていたと思うんです。触ってはいなくても、そういう態度は示していたよね。セヴィムはキモいオヤジと思っていたんじゃないかな。そんなオヤジが自分のラブレターを没収して返してくれないなんて許さないと思いますよ。だから普段からキモいことをする教師を訴えたのだと思います。それ当たり前だからね。女子生徒に手をかけたりしないでよね。

 

 

自分は可愛がっていたし、懐いていたのになんでこんな文句を言われなきゃいけないんだと思ったサメットは怒りを爆発させます。嫌な男だなぁと思いました。生徒が触られたからと訴えたなら、やった覚えはないと言ってから、そう思わせる態度をとったなら謝りますと言えばいいでしょ。自分を訴えた犯人の子供を特定しようとするなんて、教師として絶対にやってはいけないことです。酷い奴だなと思いました。

 

そしてもう一つ、同僚のケナンと一緒に学校の近くに住んでいるのですが、セヴィムが触られたと訴えたことについてもしかしたらケナンを陥れようとして告げ口をしたのかもという噂があり、ケナンの巻き添えを食ったとサメットは思ったのだと思います。そしてケナンに酷い復讐をするんです。人間として最低のやり方だと思いました。私なら絶対にこんな奴と友達辞めますよ。ケナンの方がイケメンだし善人なので、彼がヌライと仲良いことに嫉妬をしたというのもあると思いました。

 

サメットは、自分はこの村にいる学校関係者や村人たちより格が上なんだから、こんなところで沈んでいるべきじゃないと思っていて、いつも相手を見下している感が見えているんです。酷い態度だなって思ったけど、村では教師は尊敬されている存在なので村の人は酷いとは思っていないんです。でもね、子供たちは感じていたんじゃないかな。この先生、自分たちを愛してくれていないと思っていたんじゃないかな。

 

 

サメットがヌライと食事をしながら社会について正義について人生についてを議論する場面が長回しであり、凄い演技合戦のようになっていて頭がぐるぐるしました。二人が交わす会話は的を得ているようで、極論になっていたり、片方の立場でしか考えていなかったりと凄いんです。全部は覚えていられませんでしたが、この議論を脚本で書いて、それを覚えて演技をしたのかと思うと、凄いなぁと思いました。

 

頭の良い二人だと思いましたがやさしさが見えず、なんかトゲトゲしていて好きになれませんでした。人生ってそんなにピシッと四角くは出来なくて、もっとふんわり丸い感じで生きていかないと、周りを傷つけるばかりになるような気がします。何事もある程度の寛容さが大切なんじゃないかと思います。

 

このサメットを観ていると、自分の汚い部分を探られて描かれているようで嫌な気持ちになりました。自分も彼のような態度になっていないか、彼のように人を見下げていないだろうか、いやがらせをしていないだろうかと心配になりました。やっていないつもりなんだけど、相手が嫌な気持ちになっていたら悪い事をしたなぁと考えてしまいます。人の振り見て我が振り直せって感じですかね。人生って難しいですよね。そんな事を思ってしまう映画でした。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。実は、内容に関しては超!を付けたいけど、やはり198分の上映時間はどうしても万人にお薦めは出来ません。大きなソファなどで観るなら良いけど、狭い映画館の席で3時間半はさすがにお薦め出来ないかなぁ。良い映画なんですけどねぇ。まぁ、途中で眠ることを想定して観るのなら良いかもしれません。少しうとうとしてもちゃんと繋がりますから。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「二つの季節しかない村」