「映画検閲」映画検閲官のイーニッドが沢山のストレスで段々とズレて行ってしまう姿が描かれています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「映画検閲」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

ビデオ・ナスティに対する論争が巻き起こっていた1980年代のイギリス。映画検閲官のイーニッドは、暴力的な映画の過激なシーンを容赦なくカットする毎日を送っている。その揺るぎない姿勢で周囲から「リトル・ミス・パーフェクト」と呼ばれている彼女だったが、ある時、とあるベテラン監督の旧作ホラー映画に登場するヒロインが、幼いころに行方不明になり、法的には死亡が認められた双子の妹ニーナに似ていることに気が付いて。

というお話です。

 

 

1985年、イーニッド・ベインズは、ビデオナスティ論争(過激な内容のビデオが批判され発禁になったりする論争)が渦巻く中、英国映画分類委員会で働いています。暴力的な内容に毅然とした態度でカットを主張するエニッドに対し、同僚は彼女を”リトルミスパーフェクト”と呼んでいました。

ある日、イーニッドは両親に夕食に誘われレストランに行くと1枚の書類を見せられます。イーニッドには子供の頃に行方不明になった双子の妹ニーナがいました。長年捜索をしても見つからず、両親は心を切り換えるために法的に死亡という手続きをしてきたのでした。しかしイーニッドは納得せず、必ずニーナは生きていると言って出ていきます。



 

両親の行動によりイーニッドはニーナは生きていると信じる心に揺らぎが生じ始め、焦りを感じ始めます。その上、先日起こった殺害事件の原因が、イーニッドが数か月前に審査したビデオの内容にあるのではないかとタブロイド紙が騒ぎ、彼女の所に脅迫や脅しの電話が来るようになってしまいます。

精神的に追い込まれていたイーニッドに、とあるホラービデオの検閲の仕事が入る。そのビデオを観ていると、ヒロインの女性がニーナに似ているような気がしてくる。成長しているので顔は変わっているが、目の色がイーニッドとそっくりだし、何か感じるところがある。直ぐにプロデューサーに尋ねると、アリス・リーという女優で今度の作品で引退するという。直ぐに今撮っている撮影現場を調べて、アリス・リーという女優に会いに行くのだが。後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、人間の狂気が描かれていて怖いんだけど、どーも面白くないというか、あまり映画検閲の仕事が関係ないんですよねぇ。たまたま彼女の仕事が検閲官で、沢山の映画を観るから、その中に妹の姿が見えてきてしまったというだけで、別にホラー映画でなくても良かったし、なんだか無理矢理感があるんです。

 

イーニッドは本当に真面目な検閲官なんですよ。残酷な場面とか官能的な場面はバッサリと切ってしまうような検閲官なんです。これくらい大丈夫でしょという部分でもカットするので、ミスパーフェクトと呼ばれるほどでした。そんな彼女が数か月前に検閲したビデオに似た殺人事件が起こり、検閲が甘かったんだろうという噂でマスコミに叩かれ、嫌がらせ電話がかかってきたりするようになってしまうんです。完璧を目指すイーニッドなので、凄いストレスになったと思うんですよね。

 

 

そんな問題と、両親が法的にニーナの死亡届を出したことが重なり、生きていると信じているイーニッドには凄いストレスがかかったんじゃないかな。はっきりしたことは解りませんが、両親とイーニッドの会話から、ニーナが失踪した時に一緒にいたのはイーニッドだったようで、自分に責任があるとずーっと思ってきたようなんです。なので死んだとは認めたくなかったんでしょうね。

 

一気に強いストレスを受けてしまったイーニッドは、どんどんおかしくなっていきます。本人は解っていませんよ。でも、周りの様子が違うんです。映画はイーニッドの考えで進んでいくので、観ている方は、もしかしたら本当に妹のニーナなのかもしれないなと思ったり、じゃぁ、怪しいホラー映画監督が誘拐犯なんじゃないかと思ったり、不安が膨らんでいくんです。

 

 

完璧にイーニッドの意識だけを追ってストーリーが進んでくれれば良いのですが、時々、普通の人や両親の目線が入ってくるので、途中でイーニッドの意識がズレてきていると感じてしまうんです。これ、ずっとイーニッドは正しい事をしているとして進んでくれていれば、最後まで行って、驚きがくるのですが、既に前半にズレが見えてきてしまうので、”あー、もしかして夢落ちなのかも。”と感じてしまうんです。夢落ちじゃないんですけどね。でも、彼女自身が狂ってきているというのが解ってしまうので、面白みに欠けるんです。

 

 

フレディとかジェイソンの目線でストーリーが進んでいる感じなんです。それならそれで、自分は悪い奴らを殺して周っているんだと信じて動いているので面白いでしょ。もしかしたら本当にジェイソンが正しいのかもしれないんだから、殺されていく周りの人間が悪人に見えるので面白いんです。でもね途中で、実は自分が狂っていると解ってしまったら面白くないでしょ。止めたくなるよね。

 

イーニッドが苦しんでいたのは十分に解るので、誰かが早く気が付いてくれたら色々と止められたと思うのに、誰も気が付かないんです。彼女がミスパーフェクトと呼ばれるほど真面目でしっかりしている人だから、誰も彼女が狂っているなんて疑わないんですよ。それが可哀相だったな。

 

 

うーん、そんな感じの映画なので、あまり面白いとは言えない作品でした。もし1985年くらいのイギリスのビデオナスティの状況を知っている方なら、もっと深い理解が出来るのかもしれません。私、ビデオの検閲に関して大きく問題になっていた事を全く知らなかったので、なんでこんなにワイワイ騒いでいるのかなと不思議に思っちゃいましたもん。日本の映倫みたいに、これはカットするというのがしっかりと決まっていなかったようですね。個人の感覚に任されていたようなところがあったようです。

 

あとね、失踪した双子の妹ニーナに関して、もう少し解説して欲しかったかな。仲が良かった2人の1人が居なくなったというだけで、誘拐だったのかどこかで事故にあって見つかっていないのか全く解らないんです。まぁ、解らないからイーニッドが十数年経っても生きていると信じていられたんだと思うんだけどね。でもこんなに長く見つからなかったんだから、通常は死亡していると考えるのが当たり前かもしれません。

 

 

私はこの映画、あまりお薦めできないかなぁ。まったく面白くないとは言えないけど、ツッコミどころが多すぎて観ていて疲れました。題材としては、映画検閲官という仕事で失踪した妹を見つけるという内容なので面白いかなと思ったのですが、ちょっと残念だったかな。ちょっと珍しい仕事なので、それに興味があったら観ても良いかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「映画検閲」