「スオミの話をしよう」
を観てきました。
ストーリーは、
著名な詩人・寒川の新妻・スオミが行方不明となる。刑事の草野はスオミの元夫で、すぐにでも捜査を開始すべきだと主張するが、寒川は「大ごとにしたくない」と言う。やがてスオミの関係者が次々と屋敷にやってくる。安否をそっちのけでスオミについて熱く語り合う男たち。しかし、男たちの口から語られるスオミはそれぞれがまったく違う性格の女性で。
というお話です。
その日、刑事・草野圭吾が訪れたのは著名な詩人・寒川しずおの豪邸。”スオミ”が昨日から行方不明だという。スオミとは寒川の妻で、そして草野の元妻なのだ。草野は、すぐに警察に電話をして正式な捜査を開始すべきだと主張するが、寒川は「大ごとにするな」と言って聞かない。
スオミを最後に見たのは使用人の魚山だという。実は魚山はスオミの1番目の夫。そして草野の行動を不信に思った刑事・宇賀神が現れる。彼はスオミの3番目の夫。そうこうするうちに誘拐犯から電話があり身代金を3億円用意しろと言ってきた。3億円も用意出来ないと言い出した寒川。仕方なくスオミの2番目の夫・十勝を呼ぶ。十勝は有名YouTuberで手広く商売をしている男だった。
やがて豪邸に集まったスオミの過去を知る男たちは、誰が一番スオミを愛していたのか、誰が一番スオミに愛されていたのかと、スオミの安否そっちのけで男たちは熱く語り合い始める。しかし不思議な事に、彼らの思い出の中のスオミは、見た目も、性格も、まるで別人なのだ。いったいスオミはどこへ消えたのか。スオミとは一体、何者なのか。後は、映画を観てくださいね。
三谷幸喜さんのコメディ映画です。映画といいながら、三谷作品なので舞台的な構成になっています。というのはほとんどの場面が豪邸の中で行われるということなんです。回想場面は色々な場所なのですが、スオミが誘拐されたらしいという事で屋敷で連絡待ちをしているんです。スオミの夫たち5人が、豪邸のリビングで誘拐犯からの電話を街ながら話が展開していくんです。
まず、今の夫である詩人の寒川。この男、良い詩を書くらしいのですが、酷くケチでゲスな男という印象でした。女は子供の世話をして、家事をするのは当たり前と思っているんでしょう。小遣いなどは一切与えず、便利な使用人くらいに思っているのかしら。そんな使用人が美しい見栄えなら箔が付くとでも思ってスオミと結婚したのかな。それでも愛していると豪語してました。
4番目の夫は警察官の草野。大人しくて自分に従ってくれる女性が好きなようで、スオミは小さな声で自分の願いを言ったりするのですが、草野はほとんど聞き入れずに自分の思っていることが正しいと考えて押し付けるタイプでした。草野は優しくて家事も全てこなしてくれていましたが、スオミの気持ちは一切聞いていませんでした。
3番目の夫は警察官の宇賀神。何故か解りませんが、スオミは彼の妻の時は中国人のフリをしていたのかな。ずっと中国語で話していたと思います。なんたって中国語?なので何を言っているのか解らず、字幕も付いていないので、もしかしたら謎の言葉なのかと思ってしまいました。何故結婚したのかよく解りませんでした。
2番目の夫は十勝。イメージは青汁王子的な人なのかな。マルチギリギリの方法で商売を重ねて、YouTuberとしても有名な人のようでした。彼と一緒のスオミは元気で行動的な女性というイメージでした。彼の仕事も手伝っていたようです。最初はマルチでも、健全な仕事に移行していけばスオミとずっと上手く行っていたかもしれないのになぁ。私はスオミは彼といる時が一番楽しそうに見えました。
1番目の夫は庭師(使用人)の魚山。彼はスオミの高校時代の体育教師で若い子にキツく罵られるのが好きなようでした。生徒との不適切な関係で教師を辞めることになり、色々あって、スオミの今の夫の家の使用人として働いています。彼がここにいるのは、実は重要な意味があるのですが、それはネタバレになるので言えません。でも面白いです。
こんな4人の元夫と今の夫が集まり、スオミはどうしたのかを語っていきます。誘拐なのか、失踪なのか、旅行なのか。でも、夫たちは、誰がスオミの夫としてふさわしいかという事を議論する方が忙しいようでした。
そんな5人の夫たちを笑ってみているのが、草野の部下の刑事・小磯。野次馬的な人物で、有名な詩人にも会いたいし、草野の元妻も見たいしと興味津々。そしてもう一人、寒川の世話係をしている乙骨。彼は出版社の人間らしいのですが、寒川の世話係を引き受けています。彼は謎の人物です。楽しみにしてください。
そんな人々が集まり、あーでもないこーでもないが始まります。肝心のスオミは回想でしか出てこず、一体どこで何をしているのか、全く解らないんです。そして何故か、どの夫の回想にも同じ女が現れます。それが薊(アザミ)さん。何故か出てくるたびに違う人物であり、彼女の謎が解ければスオミの謎も解けそうだなぁという感じなんです。
長々と書きましたが、このスオミという女性、主体性が無いように見えませんか?好かれるために男に合わせて自分を変えているんです。この映画を観て、昭和末期から平成初期に流行った結婚する相手は”3高”と言われていたことを思い出しました。高身長、高学歴、高収入の男を捕まえるため、女性たちがこぞって男に好かれる女を演じていた時代です。
私も恥ずかしながらこの頃に女性誌を読んで騒いだ一人なので覚えています。25歳過ぎたらクリスマスケーキだから貰い手が無いと言われていました。結婚することが女性の幸せだという価値観があり、3高男を捕まえることが勝ち組だったんです。この映画のスオミは、その時代の名残を引きずっているように見えました。なので、何度も相手を変えて結婚し、幸せになろうとする。
でも、今どき結婚なんて面倒な事と言われてしまいますよね。スオミも何度も結婚して自分を変えて、これは幸せと言えないんじゃないかと考え始めたんじゃないかしら。だって、心から好きで結婚している訳じゃないんですから。優しくて自分を幸せにしてくれそうに見える男と結婚しているんですから。
スオミは誘拐されたのか失踪なのか全く解決していないのに、勝手に男たちがアホな事を議論しているのを聞いていると、そんなスオミの気持ちが伝わってくるように感じました。スオミが出てこないのに、無駄な事を繰り返してしまったスオミの気持ちが解ってくるんです。
だってね、誘拐の身代金の要求が来ても、お金を出すのが嫌で払おうとしないんですよ。信じられないでしょ。どんだけ利己的なんだよって思っちゃいます。男なんてそんなもんなんですよ。だから期待しちゃいけないんです。結婚なんてバカらしくて出来なくなっちゃいますよね。(笑)
そんな事を伝えてくれていたんじゃないかな。少子化とか騒ぐけど、こんなに安い給料で誰が結婚したいと思うんじゃ。ちょうど総裁選だからいうけど、派遣労働者を容認したからこうなったんですよ。サラリーマンが安定しなくなり、詐欺や汚い仕事をする人間だけが儲かるようになったんです。日本を壊したのは竹中と小泉ですからね。
安心して夫婦で暮らせる日本にしてくださいよ。何度も結婚、離婚をしなくても、ほのぼの暮らせる日本になって欲しいです。外国人移民を受け入れるなんて無理ですからね。本国で稼げないナマケモノしか日本に来ていないんですから。ほのぼのしている日本人なんてあっと言う間に犯罪に巻き込まれて絶滅してしまいます。現実をよく見てくれよっていう事を、映画でも描いていたんじゃないかな。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。普通に観ている分には笑えて楽しめる軽いコメディ映画で、あまり内容は無いように見えますが、観た後によく考えてみてください。女性がこんな風に男によって見栄えを変えていた時代もあったんです。その時代は日本がとても強い時代だった。現代の日本とよく比較をして考えて欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スオミの話をしよう」