「地面師たち」
を観ました。珍しく配信ドラマの感想を書きました。映画の感想も書きたいんだけど、このドラマは素晴らしくて、どうしても書きたくなりました。
ストーリーは、
2017年、再び土地価格が高騰し始めた東京。高級コールガールの送迎の仕事をしていた辻本拓海は、ある日送迎先のお客から電話を貰い行ってみると、ベッドで女性が死んでいる。男はこの事を忘れろと言い大金を渡そうとするが、拓海は直ぐに女性を確認し、心肺蘇生を行い生き返らせる。女と出ていく拓海を気に入った男は、拓海を自分の仕事に誘い入れる。その男は伝説の大物地面師・ハリソン山中だった。
地面師詐欺の道に踏み込んだ辻本拓海。ハリソンが集めた仲間は、それぞれにプロフェッショナルな犯罪者数名で構成されていた。彼らは既に何度も仕事を一緒におこなっており、成功を収めてきていた。緻密かつ周到な計画で大手デベロッパーに詐欺を仕掛け、巨額を巻き上げていたのだ。
そんな彼らが次なるターゲットに選んだのは、時価100億円とも言われる東京の中心地に広大な駐車場を持つ寺の土地。寺を相続した僧侶になった娘はどんな会社が訪ねようと土地は売らないと言っており、都会にポッカリ穴が開いたような状態になっていた。一人で寺に棲んでいる僧侶の弱みを掴み、寺から引き離し、寺を無人にする時間を作らなければ詐欺は成功しない。彼らは時間をかけて前代未聞の詐欺に挑んでいく。
一方、かつてハリソンを逮捕寸前まで追い込みながら、結局逮捕することができなかった定年間近の刑事・辰は、新人刑事と共に独自の捜査を開始していた。今度は大きな詐欺を計画している情報を掴み少しづつ彼らに近づいていくが、新人刑事が大胆に動いてしまったためにハリソンも辰の動きを気にし始める。
騙す側と騙される側、そして刑事の三つ巴の争いは、次第に拓海の「過去」とハリソンの「因縁」を浮き彫りにしていく。
後は、ドラマを観てくださいね。
うーん、面白かった。休みの日にイッキミしたんです。結構、しんどかったけど面白かったなぁ。これは地上波では描けないだろうなぁ。配信だからこその内容だと思いました。トップ俳優を集めて、これだけやってくれたら面白くなりますよ。抜け目がないもん。満足しました。
地面師のお話で、実話を基にしています。2017年に積水ハウスが地面師による詐欺にあい、55億円ほどだまし取られた事件です。この事件が起きたころ、私も仕事で大きな物件に携わっていたのでゾッとした覚えがあります。
大型マンションや開発を行おうと思うとどうしても大きな土地を探さなければならず、営業は都内や近県をブルドーザー的に歩き回り土地を探すんです。ほとんどは不動産会社と組んでいるので、彼らが捜した土地を精査して決めるのですが、時々、建築会社の営業が土地を見つけて不動産会社を中にいれて購入するんです。不動産会社、建築会社、金融機関が組んでいて専門家(弁護士など)が同席するので、凄く用心深く調べるはずなんです。だから、こんな詐欺、あり得ないと思ったんですが、本当に起きてしまったんですね。
ドラマではベテランの地面師ハリソンが中心となり全体のプロデュースをしていて、それをそれぞれのプロが行っていくというやり方なんです。誰もがプロで、完璧と言ってよいほどの精度で仕事を進めていくんです。そりゃそうですよ。何億ものお金を動かすんですから。
最初の頃は小さめの仕事をしていて、何億の詐欺を働いて一人何百万とかを貰うのですが、とうとうハリソンが100億円くらいの詐欺を働こうと持ち掛けるんです。そして土地を探させて、とうとう東京の中心地の寺の土地を見つけるんです。そこからが本当の地面師の仕事。あまり詳しくは書けないけど、こんなことしてたんだなと思いました。確かに自分が騙される方なら、ここまでやられたら簡単には見抜けないかもしれないなと思いました。
山本さんが建築会社の責任者・青柳として出てくるのですが、凄くリアルだなと思いました。だって、ホントにこんな人いますもん。部下が「調べた方が良い」と進言しても自分の考えが正しいと信じちゃっていて話を聞かないんです。
良い大学を出て大手の会社に就職してという人なので、挫折したことが無いんだと思うんです。なので自分が間違える訳がない、失敗するハズがないと思い込んでいるんですよね。だから人の話も聞かないし、今までは小さな失敗は部下のせいにしてきたのだと思います。これ、一度でも失敗して責任を取ってきたなら、この不動産取引でも入念に調べたと思うのですが、それが無かったんでしょうね。地面師の方も、そういう人間がいるところを狙ってきたのだと思います。
ハリソン役の豊川さん、極悪でしたねぇ。これだけイケオジで聖人君子的な顔をしてこんな極悪だと、もう気持ちが良いです。やるなぁ~って思っちゃった。すんごい外道なんです。人を殺すことが快楽で、本当はお金なんてどーでも良いんです。人を殺す理由が欲しいだけに見えました。ここまで完璧に悪だと、文句言えませんよ。
反対に、綾野さん演じる辻本拓海は、ある事件で家族を失い、人生に絶望していた人物なんです。どん底の時にハリソンに拾ってもらい、真面目に仕事に取り組み始めるんです。元々、真面目な青年で、どちらかというと彼もエリートコースを歩んできた人物なんだと思います。事件でどん底に落ちなければ、彼も建築会社の青柳と同じような人間になっていたかもしれない。
辻本はハリソンの手足となり、地面師たちのまとめ役をしていきます。でも、大きな仕事になればなるほど人が増えるし制御するのが困難になっていく。表のまとめ役として辻本が指示をしていき、その裏でハリソンがどす黒い動きをしていくんです。どんだけ頭が良くてカンが良いんだよって思うほど、ハリソンは動いていましたねぇ。
元司法書士の後藤をピエール瀧さん、手配師の稲葉を小池さんが演じていてお二人も良い味だしてました。このお二人だからこその役でしたね。他の人だとさっぱりし過ぎちゃうんじゃないかな。ドロドロの濃い人物を魅力たっぷりに演じていました。そして土地の仕入れをしてくる竹下を北村さんが演じています。この竹下は仲間の中でもちょっとハズれていて、制御が出来ない人物に見えました。良かったです。
全7話で、1話が1時間弱のドラマです。内容が濃いのでバラバラと観ていると忘れちゃうかもと思って、私はイッキミをしましたが、本当は分けて観た方が落ち着いて考えられるので良いのかもしれません。
綾野さんと豊川さんがマジでカッコいいです。凄い悪い奴なのに、どうしても憎めなくなっちゃうんですよねぇ。でも、やっぱり最後まで観ると、豊川さんのハリソンだけは捕まえなくちゃと思いました。あんなサイコパスが野放しになったら、また被害者が出ますよ。
私はこのドラマ、超!超!お薦めしたいと思います。やっぱりこれだけの内容を1本の映画に収めるのは無理なので、ドラマ配信にして、じっくりと描いてくださって良かったと思います。映画を沢山観ていると、原作がある作品は1本にまとめるのは難しいよなぁと思う作品がいっぱいあるんです。なので、ドラマ化してくれて嬉しかった作品の一つになりました。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「地面師たち」