「夏目アラタの結婚」ストーリーが良く出来ていました。殺人動機じゃなく何故捕まったのかが重要です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「夏目アラタの結婚」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

連続バラバラ殺人事件の犯人で「品川ピエロ」の異名で知られる死刑囚・品川真珠。児童相談所職員の夏目アラタはその事件被害者の子どもに頼まれ、まだ発見されていない被害者の首を探すため真珠に接触を試みる。アラタは真珠から情報を引き出すため、彼女に結婚を申し込む。1回20分だけ許される面会の中、真実にたどり着けるのか。

というお話です。

 

 

あるアパートで異臭がするとの通報を受け、警察が押し入るとそこには人間の死体をバラバラにするピエロのメイクの女が。日本中を震撼させた連続バラバラ殺人事件の犯人は現行犯逮捕される。逮捕時にピエロのメイクをしていたことから「品川ピエロ」の異名で知られる死刑囚・品川真珠。

児童相談所職員の夏目アラタは、児相で関わった子供がアラタの名前を使ってその死刑囚・品川真珠と文通を試み、逢いたいと言われたという相談を受ける。その子は品川に殺された被害者の息子で、見つかっていない父親の頭部を見つけて欲しいと言うのだ。元ヤンだったアラタはその願いを聞き入れ少年の変わりに真珠との面会に訪れる。



 

アラタの前に現れた真珠は、残虐な事件を起こした凶悪犯とは思えない可愛らしい風貌だった。真珠は一目会ってアラタが手紙の主ではないことを見抜き帰ろうとするがアラタの衝撃の一言で振り返る。「オレと結婚しようぜ。」真珠との関係を続けるために自分でも思いがけない言葉をかけてしまう。しかしこうなったらこの芝居を続けるしかない。

その言葉を聞いた真珠はアラタに近づき、アクリルボード越しに彼の匂いを嗅ぎ、結婚を承諾する。悩んだ末、本当に婚姻届けを持って真珠を訪ねたアラタは、毎日1回20分だけ許される面会の中で、会うたびに変わる真珠の言動に翻弄されていく。

何が本当で何が嘘なのか解らなくなっていく。やがて真珠はアラタに対し、自分は誰も殺していないと衝撃の告白をする。彼女の目的は何なのか。アラタの何を試しているのか。被害者の頭部は見つかるのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

私はこの映画、面白いなぁと思いました。さすが堤監督という感じでしょうか。なんたって”トリック”や”スペック”、”20世紀少年”で育ってきたようなもんなので、堤監督の作品好きなんですよ。最近ちょっと元気がない感じがしてたけど、この映画は面白かったですよ。

 

原作が面白いそうなのでストーリーが良いとは思います。原作を読んでいないので解りませんが、映画は原作通りだったのかな。今までにない展開で、そうくるかぁ~って感じのところがいくつかありました。猟奇殺人鬼という印象なのでサイコパス的な女性なのかと思っていたのですが、もっと奥が深い印象に変わっていきます。

 

 

最初の面会から真珠優位で、アラタは少し逃げ腰なんです。そりゃそうですよ。連続殺人犯で死刑囚なんですから。そこで元ヤンの意地と被害者の子の願いを思って、ついヤッちゃうんです。「結婚しよう」と言ってしまうんです。おいおい、最初からそれ言っちゃうんだってビックリしました。でも、そこでその言葉を言ったおかげで、アラタの匂いを嗅いで、それからの面談も続くことになるんです。この匂いを嗅ぐというのがキーになってきます。

 

逢う度に少しづつ情報を出していく真珠。それによって捜査が進んでいくんです。真珠には弁護士がついていて、この彼は彼女の無罪を信じているんです。そしてアラタに真珠の心を開いて真実を話させて欲しいと彼からもお願いされるんです。

 

 

ただね、この弁護士が、何故真珠が無罪だとこんなにも信じているのか解らないんです。まぁ、依頼されればそうなると言ってしまえば終わりなんだけど、何かそう思わせる根拠があるような気がするんだけど、それは明かされませんでした。もう少し弁護士側の話も描いて欲しかったな。蛇足になるかもしれないけど。

 

で、このお話、何故彼女が男たちを殺したのかを探っていきそうだけど、実は違います。男たちを殺した動機ははっきり言ってどーでもいいんです。真珠が何故、殺人犯として捕まったのかということが重要になってくるんです。アラタは元ヤンで児相職員というところで、児童虐待に話が動くのは解りますよね。

 

 

アラタもその昔に児相でお世話になって、自分も児相職員になったという経歴で、真珠もネグレクトを受けていたらしいという設定なんです。いつも思うのですが、少子化だから婚活しろとか妊活しろとか政府が言っているけど、まず今生きている子たちを助けようよ。どんなに産んだって殺されちゃったら元も子もないでしょ。まず、生まれた子が健康的に成長出来るような対策にお金をかけようよ。それが終わってから婚活とか妊活でしょ。何も見えていないよね。

 

そんな事を言いたくなるような問題も、この映画の中に描かれています。大人の都合で簡単に子供を作ってほおっておくなんて許されません。産んだならしっかりと育てるべきだし、もし辛くなったら行政に相談すればいいじゃないですか。恥ずかしいことじゃないです。誰だって辛くなる時はあるんですから。まず、子供の命を守ること。それが一番なんです。

 

 

話を戻して、真珠とアラタにはそんな共通点があり、段々とお互いを理解していきます。というか、きっと真珠には最初から解っていたんじゃないかな。アラタが、自分が待っていた人なのだという事が。真珠は沢山の話をしますが、ほとんど嘘のように聞こえながら本当の事が多いんです。嘘も織り交ぜていますが、アラタには最初からある程度正直に話していたように感じました。

 

この映画、もちろん原作も良いのだろうけど、アラタ役の柳楽さんと真珠役の黒島さん、上手かったなぁ。柳楽さん、今までも好きだったけど今回凄くカッコよく見えました。ちょっとワルそうなのに凄く優しくて、ヤル時はやるという覚悟が素敵なんです。黒島さんはドス黒くて恐ろしい殺人鬼なんだけど、寂しさと哀しさを内包していてどうしても憎めない女性というのを上手く演じていました。

 

 

ネタバレ出来ないからあまり書けないけど、殺人犯って死刑にならないと随分と刑が軽くなるんだなと思いました。この映画とは切り離してのお話ですが、死刑にならなかったら無期懲役ではなく終身刑というのを作った方が良いと思います。でないと被害者遺族がいたたまれません。終身刑が入る刑務所を作って、生き地獄にしてやらないと許せないでしょ。無期懲役だと出てきちゃったりするんでしょ。それってダメだよね。

 

そうそう、エンドロールが始まっても直ぐに出て行かないでくださいね。重要な映像が最後に入っているので、それを観ないと全部理解出来たことになりません。伏線回収してあります。

 

 

私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。柳楽さん主演だから、ちょっと甘い判定ですが、だって好きなんだもん。(笑)いや、本当に面白かったです。話が良く出来ているなぁと思いました。堤監督の演出も良かったと思います。佐藤二郎さんの藤田役が話の不気味さをよく表していて上手いなぁと思いました。あ、もやもやな終わり方じゃなくて、スッキリして出てこれる映画です。安心してください。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「夏目アラタの結婚」