「箱男」不思議な映画で私には難しかったけど、50年前に現代を観ているような内容に驚きました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「箱男」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

ダンボールを頭からすっぽりと被った姿で都市をさまよい、覗き窓から世界を覗いて妄想をノートに記述する「箱男」。それは人間が望む最終形態であり、すべてから完全に解き放たれた存在だった。カメラマンの“わたし”は街で見かけた箱男に心を奪われ、自らもダンボールを被って箱男として生きることに。そんな彼に、数々の試練と危険が襲いかかる。

というお話です。

 

 

完全な孤立、完全な孤独を得て、社会の螺旋から外れた「本物」の存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る『箱男』。

 

カメラマンである“わたし”は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、遂に箱男としての一歩を踏み出すことに。しかし、本物の『箱男』になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。

 

存在を乗っ取ろうとするニセ箱男、完全犯罪に利用しようと企む軍医、 “わたし”を誘惑する謎の女・葉子。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、犯罪を目論むニセモノたちとの戦いの行方は!?(公式HPより)

後は、映画を観てくださいね。



 

この映画、どう解釈してよいのか、何を描いているのかがよく解らず、自分の解釈で感想を書いていきます。この原作小説は安部公房により、今より50年前くらいに書かれた小説です。ですが、何故か現代の引きこもりというか、SNSに依存して一方的に人を見るだけの人間の事が描かれています。この頃の事ですから、「箱」というモノに入って覗き見るという表現ですけどね。

 

ずっと箱男の観ている景色を彼目線で追っていくんです。途中から色々な人物が出てきて、今、語っているのが偽箱男だと解ってくるんです。実は、最初に箱男としてウロウロしていたのは元軍医で、戦時中に重病になり、今は病院内で暮らしているようでした。その軍医が雇っている偽医者がいて、軍医は自分の免許をその男に貸して病院を開業しているんです。

 

 

その偽医者は軍医の部下のように動いていて、今、箱男として活動をしているカメラマンを付け狙っているんです。銃を持って、箱男を狙撃する場面が何度かありました。軍医が偽箱男を嫌がっているというのもあるようでしたが、実は、偽医者も「箱男」として動き回りたいという欲求を持っていたようでした。

 

ここまで書いてきても、うーん、何なんだろうと思うような不思議なお話でした。解説にありましたが、箱の中で自分の王国をつくり、守られた世界から世界を一方的に覗くのが快感と感じている男なのだそうです。うん、確かに現代ではスマホを片手にどこででも人を覗き見ているのだから箱男と一緒ですよね。誰もがスマホを観ているから、他人を気にしない、他人が見えていない状況なので、箱に入っているのと同じです。

 

 

そう思うと気持ち悪い気がします。隣にいても見えていないんでしょ。箱男も、箱に空いた穴の先は見えるけど、箱の側面、後面は一切見えていないんです。自分の見たいモノだけを観ているんですよ。映画の中でも、ずーっと箱に収まって、自分が見たものを記録して日記として書いているんです。不気味でした。

 

軍医が箱男をしていた時は、日記のようなモノは付けていたのかな。軍医が箱男をしている場面は無いので、どう暮らしていたのかは解らないんです。でも、その箱男を見て、カメラマンは自分もなりたいと思って、偽「箱男」になって、街を動き回っているんです。

 

 

偽医者も不気味でした。こいつも何がしたいのだか解りませんが、やっぱり「箱男」の魅力に取りつかれた一人でした。軍医に雇われて病院を開設し、何故か軍医の妻を共有していたみたいなんです。でも、その妻は出て行ってしまったようで、その後に来た女性が看護師として雇われ、共有されていたようでした。

 

この女性の事もよく解りませんでした。なんで女性を共有しているのか。女性の気持ちはどうなのか。女性は全く話をしないので、考えがあるのか無いのか解りません。不思議でした。

 

 

この「箱男」を観ていたら、本当に現代のスマホ依存している人を思い浮かべました。自分の見たいものだけ、信じたいものだけを見るという偏った考え方が蔓延している現代。直接、人と関わるという事を避けている姿は、現代人と同じだと思いました。誰もがみんな「箱男」みたいになっちゃって、コミュニケーションという言葉を忘れてしまったようですよね。

 

コロナ過からそうなったのだろうけど、そろそろ人間的な生き方を取り戻してもいいんじゃないかな。そんな事を思わせる映画でした。でも、はっきりと理解出来た訳ではありません。なんかモヤモヤしている映画でした。

 

 

私はこの映画、お薦めしたいと思います。何を訴えているのかよく解りませんが、人間がこんな風になっちゃっているよって教えてくれているようで、何となく人間について考えさせられる内容でした。不思議な映画だと思って観て欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「箱男」