「お母さんが一緒」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占オンライン最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。「母親みたいな人生を送りたくない」という共通の思いを持つ3人は、宿の一室で母親への愚痴を爆発させるうちにエスカレートしていき、お互いを罵り合う修羅場へと発展。そこへ清美がサプライズで呼んだ恋人タカヒロが現れ、事態は思わぬ方向へと転がっていく。
というお話です。
親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美は優等生の長女と比べられてきたせいで自分の能力を発揮できなかったと心の底で恨んでいる。そんな二人を冷めた目で観察する三女・清美。三姉妹に共通しているのは、「母親みたいな人生を送りたくない」ということ。
温泉旅館は愛美が探し、クーポンが使えるところということで選んだらしい。弥生はもっと良いところは無かったのかというが、愛美は探した中で良い場所を選んだという。弥生は自分以外が選んだ場所は気に入らないのだ。愛美も清美もそんな弥生の性格を解っており、「お母さんに似てるよね。」とこっそりと話していた。
母親の誕生日のために、三姉妹は夕食の席で花やケーキを準備していた。母親へのプレゼントとして長女の弥生は高価なストールを用意したが、他のふたりは用意が無い。弥生は愛美に「歌を歌いなさいよ。」という。愛美は昔から歌がとても上手かったのだ。嫌がる愛美だが弥生と清美はそれが良いと盛り上がる。清美は実は内緒で彼氏のタカヒロとの結婚をサプライズで報告するつもりで、タカヒロも温泉に呼び寄せていた。
予定では上手く行くはずの誕生日パーティーだったが、何故か母親の機嫌が悪く、弥生がプレゼントしたストールにケチをつけて、弥生が怒り出したことでパーティーは終わってしまう。折角の誕生日が台無しとなり、清美の彼氏のタカヒロも紹介できず、三姉妹はお互いの文句をぶつけ合い…。後は、映画を観てくださいね。
楽しかった。本当に楽しく観させていただきました。橋口監督の9年ぶりの最新作面白かったです。今回は、ペヤンヌマキさんが主宰するブス会が2015年に上演した「お母さんが一緒」を映画化した作品です。温泉宿での一夜の家族を描いた作品です。これ、舞台も観たかったなぁ。再演してくださったら映画との違いが比べられて面白いのになぁ。
三姉妹が母親の誕生日祝いを温泉でやろうと旅行を計画します。話を聞いていると、弥生と愛美は東京住まいなのかな。清美だけが田舎で両親と暮らしているようでした。弥生は良い大学へ行き良い会社へ勤めているけど独身で、愛美はほどほどの学歴で仕事は上手く行かず独身で、清美は両親の元で暮らして普通に仕事をしているのかな。
弥生は母親に喜んで貰おうと必死で勉強し良い大学へ行き、良い会社に入ったけど、今になって子供の顔も見せない親不孝者みたいな言われ方をしてキィ~ってブチ切れます。愛美は弥生が勉強出来たせいで褒めて貰えずにやる気を無くし、仕事は上手く行かずに親にお金を借りに来る始末。
三姉妹の母親は、いつも文句ばかりを言っていて、二言目にはお父さんと結婚したのが失敗だったと言うようで、ネガティブ発言以外は無いような人らしいんです。時々いますよねぇ、そういうネガティブな事ばかり言っているオバサン。私は文句を言っていると自分が落ち込んで不幸になって行きそうなので、悪口は言わないと自分に言い聞かせているのですが、それでも出ちゃうんですよ。人間って自分で気を付けない限り、悪い方に傾いていくんじゃないかな。
そんな母親のようにはなりたくないと言いながら、お母さんの誕生日祝いをしようという三姉妹って、凄くお母さんが好きなんですよね。でも素直に言えないんじゃないかな。三姉妹だけの時は、凄い言いたいこと言って、酷い言葉もぶつけ合って、傷つけあうんだけど、それでも元に戻るんです。同じことをお母さんとも言い合えるような関係だったら、お母さんもネガティブ発言ばかりの性格では無くなったと思うけど、その関係性は子供の頃からの蓄積だから、難しいんだろうな。
この三姉妹、こんなに言いたいことを言い合えて良い関係だなと思いました。酷い言い合いをするけど、引きずることなくまた仲良くなって、ちゃんと根底に家族への愛がこもっているんです。それぞれに自分は姉妹のせいで親からの愛情を貰えなかったとか言っているんだけど、その分、姉妹からの愛情があっただろうし、足したら十分に愛されていたと思いますよ。
私は一人っ子なので兄弟姉妹の辛さは解りません。母親が”一人っ子にしちゃってごめん”と私に言う事がありましたが、私は親の愛情を独り占めして煩わしい兄弟との問題もなかったので、本当に幸せだと思っています。少子化だから産んで欲しいんだろうけど、私は子供は一人っ子の方が幸せだろうと思っています。
例えば、何人も産んだら昔のように養子に出して、1組の夫婦に大切に育ててもらった方が良いんじゃないかな。不妊で苦しんでいるご夫婦もいるのだから、そういう選択肢も一般的に普及してったら良いと思います。そうすれば貧困で苦しむことも減るでしょ。何でもかんでも自分で全部背負う必要はないんです。
あ、話がズレました。元に戻して、この映画、役者さんは三姉妹と清美の彼氏という4人がメインで、他は殆ど出てきません。お母さんは一緒に温泉に行っているんだけど、まぁ、どう出てくるのかは映画で確認してください。
舞台では旅館の1室だけで展開されるものを、映画としては温泉にやって来るところから始まり、温泉に入ったり、食事をしたり、色々な場面が組み合わさることにより、また違う家族像が見えてきて楽しめます。きっと映画の方がそれぞれの人物も掘り下げているので、楽しめる場面も多いんじゃないかな。
観終わった後、本当にほっこりしました。うんうん、そうだよね、家族ってそういうもんだよね、それがしあわせなんだよね、って頷いてしまうような感じでした。観てしあわせになれた作品です。めちゃめちゃ喧嘩しているんだけど、それが笑っちゃうんです。最後の方で姉妹で取っ組み合いの喧嘩をしていたりもするんですけど、面白いんだよなぁ。
役者さんが上手いです。江口さん、内田さん、古川さん、3人ともガッツリ演技派で上手い方々なので、その演技対決も凄いです。マジな姉妹に見えて、それぞれの気持ちが伝わって来るって凄いでしょ。古川さん若いのに、お二人のトップ俳優に負けず劣らずで驚きました。うーん、マジで面白かった。この3人の絡みは、また観てみたいです。凄い俳優さんたちでした。
あ、忘れてごめんなさい。お笑いの青山フォール勝ちさんさんが彼氏役で出ていて、この方お笑いの方なんですね。演技初めてとは思えないほど自然で上手かったです。この方、人柄が良いんだろうなぁと思わせる雰囲気が良く出ていました。
Fans’Voiceさんのオンライン試写会で観たのですが、最後に橋口監督がアフタートークに参加してくださって、観て楽しくて感動した後にお話が聞けて、とっても嬉しかったです。監督の想いも伝わってきたし、舞台と映画との違いも語ってくださり、とても満足でした。ブルータスの最新号「夏はSF。」にも橋口監督のインタビューが出ていて、ああー、やっぱり橋口監督の映画は好きだなぁ。やっと新作が観れて嬉しかったなと思いました。次回作はもっと早く観せていただけるようですよ。楽しみですね。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。本当は超!をもう一つと行きたかったんだけど、これは舞台も観てみたい。「ブス会」の舞台、コロナ後は無いようなのですが、舞台で観たいなぁ。再演してくれないかしら。その願いも込めて、超を減らしました。この映画は公開されたら、また観に行くだろうと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「お母さんが一緒」